Point of Check①


・バルデス対マルチェナ



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・バルデス対マルチェナ


どういうこと?


バルデス→正統派「試合を壊す」フィード


マルチェナ→邪道「試合を壊す」フィード



バルサは試合開始後、プジョル・アビダルの2CB+ブスケッツの後ろ3枚によるビルドアップを敢行。


対するビジャレアルは4-4-2。守備時のポジショニングのバランスが抜群。基本的に双方の3ラインがセンターハーフ前後30~40Mに収まっている超コンパクトな試合展開。


これだけコンパクトだと、ビルドアップしながら、前進していくことは困難。「タテ」の動きで網に引っかかる。パスでも、ドリブルでも、剥がした先には必ずカバーしているDFが待ち受けており、そこが争点となり、ビジャレアルの奪い所となる。



<ビジャレアルの奪い所>

ビジャレアルの奪い所は、自陣真ん中。PAアークの少し前。そこにボールが入る瞬間、ボルハ・ブルーノのダブルピボ+カソルラが一気にゾーンを圧縮。スペースを一気に潰す。最終的にファウルで潰す。


よってサイドは捨てる。サイドは1対1。バルサは2対1をなかなか作れない。マックスはアビダルのフォローに回りポジションは守備時絞り気味で良いタイミングで上がって来れない。右サイドはメッシが引くためペドロは中にウェーブすることが多く(そのためアウベスのスペースは空くのだが)、アウベスにボールが入ったタイミングでワン・ツーできる良いタイミングでのサポートがない。


これがうまく機能しているから、“プレスの位置”を試合中に変えることで駆け引きを可能に。コンパクトに3ラインは上下。これにより前線のプレスもまた可能に。バルサ相手に前線のプレスを駆使せずに勝負することは最早困難に見える。90分間べた引きして守りきる自信と覚悟がなければ(例:チェルシー、インテル)。



<バルサの狙い-第一の変化ー>

こんなときバルサはどうする?


相手のプレスの位置を曖昧にしてしまう。


要は、「どこで奪うか」をぼかして、相手に無駄走りしてもらいましょう、と画策する。


特に相手が前線からのプレスに出てきた場合、バルサはほぼ100%「GKを使ってのビルドアップ」を断行する。この試合も例にそぐわない。


ここで、


・バルデスの正統派「試合を壊す」フィード


が抜群の効果を発揮する。



簡潔に言う。


この試合、特に前半、バルサがペースを保てたのはこのバルデスからのフィードが右SBのダニ・アウベスに数本通ったからだ。


前線からのプレスでビジャレアルはロッシとニウマールが2CBをマーク。バルデスにパスコースはない。よって、「飛ばす」パスを選択せざるを得ない。最後尾からの「飛ばす」パスはリスクをかなり伴うし、精神的にも大きな負担。ミスキックが相手FWに渡ればこのレベルでは即失点。


しかし、バルデスは「ミスするならタッチラインを割ってしまうように」ミスをすることを心がけた。これがズバリでアウベスに蹴ったフィード4本中3本成功。これにより、ビジャレアルの最初のプレスラインは無効化(飛ばされてしまいますから)。MFラインからのプレスを始めざるを得ない。


これが、徐々に「試合を壊す」。


ビジャレアルは、プレスの位置をぼかされ始め、修正せざるを得ない。


守備は、後手になる。



こうして、


バルデスのフィード=前線のプレスの無効化(一時)


この図式が成り立つ。





・マルチェナの邪道「試合を壊す」フィード


これは、ビジャレアルがボールを奪ったときに発動。


ビジャレアルは自陣のPAアーク付近でボールを奪うものの、奪ったときの態勢は決して良くはない。


バルサ相手だ。それくらいリスクを背負っている。圧縮しているということは、マークを捨てているということ。


ボールを奪ったとき、つなぐ余裕はない。バルサの選手がすぐ横にいるし、攻守を切り替えてもう一度ボールを回復しに来る。


「蹴るしかない」。


この最終オプションのとき、マルチェナは「最も空いている空間に蹴る」フィードを常に実行。


なぜか?


最も空いている空間に蹴る→FWとDFの「ヨーイ、ドン」。


ビジャレアルにはロッシとニウマールという快速2トップがいる。


「もしかしたら」が起こりうるし、少なくともバルサDF陣に恐怖心を与えることができる。これは駆け引きを行ううえでとても重要な要素だ。


マルチェナは経験が豊富だからなのか、自身が持つ能力からなのか、「どこが空いているのか」を察知する「空間把握能力」が非常に優秀な印象を受けた。


これにより、バルサは「後ろ向きで」ボールを奪わざるをえなくなる。


→GKバルデスに戻す


→ビジャレアル前線からのプレスor引いて自陣で待ってブロック作っての守備


選択肢を持っての守備。


これで簡単には後手に回らない。



・バルデス対マルチェナ


前半、この2人のフィードによって、試合における駆け引きは展開していった。