今日は先日観たスペイン代表の2試合と、昨今の日本代表のゲームとの比較から感じたことを綴ってみたいと思います。
「ポゼッション・サッカー」・・・ボールの支配率を高め、ゲームの主導権を握りながら攻撃を展開していく
これは、日本代表が目指しているサッカースタイルであり、世界の強豪国でこのサッカースタイルを実践している国の一つがスペイン代表です。
だがしかし。そこには決定的な「違い」があることに、ここ2試合のスペインのゲームを観て気付かされました。
試合は終始スペインがボールを保持し主導権を握る展開。アゼルバイジャン代表にしろ、ニュージーランド代表にしろ、対戦相手の国はいずれも引いて守る試合展開を余儀なくされました。
日本代表も、アジアの国と試合をすると、引いて守られてボ-ルを保持する展開になりますよね。
では、その「違い」とは。
キーワードは、「縦パス」「パスミス」「ボールポゼッションの位置」です。
スペイン代表。シーズンが終わったばかりの疲れもあってか、とてもパスミスが多かった。少なくとも、傍目にはそう見えた。
しかし。そのパスミスには、すべて意図があったのです。スペイン代表のパスミスは、ほぼすべてボールを「縦」に入れた時に起こる。もしくは、スルーパスを狙った時に起こる。
そして何度ミスをしても、恐れずにパスを縦に入れ続ける。ミスをし続ける。するとどうでしょう。ミスをしているのはスペインの方なのに、それがボディーブローのように効いて相手のDFラインがずるずる下がり、ほころびを見せるようになっていきました。
中盤でのボール回しにしても、横パスなど1,2本あるかないか。DFとDFのGAPが空けばすかさず「縦」にボールを運びます。「縦」にボールを入れるということは、ボールを保持する位置が高くなる、ということです。ボールを保持する位置が高いということは、ゴールに近い位置でプレーするということであり、自ずとゴールする可能性は高くなります。それだけでなく、相手のDFに与える肉体的、精神的プレッシャーも増大することになります。
ボールを保持する位置が高いと、そこでミスをしてボールを失っても、高い位置で守備をかけ、高い位置でボールを奪うことが可能になります。自ずとボールポゼッションの位置は高くなり、「波状攻撃」へとつながっていきます。
スペインのボールポゼッションの特徴は、縦に速いパスを入れた時に、相手DFにカットされても、そこに人数が揃っているからまたすぐにボールを奪ってボールポゼッションを続けられることです。
日本の方が、確かにボールは保持しているように見えるし、パスは回ります。しかし、その位置がなかなか高くならない。だから、ゴールチャンスを多く生みだせない。
その原因は、「縦パスを入れないこと」と「ミスを恐れていること」にあると、僕は最近のスペインの試合を見て思いました。
「ミスをすること」
逆説的ですが、そんなことが今の日本の「ポゼッションサッカー」をレベルアップさせるために必要なのではないか。
そんなことを感じたスペイン代表のゲーム観戦でした。