ちゃえ。

本当は名前を言いたいんだが、それは許されないらしい。
許してくれ。

本当に許してくれ。

俺はどうしようもない男だからな。
記憶の中にうっすら残ればいい。
子供は子供だ。
それでいい。

女好きな男だからな。
どうしようもない男親だ。

ようこには苦労させた。
俺はどうしようもなかったからな。
本当にダメな男だ。

女が好きだ。
本当に女が好きなんだ。
それはどうしようもない感情で、俺はどうしようもない男なんだ。

ひろみには悪いことしたが、見てるとイライラしたんだ。
俺はああいう女が嫌いだった。
嫌いなタイプの女を目の前に見てて、それが子供だなんて許せなかった。


実はだな。
彷徨ってたんだみんな。
気になって気になって気になって気になって仕方なかった。

実はだな。
俺たちが会ったのは、のぶさんに会ってからなんだ。
それまでは全員会えなかった。
許されなかったんだよ。
神さまって本当にいるぞ。
死んでから知ったけどな。

人間ってエゴの塊なんだよ。
俺もそうだった。
必ず会いたかった。
どうするか一生懸命考えた。

ひろみにはずっと会えなかったけど会えたぞ。
いろいろ話したぞ。
ひろみの今の世界は面白いみたいだ。
のぶさんの娘さんが好きみたいだ。
だから言ったんだ。
「ちゃんと恩返ししろよ」と。
ちゃんとわかりあえたつもりでいるぞ。

ちゃえはよくやってる。
悲しいところは見たくないし、見ないようにしている。
それでいいんだ。
ちゃえらしく生きる事を望んでいる。

子供たちに伝えてくれ。
俺は俺だ。
勝手にやってくれと。

俺も次の世界に行くみたいだ。
次に進み、また生まれ変わることを望み始めた。


ゆきおさんは厳しいけど、いい霊だ。
たくさん話した。
ひろみについても、かあさんについてもな。
「どうしようもない男だ」をいっぱい言われた。


神さま
許されない罪を背負い、私は進んで行きます。
あなたのもとに。
美しいことはなんなのか、教えてくれたこの世界に感謝の意をこめて。

ひろじ
昭和9年4月21日~平成23年4月6日 
享年76才