今回紹介する作品は
1969年(昭和44年)ピロ企画製作 日活配給
「涙でいいの」
丹野雄二監督



あらすじ
女子大生の杉谷千春(松原智恵子)は実家に帰って家業の牧場の手伝いをしていた。
馬車を引いて牧場に帰る時に、姉の恋人だった曽根伴雄(御木本伸介)と出会う。

松原さん主演映画ですが、意外なことに3月公開の初主演「恋のつむじ風」に続いて、これがまだ2作目の主演なんですよね。

もちろんテレビドラマでは主演をバンバンやっていましたけど、映画ではようやくでした。
何で主役になるのがこんなに遅かったのですかね。

それから製作の「ピロ企画」ですが、乳酸飲料の「ピロビタン」の子会社で、これが初作品。
エキストラとしてピロビタンの社員が駆り出されたそうです。

「ピロ企画」製作で有名なのは「ハレンチ学園」第一作ですが、劇中で「ピロビタン」の宣伝をしつこい程やっていましたが、ここでは申し訳程度に「ピロビタン」を見せただけでした(笑)



主人公・杉谷千春(松原智恵子)
いきなり馬車を引くシーンで登場した松原さん。
テンガロンハットも決まって我ながらベストショットだと思うのですが、いかがでしょうか。



馬車を引いて東北本線の黒田原駅にやってきた松原さん。
日活無国籍映画の様なシーンですが、ちょっと陳腐でした。
でも、ちゃんと松原さんが運転していますね。



姉の杉谷千秋(稲垣美穂子)
稲垣さんは1961年に日活を辞めて、俳優座養成所に入りました。
普通は劇団養成所から映画界入りしますが、逆パターンは珍しいのではないでしょうか。

久しぶりに里帰りした稲垣さんですが、その訳は丹野雄二監督が旦那さんだからです。



写真家の曽根伴雄(御木本伸介) これは意外な人選ビックリマーク
御木本さんは新東宝で準主役級でしたが、新東宝倒産後はフリーとして主にテレビドラマで活躍しました。
今まで日活には縁が無かったと思いますし、美人姉妹に惚れられる役なんて初めてだと思います。



姉へのライバル心から、積極的に御木本さんにアタックする松原さん。
こんな積極的な松原さんを観たのは初めてかな



松原さんと東京で同居している前田愛子(黛 ジュン)
実は歌謡映画でもあるのです。
重要なキャラではありませんでしたが、劇中で映画タイトルの「涙でいいの」と「雲にのりたい」を歌いました。


他に浜田光夫・山本陽子。友情出演で内田良平・和田浩二等も出演していますが、今回はチョイ役の方を紹介します。


映子(西恵子) 松原さんの友人役で出演
西さんは前年「BG・ある19才の日記 あげてよかった!」でいきなり主演デビューしましたが、その後は小さな役ばかりで早々に日活を退社。
今回も牧場で松原さんの友人達と一緒に歌を歌っているだけでした。

退社後は「ウルトラマンA」等に出ていましたね。



フーテンのお雅(明星雅子)
明星さんは大映出身、「勝負犬」で鴨井大介と同じアパートの住人役(ちょっと色っぽい女子大生)が印象的でした。
劇中では、喫茶店で客と諍いを起こしたあと、ダンスシーンでダンサーチームのリーダーとして踊りました。
明星さんにこんな特技があったのか。



松原さんの友人役(つかせのり子)赤い帽子の人
西さんと同じ役でしたが、台詞は少しありました。

この方は「つかせのりこ」でスパンクの声等を担当した有名な声優さんです。
凄いお宝映像だと思いますが、つかせさんは若くして亡くなったのが惜しまれます。



鉄道シーンは小田急3100形NSE車



御木本さんを廻って姉妹の葛藤がありましたが、結局仲直りして稲垣さんが御木本さんの元へ。
丹野監督はやっぱり奥さんを優遇していました(笑)

厳しい批評のブログもありましたが、そんなに酷い作品ではないと思いますがね。

松原さんはこの後も日活で主演を続けましたが、浅丘ルリ子さんが日活を去ったり、吉永小百合さんが他社へ「外貨稼ぎ」に出た後なので、何だか敗戦処理投手の様で可哀想ビックリマーク


ピロ企画は落日の日活にとって救いの神の様な存在でしたが、ピロビタン詐欺訴訟が敗訴になり会社は倒産しました。
日活は最後まで運に見放されましたね。


※最後に黛 ジュンさんの「涙でいいの」動画はYouTubeにあったのですが、貼り付け出来ない仕様になっていました(泣)