MSM-03  ゴッグ
登場作品『機動戦士ガンダム』

ジオン公国では地上用MSとしてMS-09ドムを開発していたが、同機の核反応炉ではメガ粒子砲を運用可能な出力を得ることはできなかった。反応炉の出力向上のためにはその冷却能力を高める必要があり、最も効率的な方法は冷却水を使用することであった。そのため、U.C.0078年11月には海水を冷却に使用可能な水陸両用MSの開発が、MIP社とツィマット社に発注された。また、水陸両用MSはメガ粒子砲の運用のほか、独力で海中を進行して目的地に到達可能としており、前線基地の存在しない場所でも戦闘が可能な特性を有する。水の抵抗を考慮して頭部は丸い流線形となり、装備は内装式となった。

開発はMSM-02水中実験機との競作で行われた。その開発の折には多くのアースノイド技術者が携わったほか、MSM-01ザク・マリンタイプで得られた新素材のデータも反映されている。その後ツィマット社においてプロトタイプ1号機が完成し、ジオン公国のリゾートコロニー「海」でテストを行ったあと、地上へ降ろされてテストを継続した。先行型とMSM-02はともに少数が生産され、その2か月後に生産ラインを後期型に集中した。量産は3月から開始され、5月には地中海やメキシコ湾を中心に実戦配備された。

水中での活動時間は長く、推進には胴体結合部から吸入した水を反応炉の高熱で蒸発させて噴射する水流ジェットエンジンを採用している。

他のMSMシリーズと同様にフレキシブル・ベロウズ・リムという伸縮可能な蛇腹状の多重関節構造を採用し、これが水中での抵抗軽減やクローを使用した格闘性の向上などに一役買っている。また、この機構によって両腕・両脚を格納し、水中での抵抗を低減できるように設計されている。

陸上での活動時には本体内のバラストタンクに冷却水を貯めて行動するため、1 - 2時間の活動が限度となる。反応炉の冷却上の制限から、陸上での活動時間は長くない。また、機体重量が影響して俊敏な動作は行えないが、耐圧用の設計が近接戦闘時に十分な防御力を発揮する。行動範囲は海や河川地帯周辺に限定されるが、装甲・馬力ともにザクの比ではなく、連邦軍の拠点破壊や重装甲を生かした上陸侵攻作戦で活躍した。


※ツィマット社とは
OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話の台詞でジオニック社とともに企業名が語られ、公式の存在となったが「ツィマット」と発音され、以降の作品などでも同様に表記されるようになった。

ジオニック社のライバル・メーカー。機動兵器の実用化では遅れをとるが、宇宙での高機動性と大推力を重視したMSヅダを開発し、宇宙世紀0075年にジオニック社のザクI との競合試験に供されるも空中分解事故を起こし、ザクが制式採用されている。その後はザクIIやグフのライセンス生産をしつつ試作機の開発をおこない、ヅダで培った推進器技術を活かしたホバー走行により、地上でのMSの移動速度の問題を解決したドムを開発する。そして、同機の推進器を宇宙用に換装したリック・ドムが、次期主力MS完成までの代替としてジオニック社の高機動型ザクII(R-2型)を退けて採用、量産されている。ほかに、初の量産型水陸両用MSであるゴッグや、マゼラアタックのマゼラ・トップ砲の開発もおこなっている。サブフライトシステムなど、MSの周辺兵装にも実績がある。

 

 

 

 


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