1956年日活「飢える魂」
川島雄三監督

二組の不倫が題材の人気ラジオドラマを映画化し、また小林旭のデビュー作でもあります。
そして、「よろめきドラマ」を撮ったのが川島雄三監督と今村昌平助監督というのも注目されます。

ヒロインの芝令子(南田洋子)

令子は24歳も歳が離れた芝直吉(小杉勇)と結婚し、裕福な生活を送っているが、まるで自らを秘書か娼婦としか考えていない夫に不満を持つ。

立花烈(三橋達也)
独身の実業家でプレイボーイが商売敵の芝直吉の妻令子に一目ぼれし、令子につきまといます。

立花は過去の清算をするため、付き合っていた女達と手を切ろうとします。
立花の女の泉谷のり子(渡辺美佐子)

もう一組のカップル
夫を亡くし二人の子供を育てながら生計を立てる小河内まゆみ(轟夕起子)と仕事上の付き合いから恋愛に変えようとする、妻ある身の下妻雅治(大坂志郎)

この作品は脇役が注目なんです。
小河内まゆみの長男役が映画デビュー作になる小林旭(当時17歳)
役名も昭(あきら)
この作品がDVD化されているのは、小林旭のデビュー作だからではないでしょうか?

山手線の旧国電

昭の隣に座っているのが、妹の伊勢子(加藤勢津子)
加藤勢津子さんは長門裕之・津川雅彦の妹です。

勢津子の同級生の味岡章子(桑野みゆき)
桑野みゆきさんは松竹女優として名が知られていますが、当時はフリーだったのかな?
調べると当時14歳だったそうですが、演技上手い。

注目の鉄道シーンは名古屋駅に到着したEF58牽引の特急「はと」
芝夫妻は倉敷?岡山?から名古屋まで直通する列車に乗らずに大阪で降りて、「はと」に乗り換え名古屋迄乗車した?

「はと」のサボが写っています。
「はと」の座席で芝夫妻が会話するシーンはありませんでしたが、「はと」から名古屋駅に降りるシーンはありましたので、「はと」には乗車しています。

これは東京から倉敷へ向かう急行列車?の特別二等車の様子ですが、実際は「はと」の車内で撮ったのかも知れません。

洗面所を使う令子
これも「はと」かな?

これも「はと」?のデッキで再会した立花と令子

最後は京阪特急1700系
ただ、小河内まゆみが三重の松阪市から京都に向かうのに、何で京阪特急を使うのか謎です。
近鉄特急じゃないの?
車掌が終点京都三条と言ってるから、京阪特急に乗っているのは間違いないのですが。
鉄道ファンとすれば色々疑問がありました^^

ということでこの作品、川島監督が撮っているので、幾分上品な作品に仕上がっていますが、ラジオドラマを聞いていた人々は、もっとドロドロした展開を期待していたのかも知れませんね?
でも倉敷、鷲羽山、名古屋、紀伊勝浦、松阪、京都と多彩にロケ敢行し、ふんだんに制作費使っています。

この「飢える魂」と「続・飢える魂」そして「銀座二十四帖」の川島監督の三作品は7月9日まで無料配信されていますので、是非ご覧になって下さい。