ナイジェリアの汎アフリカ主義運動家にして独得のアフリカン・ファンク・ミュージック「アフロ・ビート」の創始者、フェラ・アニクラポ・クティFela Aniklapo Kuti(1938-1997)の1992年作、生涯最後のレコード。

一般に、軍隊を「能なしのゾンビ」呼ばわりした痛烈作『ゾンビ Zombie』(1976)が有名ですが、このアルバムは似たような雰囲気がありつつも、更にテンションが高い。曲構成も複雑で練られていて、聴くほどに深いです。

ぶっちゃけ、今まで聴いたフェラの作品中で、一番好きですね。最高傑作だと思います

長尺曲2曲入りですが、どっちも疾走感のある曲。フェラ御大のボーカルも、ヘタウマなサックスやキーボードも、「これを言うまで、死ぬわけにはいかん!」的な凄まじい切迫感がある。『ゾンビ』以上のアルバムですね。

一曲目の"Underground System"は、西アフリカ諸国経済共同体ECOWASの機能不全と汎アフリカ的なリーダーの不在を批判している曲。

「俺が子供の頃から、信じられる政治家なんていなかった。今世界中の若い人が彼らのリーダーを見上げている。だが政治家は彼らに何をしているんだ!?」
というような歌詞を激しく歌っていて、『ゾンビ』の嘲笑的な態度よりも、もっとパーソナルな感情のほとばしりを感じる。

2曲目の"Pansa Pansa"に至っては、過去の曲名を列挙し「俺は『ゾンビ』を歌った。『ギブ・ミー・バナナ』を歌った。だが彼らは何も聴かなかった」という歌詞なのだ。
でもしょぼくれて歌ってるわけではなく、「いいかげんに聴きやがれ!」って感じです(笑)
畳みかけるようなコーラスと荒れ狂うブラスが最高。

この後亡くなるまでの期間、政治やレコード制作に幻滅したフェラは、拠点のクラブ「シュライン」のライブで新曲を演奏しつづけていたそうですが、それらはレコードになっていない。幾つかはYouTubeで聴けますが、正規に音源化してほしい。

A.S.B.O.P.(Akunakuna Senior Brother Of Parabulator)
http://www.youtube.com/watch?v=NagpKz16f98
M.A.S.S. (Movement Against Second Slavery)
http://www.youtube.com/watch?v=o_Ms1QVg_f4
G.O.C.(Goverment of Crooks)
http://www.youtube.com/watch?v=oQgXr7Fv5dI
C.S.A.S.(Condom Stalawagy And Scatter)
http://www.youtube.com/watch?v=4D_IgN_yd5Q
Chop And Clean Mouth Like Nothing Happen
http://www.youtube.com/watch?v=kZR5byINhSI

B.B.C. (Big Blind Country)
http://www.youtube.com/watch?v=k0jPUjTxOL4
この曲のギター、This Heatがライヴの前のSEにフェラ・クティを流していたという話を連想する。
Underground System/Imports
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