昨日、エスパニョールの新しいスタジアムの杮落としとして、エスパニョール対リバプールの試合が行われました。
僕は仕事の関係上で、運良くパスを手に入れ、俊輔のデビュー戦を生で見ることに成功。その模様をリポートしてみたいと思います。
俊輔のポジションは4-2-3-1の「3」の左。左ウイングと言っていいと思います。中盤の真ん中の3枚を形成したのはデ・ラ・ペーニャ、モイセス、イバン・アロンソの3人。つまり、予てから言われていた「ナカムラとデ・ラ・ペーニャの共存」がこうして果たされたわけです。
前半45分のみの出場でしたが、まず率直な僕の感想。
俊輔はサイドではなく中央に置くべきだ
というのが、僕の意見です。
彼はセルティック時代や代表戦でも何度かサイドを経験しているので、動きや戦術面での問題はもちろんありません。ですが、ことリーガ・エスパニョーラに関しては、彼のプレースタイルはサイド向きではありません。
その理由は、
①前を向けない
②前にボールを運ぶドリブルの推進力、スピード、突破力に欠ける
③足元でボールをもらいたがるため、チーム全体が詰まってしまう
この3つが大きな理由です。
①前を向けない
サイドでボールを受けると、すでにDFのプレッシャーを受けていることが多々あります。そこで半身でボールを受けてプレッシャーがきつかったら簡単に戻す、というのが日本の選手の多くが嗜好するプレーです。
しかし、スペインでは、サイドの選手はそこでいかにプレッシャーを受けながら前を向き、そのDFを引きずりながらでも1メートルでも前へボールを運ぶことが求められます。もしくは、プレッシャーが厳しい状態でもボールを預けられて、キープして攻撃の基点になることが求められます。
俊輔は、見ていると少しプレッシャーがかかるとボールを失うのを恐れて前を向くことをやめてしまいます。それは、スペインのサイドとしては物足りない印象をファンに与えてしまいます。
②前にボールを運ぶドリブルの推進力、スピード、突破力に欠ける
上記したとおり、スペインのサイドの選手はDFを引きずりながらでもボールを前に運ばなければなりません。そして、スペースがあるときには、多少強引にでもスピードに乗って突破することも求められます。
だがしかし、俊輔のプレースタイルというのは、それではありません。
③足元でボールをもらいたがるため、チーム全体が詰まってしまう
これは、チームがボールを保持しているときに、俊輔がサイドにいると、彼はどうしても引いて足元でボールを受けたがる。だが、サイドの選手は時にはグッと開いてドバーッと前に走り出すようなダイナミックな動きをしないと、攻撃に変化やアクセントが生まれません。
そして、これもまた俊輔の得意とする動きではありません。
一つ例を出します。ベッカムがR・マドリーに行ったとき、彼はサイドではなく中央で起用されていました。
それは、やはり彼のような典型的なクローザー(クロスを上げる選手)、ましてや低い位置でのアーリークロスをキックの精度に任せて頻発する選手はスペインリーグにはサイドとしては適応しにくい、ということです。
俊輔はこの試合でも1アシストを記録しましたし、光るパスセンスを持っています。しかしそのアシストも、中央付近でこぼれ球を拾ってのダイレクトパス、という咄嗟の閃きと判断力が光るプレーでした。その後、ゴールになるもオフサイドに取り消されはしたものの(リプレイで見る限りはオフサイドではなかった)、タムードへのスルーパスも中央付近から素晴らしいタイミングで出したパスでした。
これらの要因を踏まえても、俊輔が「自分らしさ」を存分に発揮してスペインリーグで活躍するには、中央付近のポジションでプレーするのがベターだと、僕は確信しております。