今回紹介する作品は
1961年(昭和36年)新東宝
「セクシー地帯」
石井輝男監督
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あらすじ
東洋貿易のサラリーマン・吉岡(吉田輝雄)は、夜の銀座で女スリ(三原葉子)に部長から預かった書類を奪われた上にスリ一味と間違われ、警察に連行されてしまう。

石井監督の地帯シリーズ第四弾は、いつものように主人公と秘密買春組織の対決なんですが、
平岡精二さん演奏のヴィブラホンの効果で凄くお洒落な雰囲気の作品に仕上がっています。

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吉岡博司(吉田輝雄)
女スリに部長の大事な書類を奪われた罰で大阪に転勤を命じられた上、恋人を殺害した罪で追われる羽目に。
二枚目だが頼りないキャラで、三人の女性に翻弄されます。
こういうキャラは他の俳優が演じたらわざとらしく感じる事が多いですが、吉田さんは地だからか?、本当に天下一品の上手さですね。

そして吉田さんを翻弄した三人の女性を紹介
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滝川玲子(三条魔子)
吉田さんの彼女で同じ会社のタイピストですが、実は会社が「接待用」で秘密買春組織から派遣された特殊な女性でした。
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三条さんはお昼休みを利用して、大阪のパトロン(近衛敏明)と密会していた。
スケベキャラの大御所・近衛さんを軽くあしらい。

その後、吉田さんに左遷命令を出した森川部長(九重京司※秘密買春組織の上客で三条さんと関係)と会い「吉岡さんの転勤を取り消さないと、二人の関係をバラすわよ。」と脅して、転勤命令を取り消させてしまいます。
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ボートに乗ってデートする三条さんと吉田さん

三条さんと吉田さんの実年齢は7歳年の差がありますが、完全に三条さん主導です。
まぁ凡庸なサラリーマンと海千山千の組織の女ですから当然でしょうか。
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しかし何を思ったか、三条さんは組織を辞めようと考えボスに話しますが、当然ながらボスは承知しません。
すると三条さん「「警視庁保安課へ無記名で当初一本出せば解決がつくでしょ。一流商社へ特殊な接待婦を提供する秘密組織、ビザール・クロッキークラブ。電話一本で、いつでも、何人でも素晴らしい美女がお相手します……なんて書いてね」と言ってボスを脅しました。

いくらなんでも会社の部長と犯罪組織のボスとでは同じ脅しは通用しませんよ。
三条さんはあっさり殺されてしまいました。

三条さんの出番は最初の17分だけでしたが、17歳とは思えないトッポイキャラ全開の演技で、三条さんは橋幸夫さんと共演の「江梨子」よりもこちらの方が代表作だと思っています。

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真弓(三原葉子)
二人目は女スリで今回のヒロインです。
いつも通りの三原さんのキャラですが。
「あたしのね、一番好きなのはスリル。それからハンサムな男の子」と公言し。
「バスト99、ウエスト64、ヒップ99よ」「国際的水準よ」とボディを自慢します。

踊りのシーンはありませんでしたが、あっけらかんとした可愛いキャラは「黄線地帯」と並んで三原さんの代表作の一つですね。

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東京の夜の街を歩く吉田さんと三原さん。
吉田さんは三原さんにスラれた為に大変な目にあったのに、再び出会うと三原さんに主導権を握られてしまいました。
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三原さんがスッた中に秘密買春組織の会員証があり、偶然に入った組織の取次店で指名すると、指定したホテルにコールガール(吉田昌代)がやって来た。
吉田昌代さんは三原さんよりも多く石井監督作品に出演していましたが、これが最後になりました。

三原さんは吉田昌代さんを脅して組織の実態を聞き出します。
この時吉田輝雄さんは、すっかり手下扱いでした(笑)
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吉田昌代さんの次の相手だった客に会いに東京駅丸ノ内改札口へ
目印はダッコちゃんですが、劇中では何故かウインキーちゃんと言ってます。

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吉田さんは秘密買春組織の取次店を洗って、組織の喫茶店にいる女・秋子(池内淳子)に目を付けます。
三人目の女の池内淳子さんですが、石井監督初期作品以来久しぶりの出演で、吉田さんとも初共演ですね。
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夜の浅草六区を歩く池内さんと吉田さん
新東宝作品なのに、日活と第二東映の映画館が堂々と映っています。
日活の映画館では「渡り鳥」シリーズが上映されている様です。

吉田さんは虚勢を張って「猟奇的」な物が観たいと言いますが、浅草が古巣の池内さんが、実演の強姦ショーを見せると、吉田さんはタジタジになりました。

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瀬川(沖竜次)
秘密買春組織ビザール・クロッキークラブのボスです。
ビザール・クロッキークラブとは、客に裸女のクロッキーをさせて、客が気に入った女を買う仕組みになっていて、上物の女は三条さんの様に会社接待用に派遣されるのです。

これまでの地帯シリーズの悪役のボスは、大友純さんをはじめ年配者でしたが、ここで沖さんを使いましたので、石井監督が沖さんに期待していたかが分かります。

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須藤刑事(細川俊夫)
三原さんと顔なじみの凄く人のいい刑事さんです。
細川さんが人のいい役を演じるのは非常に珍しいです。

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三原さんは悪い癖が出て、新橋駅前で沖さんの財布をスルのがバレて捕まり、組織の女にされてしまいますが、吉田昌代さんの通報でバレているとも知らずに、能天気にクラブのカードで潜入した吉田さんと共に縛られて殺される運命に・・・

結局窮地を脱したのは三原さんのお陰で、吉田さんはちっとも役に立ちませんでした(笑)
それでもいい味を出していましたよ。


あとがき
石井監督作品の中で、作品の完成度では「セクシー地帯」が一番だと思います。
それぐらい出来のいい作品なんですが、石井監督は次回作の制作中に新東宝のスタッフと喧嘩別れしてしまい、新東宝を去ってしまいました。

まぁ、どのみち新東宝倒産避けられなかったと思いますが、最後まで運命を共にして欲しかったです。