閉店までいよいよ後二日となった。
今日と明日・・・
これでこの最高に素敵な大人の雰囲気を持ったオーセンティックなバーが、又一件姿を消す。実に残念だが、これも逆らえぬ時代の流れか・・・・
35年前に生まれ、35年間その姿を守っていたこの店も、当時はかなり混んでいたらしいが、今では客足もまばら。
古き良き時代を知る人達から、閉店を惜しむ声は何件も届いてはいるが、その声はもはや虚しく消えゆく木霊のようだ。
銀座からも沢山の素晴らしいバーがなくなっている。
私が若い頃、修行していたバーも今はない。
35年前は老若男女が入り乱れ、繁盛していた銀座のバーにやって来るお客達も、みんな時と共に年を取り、一人、又一人と来店しなくなっていく。
赤坂もそうだ。
若い頃、私はいろんな場所(バー)を渡り歩いた。
渋谷、赤坂、銀座、新宿、六本木、神楽坂・・・・・
ひとつの店に定着しなかったのは、いろんな店の色々な人の仕事の仕方と、そこに客としてやって来るあらゆるタイプの人達の姿を見たかったからだが、理由は他にもある。
それは、バーテンダーとしての技術と接客ノウハウの極めと、将来自分が独立する上での場所探しも兼ねていた。
赤坂は都市開発で再生化され、自分が修行していたバーはなくなったが、今はテナント・レストランとして結構繁盛している。
渋谷も近いうちにそうなるのだろう。
店はお客のニーズに合せ姿を変えるべきなのか?
それとも、頑としてひとつのスタイルを通していくべきなのか?
店のオーナー(創始者)の立場として考えると難しい選択かもしれない。
しかし、その答えが渋谷のこの店では、もう間もなく出るだろう・・・・
残り二日間となったが、かつての栄光の光と影を偲びながら、グラスを傾けて語り明かそうではないか・・・・
明日も頑張って生き続けるバー達と、私達に生きる力を与えてくれる酒たちに敬愛と夢を込めて。
