今回紹介する作品は
1960年(昭和35年)東映
「ぽんこつ」
瀬川昌治監督
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あらすじ
東京の下町、本所竪川町のポンコツ屋(犬塚商店)に、女子大生の和子(佐久間良子)が現われた。
彼女は父が酔払い運転でつぶしたルノーを、従業員の勝利(江原真二郎)に相場以上の値段の四万円で引きとらせた。

東映「列車シリーズ」松竹「旅行シリーズ」等、多くの喜劇映画を撮った、瀬川昌治さんの監督デビュー作です。
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熊田勝利(江原真二郎)
ポンコツ屋で働く真面目な青年だが、朴訥過ぎるので皆から「マケトシ」と呼ばれていた。
ただ、機械いじりが好きで、将来の夢がありました。
父親の事故車を売りに来た和子(佐久間良子)を好きになるが、なんせ奥手なので中々進展しません。

当時の江原さんの役は、女性の方が主導権を握る場合が多いですね。
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ここは女子大の自動車部の運転コース
何やら頼りない運転の車がやってきました。
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三津田和子(佐久間良子)
女子大の自動車部に所属する機械が好きな女の子だが、肝心の運転は父親譲りなのか、ドが付く程の下手くそです。
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佐久間さんの家庭は比較的裕福なのに、卒論費用を自分で稼ごうとします。
それは感心な事なんですが父親の事故車を4万で売ったが、父親には1万で売れたと嘘を言い、差額の3万をちゃっかり着服します。親に頼めば普通に費用は出してくれそうなのに。
そして、江原さんが大事にしている外車のナンバープレートを盗みます。
なんだかによく分からない性格のキャラです。

でも、この頃の佐久間さんが好きなんですね(笑)
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水野美沙子(小林裕子)
佐久間さんの同級生。佐久間さんの親友であり、江原さんを巡るライバルです。
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ストーリーは江原さんよりも、佐久間さん中心でした。
卒論は文章ではなく、八ミリカメラとテープレコーダーを使った卒論を映像で製作する画期的な発想。
※実際は、ゼミの先生(柳沢真一)に卒論提出を迫られて苦し紛れに出た話ですが。
題材を探しに街を歩く二人
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卒論は「自動車事故について」の論文に決定
二人は、交通事故の多発が社会問題化しているのに着目し、警視庁の井沢警視正(十朱久雄)に突撃インタビューを敢行。
警視庁の警視正がインタビューを簡単に引き受けますかね?
しかも、ハレーションまで気にする十朱さん(笑)
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当時八ミリフィルム代やテープ代が高かったので、早くも資金が無くなってしまいます。
お見合い映像の製作というアルバイトを思いついた二人は、オールドミスのしず江(清川虹子)宅へお邪魔します。
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江原さんの雇い主・犬塚君二郎(上田吉二郎)と娘の花江(山東昭子)
吉二郎さんはがめつそうですが、いい人です。山東さんがセーラー服とは・・・
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佐久間さんの両親、山茶花究さんと沢村貞子さん

二人は結構気さくな物分かりの良い人で、麻雀もしますし、社会的ステータスの違う江原さんとの結婚問題も、佐久間さんの説得にあっさりと折れてしまいました。

これなら尚更卒論費用を頼めば良かったのに(笑)
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江原さんに気がある近所の住人(若水ヤエ子)
この作品は、若手スター以外は殆ど喜劇俳優や劇団俳優が演じています。
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ラストシーンは、江原さんがポンコツ車を改造して作った、両シート運転席のオープンカーに乗る結婚した二人。
佐久間さんが運転させろと言い張り、危険運転した落ちで終わりました。


あとがき
瀬川監督のデビュー作なので、ストーリーは色々と突っ込み所はありますが、テンポ良く観ることが出来ました。
やっぱり喜劇監督の素質があるなと思いますね。
喜劇はテンポが第一です。


ただ、鉄道シーンは無かったのが意外でした。
「列車シリーズ」や「旅行シリーズ」を観ると、かなりの鉄ちゃんかなと思っていたのですが、どうやら違ったようです(笑)