先日来ダイハツによる衝突安全試験の不正問題が世間を騒がせているのでちょっと触れてみたいと思います


これまで約 30年に渡り不正を繰り返していて全車種が出荷停止となりました



147件の不正が確認されたとの事ですが、どんな不正が有ったかというと



エアバッグ試験で本来なら衝突の衝撃を検知して作動させる所をタイマーで作動させたとの事です


これはテスト車輌にセットすべきECUの入荷が遅れての対応策だったようですが、言い訳にもなりませんね

そしてヘッドレストの試験では助手席の検査データを運転席のデータとして記載したとか、試験車輌のタイヤの空気圧を偽っていたとか有るようですが多車種、多項目で色々有るのでしょう


不正の背景としては過度にタイトで硬直的な開発スケジュールによるプレッシャーで失敗できない状況から起こしてしまった問題ですが、根本的にダイハツの企業風土というか社風みたいなものが有って、過去の成功体験をベースにして

「前のコレでできたんだから次もコレでやれ」

というのが有るようです


特にミライースでの短期開発の成功体験が後の車種の開発にも成功事例として枠を作る事になったようです




実は私にも「あ~やっぱりね」と思える所が有ります

20年ほど前でしょうか、その頃私は仕事を探していました

その時、新聞にダイハツのライン工募集のチラシが入っていました

月 30万円を超える給与に惹かれて面接を受けに行きました

そこで言われたのは

「ラインには何人も人が入ってパート毎に作業をしているが、ラインの流れを効率化するために個人の作業の単位時間はベテランの工員が最小の時間で組みあげる時間が標準となっている。素人がやれば3分掛かる作業もベテランなら 40秒くらいでできるので新人でもその時間で組み上げる事が求められる。常に最短の時間で作業し続けなければいけない。ライン全体が最短ペースで動いているのにあなたのパートだけが遅かったらそのラインの流れが止まってしまう。あなたにそれができますか?」

という事でした

流石に自信ありませんし、そんなのを永遠に続けてやれるはずもありません

おまけに

「その歳で特に資格も何も無いとか話になりませんよ」

とか言われて嫌な気分で帰って来ましたが、当然不採用でした

その時は「自動車会社って厳しいんだな、これが普通なんだろうな」としか思っていませんでしたが、今回の不正を鑑みるとその頃すでに今の不正を産み出す土壌ができていた事がわかります

工員さんにも色々な人、経験、スキルが有るし、新車開発にも色々なケースがあってそれこそケースバイケースだと思いますが、ダイハツの場合は最大の成功体験で得られた経験値がそこ後の標準となる社風みたいです

なので社内の空気は殺伐としているようですし、働いても長続きしないみたいです

まさに自分の首を自分で絞めているようなもので逆に採用されなくて良かったと思います



ダイハツは全車種販売停止となり、国土交通相の立ち入り監査が入って色々調べるだけでも年明けまではかかります

安全試験に不正が有ったわけですから全車種認証取り消しになるかもしれません


認証取り直しとなると半年くらいはかかるらしいのでその間ダイハツは車の販売ができません

取り直しに半年といってもそれは1車種に限った事かもしれないし、全車種認証取り消しとなると何年かかるかわかりません

さらに下手をすると過去に販売した車をすべてリコールする事になるかもしれません

会社が潰れる可能性もありますが、少なくとも経営が大きく傾く事は間違い無いでしょう

ここまでの危機に陥るのがわかっていたらたら安全検査に不合格になって開発やり直しになっていた方がマシでしたね

それが許されないのがダイハツの企業風土だったわけで、やはりこうなるべくしてこうなったという事でしょうか

日本の企業なら最優先すべきは安全であるはずです

それを最大効率を求めるばかりに置き去りにしてしまった事が後々会社を傾ける事に繋がりました



親会社のトヨタも反省の言葉を口にしているようですが、最大効率だけしか見ない体質を変えてゆとりある社風を築けるのかわかりません

ダイハツがすべての車種の認証を取り直して元通りに営業できる様になるにはかなりの日数をようするでしょう

販売再開しても消費者からは敬遠されるかもしれません

会社が傾いても中国あたりに買収されないようトヨタにはしっかり支えてほしいです



家内の軽自動車もミライースなので心配はつきまといます

事故さえ起きなければ問題無い事なのでより安全運転を心掛けたいものです