経済活動水準は大きく低下していないものの、変化のスピードが減速している状態(景気の踊り場)。


もっとも、厳密な判断基準は存在しない。


経済活動の水準が適正でないと判断されれば、停滞とする見方も出てくる。


景気局面の判断で見解が分かれるのは、景気判断には、①各景気指標の変化の方向に着目し、それが上昇しているか、下降しているかによって拡張期と後退期に分ける基準と、②経済活動水準が平均より上か下かで、好況期と不況期に分ける基準が混在しているためである。


この二つの基準を併用すると種々のバリエーションができ、「踊り場」「底ばい」「停滞」など様々な見方がでてくる。


拡張・後退基準は、実際の景気指標の変化方向で簡単に判定可能であり、内閣府による公式の景気基準日付(景気の転換点となった月を示す)の決定に際してや、複数の経済指標について、この基準を用いた複合指標である景気動向指数で利用されている。


2005年9月現在、景気の現状は、02年1月を谷とするバブル崩壊後3回目(戦後通算で14回目)の景気拡張期にある。


過去2回の拡張期と異なり、回復ペースは不安定で一本調子ではなく、02年央から03年央に続く2度目の踊り場を04年秋以降に経験した後、05年8月にようやく内閣府によって踊り場からの脱却宣言がなされ、回復の持続が確認された。


主因は、①不良債権処理の進展と、②IT(情報技術)関連製品を中心とする輸出増を起点とした企業業績の改善。


日銀短絡や消費者動向調査などのマインドを表す指標も、バブル崩壊以降では最も高い水準まで回復。


04年以降、中国を中心とする海外需要の増加で国際商品市況が上昇し、企業物価指数が3年5ヶ月ぶりに前年比での下落が止まるなど、デフレ的な動きは弱まっている。


ただし、自動車や情報関連など好調業種が立地している東北や中部では好調な反面、公共投資の削減から北海道では低迷が続くなど、景気回復の地域間格差が、従来になく大きい。


また完全失業率は全体としては改善が続いているものの、若年層(25歳未満)の雇用環境は依然として厳しい。


一般物価水準が持続的に下落する状況のこと。


GDPデフレーター(物価水準を示す指標。名目GDP ÷ 実質GDPで算出)を前年比でみると、1994年度以降、消費税率引き上げの影響のみられた時期を除くと下落基調にあり、日本経済は緩やかなデフレの状態にある。


政府も、2001年3月の「月例経済報告」において、持続的な物価下落をデフレと定義した上で、日本経済が「緩やかなデフレ」にあると判断。


デフレの要因としては、①安価な輸入品の増大やパソコンなどにみられる生産性の向上など、、コスト低下をもたらす供給要因と、②景気の弱さからくる総需要不足要因(需要要因)があげられる。


日本銀行の研究報告書(03年)では、00年頃までは安価な輸入品が最大の物価下落要因であったが、02年以降は需要要因の影響が大きいと分析。


デフレは実質金利や実質賃金を上昇させる一方、名目の売上高を減少させるため、過剰債務をかかえた企業の債務負担を増加させ、企業の収益を圧迫する。


05年度版の『経済財政白書』は、バブル経済崩壊以降長期間日本経済を苦しめてきた雇用、設備、債務の「三つの過剰」が解消に向かってきたと分析。


しかし、程度は緩やかになったとはいえ、依然として日本経済にとってデフレ問題が100%雲散霧消したわけではない。


なお、かつては一般物価水準が文字通り下落する事態はなく、円高や緊縮的な財政金融政策などによる総需要の抑制をデフレ圧力と呼んでいた。


ある会社が他の会社を完全子会社化するために、子会社となる会社の株式を新たに発行する自社(親会社となる会社)の株式と交換すること。


いわば、自己株式を買収資金の代わりに利用する買収(⇒「M&A」)である。


1999年10月施行の快晴商法によって認められた。


同時に導入された類似の制度として、既存の会社が新設会社の完全子会社となる株式移転制度がある。


97年の独占禁止法改正によって、戦後一貫して禁止されてきた純粋持ち株会社(pure holding company 事業を持たず、株式所有によりほかの会社の事業活動を支配する会社)の設立が認められた。


しかし、既存の会社が持ち株会社を設立してその傘下に入るためには、現物出資による会社設立後の営業譲渡や新規に設立した会社による既存会社に対する株式公開買い付け(TOB)などの複雑な方法を取る必要があった。


また、アメリカでは、現金ではなく株式を利用した企業買収が活発である。


こうしたことを背景に、企業再編に役立つとの観点から制度が改められた。


被買収会社の取締役会の同意を得ずに買収を仕掛けること。


企業買収は、法律的には株式の取得であり、譲渡制限のない公開会社を買収する歳に、被買収会社側の同意は必要ない。


しかし、事業の再編や拡大の手段として買収を活用する場合、円滑に進めるために相手側の同意を取り付けるのが通例である。


同意が得られない場合や他の会社との間で買収や合併の同意が進んでいる場合などには、敵対的買収が選択されることになる。


その場合、TOBの手続きがとられることが多い。


ライブドア事件では、TOBではなく立会外取引を通じた株式の大量取得が行われ、TOBルールの不備が浮き彫りになり、2005年6月の証券取引法改正で、立会外取引がTOB規制の対象とされた。


日本では、敵対的買収は企業風土になじまないといわれてきたが、最近は、実例が増えている。


公開企業の支配権の取得や強化を目的として、不特定多数の株主向けに、公告による株式売却申し込みの勧誘を行い、買い付けを実行すること。


通常は、直前の株価を上回る価格が提示される。


1971年の証券取引法改定で制度として導入された。


欧米では、敵対的買収の手段として広く利用されているが、日本では、もっぱら関係会社を子会社化するといった場合に用いられてきた。


しかし、2003年末から04年初めにかけて、アメリカの投資ファンドがソトー、ユシロ化学工業に対する敵対的TOBを仕掛けるなど、最近は状況が変化しつつある。


理論的には、TOBによって、企業価値を高められない経営者が退場を迫られる場は、企業支配権市場(market corporate control)とよばれ、企業経営の効率化に資するとされる。


企業の買収(acquisition)および合併(merger)。


買収とは、ある会社の株式を現金や自社の株式を対価として取得し、子会社とすること。


合併とは、二つ以上の会社が契約により一つの会社となることで、通例、消滅する会社の株主に対して、存続会社の株式が割り当てられる。


いずれも、会社の事業規模を拡大したり、新たな分野へ進出したりする目的で行われるが、合併には、当事者となる会社の株主総会の特別決議による承認が必要であるのに対し、買収は、単なる株式の取得であり、そうした手続きは必要とされない。


かつては日本企業は自前主義を好み、グループ会社間以外でのM&Aはまれであった。


しかし、時代の変化に即行して事業の再編を行うには、「時間を買う」効果を有するM&Aが有利である。


最近では、一方の取締役会が同意していないのに買収を仕掛ける敵対的買収も登場し、M&Aが活性化する兆しを見せている。


外国為替の取引には、直ちに代金の支払いと外貨の受け渡しが行われる直物為替取引のほかに、将来ある時点(ないし、ある期間)にあらかじめ予約した価格で外貨の売買を行う先物為替取引がある。


今日の外国為替市場では、為替の需給により主要な通貨について、直物(じきもの)・先物の価格が決まっている。


このうち先物為替取引は、将来外貨が必要な人が外貨を事前に買う、ないしは将来外貨を入手することを見込める人が外貨を事前に売ることにより、為替相場変動により外貨の価値の上昇・下落によるリスクを避ける(リスクヘッジとよばれる)ことなどに用いられる。



企業や金融機関が、外貨建ての資産や負債全体として、どの程度の大きさの為替変動リスクにさらされているのかを把握するために用いられるのが「為替持高」である。


説明を簡単にするために、米ドルと円しかなく、また為替の先物契約(⇒「先物為替」)などを保有していない場合には、ドル建て資産残高からドル建て負債残高を差し引いた額が為替持高となる。


この金額がプラスのときはドルの買い持ち、マイナスのときは売り持ち、そしてゼロのときスクエアとよばれる。


ドルが円に対して下落したときには、買い持ちであれば全体として損失を被り、売り持ちであれば利益を得る。


そしてスクエアのときは、円ドル相場が変動しても損益は発生しない。


言い換えれば、スクエアとは、為替変動リスクを持っていない状態である。


為替の先物契約は「実現していない取引」としてバランスシートに計上されないが、この契約は、将来実行する時点で自分に不利になっても、履行する必要がある。


このためバランスシート上の外貨建て資産・負債と同様に、為替の先物契約も、ドルの先物売りは負債として、ドルの先物買いは資産として、為替持高に含める必要がある。


ドルの先物取引を含めた持高は、直先総合持高あるいは直先総合ポジションとよばれる。


この為替の先物契約に関係した為替の持ち高として、外貨建ての輸出入契約にともなう、外貨の受取債権、支払い債務がある。


これは為替の先物契約と同様、為替持高として認識する必要がある。


日本の金融機関、企業、個人などが、ドル建ての資産を保有していると、将来ドルの対円相場が下落した場合に損失を被る可能性がある。


ある人が、海外旅行の使い残しの1000㌦の旅行小切手を持っているとしよう。


仮にこの旅行小切手が旅行前に1㌦当たり110円で購入され、ドルが旅行中に円に対し下落し1㌦当たり100円になったとすると、この人は旅行小切手を銀行に売却することで1万円の損失を被る。


これとは逆に、もしドルが円に対し上昇し1㌦120円になったとすると、旅行小切手の売却により、この人は1万円の利益を得ることになる。


またドルを借りている企業の場合は、ドルが円に対し下落すると、返済に必要なドルの円換算額が減少し利益を得る。


これに対しドルが円に対し上昇すると、この企業は損失を被る。


このように外貨建ての資産や負債を保有していると、自国通貨の為替変動ににより利益や損失が発生する。


こうした為替変動にともなう利益や損失が発生する可能性は、為替リスクとよばれている。銀行、輸出入業者や海外投資を行う機関投資家などは目的に応じて、このような為替変動リスクを利用して利益を上げようとしたり、為替変動リスクを避けるための金融取引(「カバーを取る」ないしは「ヘッジする」とよばれる)を行ったりしている。