その日は、おれの人生で一番切ない日だったかも。
東京駅について彼女が来るのを待つ間、どこでご飯食べようかとかしばらく散策した。
高いビルが立ち並んでいて、夜景の見えるような雰囲気のあるお店も多い。
程なくして、仕事帰りの彼女と合流した。
今働いている職場が割りとゆるいせいか、かわいい私服姿だった。
お好み焼きを食べに行こうって事で一致して、しばらく歩いていたがいっこうに見つからない。
しょうがないから他にしようってなると、どうせなら雰囲気のあるとこ行こうってことになって、憧れのまなざしで見ていた高層ビルにある夜景の見えるイタリアンの店に踏み入った。
まったくの別世界のように思われた。
なにせおれはジーパン姿のちょうカジュアル。
どう考えても場違い。
でも彼女もその雰囲気に喜んでくれてるようでよかった。
なによりおれはこの後、この店の雰囲気に助けられる。
黒人JAZZメンの演奏を聴きながら高級イタリアンを食す。
落ち着かない雰囲気にも、彼女と話してたら楽しめた。
しかしこう楽しく会話してたんじゃプレゼント渡すタイミングも難しくなる。
前にも言ったが、おれは彼女にプレゼントなんかしたことないし、高額な品にひかれやしいないかとびびってる。
そんな時、偶然にも話題が彼女の壊れた腕時計の話になった。
おれは妙な運の流れに思わず笑いがこぼれてしまった。
そして彼女に言った。
「わかってると思うけど、おれがやることはみんな衝動的で、今日来たことだって思いつきだから。
だから、ひかれたりするのも覚悟の上だから。」
なんの脈絡もないおれの台詞に「何?何?」といった感じの彼女に、
おれはテーブルの下から隠し持っていたプレゼントを取り出して置いた。
「はい、誕生日プレゼント」