さて、また気ままに思ったことを書きます。
ちょこっと無責任なサッカー論ですが、オフシーズンですし、こちらブログですので、お許しください(苦笑)
今季、スペイン人と日本人を見比べる機会が、幾度かありました。
スペインに来て4年目。新たな発見があり、疑問が生まれました。
日本人は、狭いスペースを使うのが下手
そう思うに至った現象や、原因などを挙げてみたいと思います。
まず、日本サッカー観で
「フィジカルがないから、狭い局面では不利だ」
という概念が存在している気がします。
しかし、海外の選手は、小柄な選手ほど狭いスペースを有効活用しているような印象を受けます。
シャビ、イニエスタ、メッシ
などは、特筆ですが、ほかにも。
D・シルバ、チチャリート、ビジャ
なども挙げられると思います。
僕自身、小柄なので、プレーしていて思うのは
「フィジカルで劣るからといって、フィジカルコンタクトを避けることは答えではない」
と、いうことです。
もちろん、それも一つの考え方だと思いますが、本質からずれた上で、これをやってしまうと、ピッチ上で「ただのビビッている選手」という印象を与えかねません。
むしろ、「小柄だからこそ、きちんとフィジカルコンタクトをできる選手」が、狭いスペースを有効に活用し、決定的な仕事をしている気がします。
そして、
「オープンスペースを作る、使うことへの固執」
この概念も、日本では日常化していると思います。
某Jクラブのジュニアユースの遠征に帯同していたときの感想です。
チェンジサイドは、驚くほどにうまい。
しかし、それに気付いた相手チームは、チェンジサイドを許可します。
これこそつまり、「相手DFの前で、ボールを動かす」現象の典型的なパターンです。
日本チーム同士だった場合、
「どこからプレスをかけるか」
が、外から見ていても、けっこう明白です。
「どこで奪うか」
これ、だいたいのチームにおいて、一緒です。
①1STディフェンダーがコースを限定し
②2人目、3人目が組織的に連動して、挟み込みを狙う
いわゆる“嵌める”ってやつですね。
この守備の仕方の場合、重要なのは、「切り方」。
みなさん、イメージを共有できると思うのですが、「中を切る」「限定する」1STディフェンダーの守備で、相手チームにチェンジサイドさせないように守備をしますよね?
ここに、落とし穴があります。
日本人チーム同士だった場合、それでも相手チームはつなごうとするため、“嵌めて”奪うこと、相手のミスを誘って奪うことが意図的に実行できます。
しかし、海外のチームが相手だった場合。
相手は、“自らボールを失う”という、勇敢な行為に打って出ることを厭いません。
つまり、そのプレス網を無効化するために、本能的に「蹴る」のです。
プレスをかけている分、それ以外のゾーンには、広いスペースが広がっています。そこに、海外の身体能力に優れた選手目掛けてボールを蹴られると、日本人DFは対応に苦労します。そうして、あてもなく蹴られたボールは、難なく相手の前線で納まったりします。
本能的な「蹴り」によって、緻密化されていたはずの守備組織は、壊されてしまいます。
守備面でも、「狭いスペース」は、一瞬にして無効化され、ここでも「狭いスペースの使い方の下手さ」が浮き彫りとなってしまいます。
<糸口>
この現象を打破するために、解決策とまではいきませんが、その糸口を探ってみたいと思います。
“オープンスペースを使わない”
あえて、これを徹底してやる。
狭いスペースでの、「ボール奪取合戦」に、あえて挑むのです。
日本の認識として、少し薄いと思うのは、狭いスペースでボールを失うことは、恥にも悪にもならない、ということです。
なぜなら、すぐさま奪い返すチャンスに恵まれているからです。
<心理的なデメリット>
ここで、重要なことを言いたいと思います。
「重要なのは、選手が意図的にサッカーをしていると自覚しているかどうか」
戦術、というベースでは、これが最重要だと個人的には考えています。
日本人同士で対戦した場合、なぜこの守備が、それほどまでに嵌り、海外では簡単に打開されるケースが頻発するのか。
それは、選手自身の心のうちにあります。
「自分たちのやっていることは、間違っていない」
これが、組織における連動性の精度の鍵を握ります。
日本では、
・チェンジサイドをさせない
・1STディフェンダーの切り方
・それに対して、2人目、3人目が狙い、奪う
これが、やりやすいんです。理由は、上記。この現象が試合中に起これば起こるほど、選手は戦術に自信を持ちます。
日本でできているからこそ、海外でこれが無効化されたとき、選手はパニック状態に陥ります。
「自分たちのサッカーは、間違いなんじゃないか」
「自分たちの戦術は、通用しないのではないか」
この心理面での後手が、海外のチームに勢いを与えます。
彼らは、日常的な試合経験から、「ここだ」という勝負所を心得ています。つまり、隙を見せれば、嵩となって覆い被さるように攻撃してきます。
この攻撃に耐え切れず、守備が瓦解して失点を許し、勝利を逃がす日本チームを数多く見てきました。
「狭いスペースから、逃げない」
この概念を持つこと、それが心理的な側面でも勇敢な選手を育て、日本人選手にさらなるステップアップを促すような気がしてなりません。