ちゃえ。

わたしよ。
おかあさんよ。

愛してた。
あなたも本当に愛してた。

本当にあなたは可愛かった。
私の一番下の子。
かけがえのない宝。

美しいものが大好きだったの。
でもそれは叶わなかった。

お父さんはちゃんと知っていたわよ。
死んでからだけどね。

悲しいものは捨ててね。
本当に好きを抱いて、そのままでいて。

かならずあなたは私の元にやってくる。
そしてこう言うわよ。

「わたし、ちゃんと出来てた?」

こう言うわよ。
うふふ。

お母さんはね、お母さんの生まれた場所から救ってくれたお父さんが大好きだったの。

あの世界はね、本当にひどかった。
戦争は私たちの世界を更にひどくさせました。

あの頃の私は本当に傷付いていたの。
それをなぐさめ、救ってくれたのはお父さんだったの。

私はたくさん泣いたの。
みんなみんな泣いていたの。

叶わなかったものは、本当に叶わなかった。

やりたいことがあったの。
でも出来なかった。
だからせめて洋服を縫うことで、私は一生懸命子どもたちを育てようとした。

お父さんはいつも女の所に行き、私は女を捨てた。
お母さんにあった、はかなくて淡い女心は、子ども4人を育てることで、少し消えてゆき、更に消えてゆき私は母になりました。

私は女を捨てた。
私はお父さんの母になり、お父さんは私の子どもだった。

私は私の生まれた場所を呪いました。
私にもっと知識があったら、子どもたちはもっとすばらしい世界に進めると思ったから。


私は「クソ悔しい」思いをしたの。
女を捨てたく無かったわよ。

大好きなお父さんは死んでから、私の所に来たわよ。
そしてこう言ったの。

「すまなかった。子どもたちは本当にお前を信じていた。美しい心を持っていたなひろみは。ちゃえは頑張っているぞ。お前の子だな」

笑っていたわ。
本当に幸せを感じた。


ちゃえの事が本当に可愛かった。
本当は子どもみんな可愛くないといけないのにね。
ひろみは本当に我慢できない子なの。
本当に心配だった。
上の子二人は私を信じ切り、私の事は何でも聞いた。
特にお兄ちゃんは私の分身みたいに。


『女』でいられるちゃえが本当にうらやましいわ。
母親って不思議。
女でもあり、母でもある。
子どもに嫉妬するなんて、なんて親なの。


私はね。
みんなみんな心配なの。
私が美しい世界にもうすでにいることを伝えたい。


私はね。
ちゃえは大丈夫だと思っているの。
ちゃんと乗り越えられる、だって本当に可愛がったもの。
愛あるしるしよ。

学校に行きたかったな。
それだけが心残りだったけど、でもこの世界ではそんなことどうでもいいことなのよ。

子どもたちを愛しています。
心から。

神に祈り、こう言います。

『破壊』することなく、子どもたちが生きますよう。
ご多幸あれ!


「ちゃんと生きなさい!」
生まれ変わってもまた一緒よ。
頑張らなくても、だからそのままで。
「ちゃんと!生きる!」


我慢しないよ!ちゃえ!
大好きになりなさい!
お母さんちゃんと見てるからね!
神さまも仏さまも見てるわよ。
女であることの前に、子どもをしっかりと育てることも大事よ。
本当に私を見て「嫌にならない」で。
子どもって見てるわよ。
あなただってそうだったでしょ。

本当に残されし者の全てをあなたが背負ってはいけないわよ。

母は強いのよ。
心強く。

だからがんばれ。


お母さん、行くね。



神さま
あなたに子どもたちを任せます。
私は天界から子どもたちを見守ります。




ようこ
昭和9年4月16日~昭和61年6月7日
享年52才