世の中には
いや特に芸能界・プロスポーツ界には。
たとえかっこ悪くても、みっともないと思われてもやらなきゃいけない状況がある。
むしろそういう状況のほうが8割近くを占める。
だから彼ら彼女らは『フツーの仕事』には就かない。就けない。
古い言葉に義理人情という四文字がある。
これを未だ重んじるのが先述の世界。
だから嫌でもやる。
人生は矛盾とどう向き合うかを問われる。
「へんだなー、おかしい。」と思うことに立ち向かうか、無視するかで器が問われる。
細かすぎて伝わらないモノマネという企画で使用されていた装置、抜ける床に立つ人間が自身の落下を承知の上での落とし穴。これは各バラエティで多用された。照明暗転や緞帳が当たり前だった番組たちに、この装置はある意味、発明だった。画期的でインパクトがあった。
だがもう使えない。
奥さん(松本伊代)が落とし穴で大怪我を負ったから旦那が走る。これは一般人には理解できない。「カネのためだ」と感じられるのが当たり前になっている。
芸人ヒロミが、仮にカネのためにピエロになって何が悪いのか。
嫌いなら応援しなければいいし、呆れていれば良い。その呆れ顔や冷たい目線に慣れているのがヒロミだ。そんなもの屁でもない。酸いも甘いも知っている。芸歴を舐めるんじゃない。
ただし、24時間TVに対する疑問の声、これには関係者が耳を傾けるべきではある。
テレビは今、視聴者無視の姿勢を取る傾向が強い。
視聴者よりもスポンサーの顔色を気にする。
10代のアイドルでさえ、ファンよりも事務所のエライヒトを大切にする。隠すことなく、皆にわかるように如実に、あからさまに、「それが当然でしょう?」とばかりに。
そういう「おかしい」世界がある。
その世界を見て「変だ。もうやめろ」と叫んだところで、この長い歴史には勝てない。
「おかしなモノだ」と把握したうえで、見る価値があるかどうか、それだけを視聴者が決められる。
24時間TVは元来、チャリティ企画ではなかったという話もある。
1日24時間、演者が障害者や被災者に関して語るのが元々だったとも聞く。
そういう番組はなかったからあってもいい。
あってもいいし、出演するからには報酬が生じる。
当たり前の話だ。
おかしな芸能界のなかでも、けっこう「当たり前のこと」をやっているのが24時間TVかもしれない。
テレビは嘘をついて良い。とは言わないが、間違っても良い。
本当に間違っていて、本当に矛盾だらけで、本当に迷惑番組であるならばなぜこんなに続いているのか。
観ている人がやはりいるからである。