《試合前の注目点・試合開始後に気になった点》
・セビージャのサイド攻撃
・バレンシアのマタの攻撃(フィニッシュ)への参加
・4-4-2対4-4-2
《試合中の現象》
・セビージャのサイド攻撃
→ペロッティ(セビージャ)対マテュー(バレンシア)
基本的に両チームともにこのサイドではヘルプなし。1対1のガチンコ勝負。
結果: 3:7でマテューに軍配
・マタの攻撃(フィニッシュ)への参加
→4-4-2にしたこと、前半にバレンシアに一人退場者が出たことで、マタは消える時間が多かった。
狙いとしては、マタがいかにトップ下のゾーンに入ってくるか。いわゆるバイタルエリアというところに。
中盤の4枚はボックス型。だから、2トップがサイドに流れたときに空いた中央のバイタルエリアに「どのタイミングで」入ってくるか。そして。「どのタイミングで」「どのように」そこにボールを入れるか。
興味深かったのが、これにより中盤での「リズムを作るためのパス」が増えたこと。スペイン語で言う“Tocar”(タッチする)ようなパスが中盤で2,3本入る。おそらくマタがそのバイタルエリアに入る時間を作り、タイミングを計るため。
しかし、前述の通り、一人退場して、そこにボールはなかなか持っていけなくなった。
戦術を変えざるを得なかったですね。
・4-4-2対4-4-2
→お互いの選手のマークをはっきりさせるため
これはバルサ戦でもエメリ監督が用いた戦法。
ただ個人としてはちょっとびっくらこいた。しかも中盤をボックス型にするとは。
《試合中の変化》
・バレンシア、ボランチのトパルが前半25分前後に一発退場
これで完全にゲームの展開は変わった。
個人予想
エメリ監督がこれにどう対策するか、というより個人的な視点で「こうしたらおもしろいな」と思った意見を書きたいと思います。
・とりあえず前半は引いてブロック作って0に抑えて我慢
→セビージャのサイド攻撃はこのゲームそれほど破壊力を持っていない。引いてブロック作って、サイドから最悪クロスを上げられても跳ね返せる。そして前半残り時間を0で抑えて、後半何か違うゲームプランを用意する。
これは、大体予想通りに合ってました。狙い通り引いて守って跳ね返して0で抑えたバレンシア。
・いかに「タテに速く」というコンセプトに「あえて」スイッチ
マタを生かすための中盤の“リズムを作るためのパス”を「あえて」排除。そして、数的不利だが、「あえて」リスクを冒した「タテに速く」というコンセプトにする。カウンターとは違う意味で「タテに速く」。
どういうことかというと,「人数を減らして速く攻撃する」のではなく、「攻撃にかける人数は変えずに、タテに速く攻撃する」ということ。
だから、個人的な注目点は「パスの方向性」でした。
タテ方向へのパスがいくつ入るかな、と。バレンシアの場合、FWがディアゴナルにサイド方向に動いて流れてそこにパスを入れることが多いのですが、これも立派な「タテ方向」へのパス。
これはかなりリスキーな戦術だけど、エメリ監督ならやってくれるかな、と(笑)
《エメリ流「タテに速く」》
で、実際に試合で起きたのは、「タテに速く」だったんだけど、その手段が違った。
“ドリブル”
それも、“運ぶドリブル”。
このスピードアップで、「タテに速く」を実践していた。
これはなかなかおもしろくて、「パスでタテに速く」だと、時間を稼げず人数をかけられない。人数をかけたら逆カウンターを喰らってリスク高いし。
でも、「ドリブルでタテに速く」だと、パスより時間がかかる分、味方が上がる時間は作れる。でも、タテに行ってるから、攻撃自体は速い。で、味方が上がりきらないから、そんなに人数をかけるリスクもかからない。
見ていて、「味方が程よく上がっていく」印象・イメージ。
しかし、やはりリスクの代償は高かった。結局は逆カウンターでセビージャに先制され、0-1に。そこからセビージャがボールをじっくり回しながら、いたぶりながらいやらしく攻撃してくると、それに耐え切れずに数分後にまた失点。0-2。勝負あり。
でもあの展開で守りに入らないサッカーは、まさにスペインサッカーの真髄。
《疑問》
しかし、エメリ監督のサッカーは、「内容>結果」に映る。それは、コンセプトなのか?
また、これを凌駕する、最低でも「内容≧結果」くらいに持ち込めるやり方は可能か?
どうにも見ていて、「結果に拘らないからできるサッカー」に見えてしまう。まぁそれもスペイン・サッカーの本質なのかな。“競争主義だから結果に拘る”と言っても、イタリアほどじゃないし。
エメリ監督のサッカーは嗜好としては好きだけど、現実的な意味では違和感を感じたというのが、この試合後の疑問で、感想でした。