約5年ほど前のことだ。
故・松村達雄氏宅で、氏が生前にきちんと整理されていたアルバムを拝見していたところ、ある写真に目が釘付けになった。
広大な芋畑と山をバックに松村氏がCM撮影をしている写真。
万年筆の青いインクで手書きのキャプション「1970年代 霧島にて」。
霧島といえば、私の中では鹿児島県霧島市が思い浮かぶ。
私の相方の故郷でもある。
その写真に興味をそそられた。
ロケ地は霧島のどこなんだろうと。

数日後、霧島市に勤務する知人に思い切って電話してみた。
彼からは
「現在、鹿児島県には芋焼酎の造り酒屋が約200あります。
そのうちCM制作できるほどの規模のところは、数軒だと思われます。
数日間、お時間を下さい。」
と返答があった。
「よろしくお願い致します。」
と私は電話を切った。
そして、なんと30分後。
「わかりました!鹿児島県ではなく、宮崎県都城市にある霧島酒造です。」
「ありがとうございます!」
心の中で、(仕事はやっ!!)とつぶやきながら、ロケ地へ思いを馳せた。

それから時は流れ、やっとこの度、念願の霧島酒造を訪れることができた。
当時の関係者からお話を聞ければ一番いいのだが、そこまで段取りをつける余裕が今回はなかった。
案内係の若い女性に
「ミュージアムには、昔のCMに関する展示はありますか?」
と尋ねたところ
「残念ながら、芋焼酎に関する展示のみとなっております。」
とのこと。
(まぁ、それでもいいかー。自分が準備不足なんだから)
とひとりごちた。
ミュージアムに案内され、最初に観た壁一面の大きな写真観て、相方と
「あーーーーーーーー!!!」
と思わず叫んでしまった。
なんと松村氏が写っていた写真の背景とまったく同じの写真だったのである。
はやる心を抑えて
私「この芋畑は、ここから近いんですか?」
案内嬢「都城市庄内町と申しまして、車で10分程度のところです。」
やっと探し当てた。
思わず涙が流れそうになった。
確かに彼(松村達雄氏)が1970年代にここにいたのだ。
景色は、現在でも寸分に違わず。。。

今回は、都城市は大雨だったため、芋畑へ訪れるのは断念。
次回に行こうという話に相方となった。
宿泊している霧島市国分への帰路の車中で、
相方「お前は幸せだよな。」
私「うん。」
相方「俺みたいないいやつと結婚できて(笑)」
私(そっちかぃ!!w)

彼をさがして。
松村達雄の足跡を辿る旅はまだつづく。
生前にお会いできなかった分、おいちゃんの功績を辿れるという幸福な旅が。
東京へ帰ったら、また夫人にご報告に行こう。
霧島のお土産を持って。