飛鳥じゃないと演じられない役だったでしょうね

実質の主演・キーパーソンはどう考えても田村由美子(齋藤飛鳥)

田村由美子を演じるこの日のために約6年かけて『齋藤飛鳥』という個性を作り、演じてきたかのように、田村由美子≒齋藤飛鳥です。

 

ライブで「おめーら、どーせ彼女いねえんだろ」と毒を吐く飛鳥や、冠番組で他人の不幸は蜜の味を演じる飛鳥、後輩の首を絞めてイジる愛のある飛鳥、『見えないエライ人』に対しても「ねえ(映像研には手を出すなの)映画いつやるのー?」「だから。それがいつって訊いてんの!」と言っちゃう飛鳥、はしゃがない飛鳥、淋しがる飛鳥、肝が据わる飛鳥、ダークな曲・暗い本を好む華奢な女の子。

 

神に選ばれし美少女 天が与えし黒い飛翔

 

乃木坂色が無いので、こんなにミステリアスに『齋藤飛鳥』出来る飛鳥だとは思っていませんでした。

今、使える女優は齋藤飛鳥です

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ドラマ:リモートで殺される

 

雰囲気が『リング』、『あなたの番です』、『スマホを落としただけなのに』です。

音の使い方、シチュエーションのうまさ、少数の登場人物を使うことによって必要最小限のセリフでストーリーがわかり、怖さを伝えます。

高校の同級生たちが今年の自粛期間、リモートでお話をしているまさにその最中に次々に殺されていきます。7年前、田村由美子(齋藤飛鳥)が亡くなったその命日に。

 

昨年の『あなたの番です』がなければ、という条件付きで、連続ドラマであれば『リモートで殺される』は『あなたの番です』並みにストーリーを膨らませられたでしょうし、話題にもなったでしょう。『あなたの番です』があるなら、連ドラであっても『リモートで殺される』は人々の記憶と比較されますから『あなたの番です』のインパクトには届きません。よほどの何か付加価値がない限り。

 

私が飛鳥をよく見ているからという要因を省いても、齋藤飛鳥の存在感・怖さが目立ちました。良い意味で人間に見えない。近所にいない感。常人ではない感。

本当に申し訳ないとは思いますが、期待していただけに本田翼さん、どうかなー? 多忙な方だからね自分の右耳が聞こえないため、セリフが聞き取りにくい役者さんはどうしても一人はいます。今回は本田翼さんがそう。

本田翼さんを捕まえた(スケジュールを抑えた)時点で勝ち組のドラマ。当初は連ドラの予定だったとか。

連続ドラマにしなくてもいいけど、本編が短すぎて、途中で犯人の予想がついてしまうわ、動機はわかっちゃうわ、田村由美子(齋藤飛鳥)登場までが長いのは仕方ない、か。

描写の巧妙さと言い換えてもいいのですが、(幽霊系・ゾンビ系の)ホラー要素があるならある、無いなら無い、で統一していれば良かったかも。視聴者はゲーム:かまいたちの夜のように、犯人捜しで見るべきか、本当にあった怖い話で見るべきか、戸惑います。(正解は犯人捜しで見る)

みんな文句を言うでしょうが、続きはHulu『リモートで殺される:殺人の裏側編』になります。そのため、本編はあっという間。

 

 

 

出演:本田翼、新田真剣佑、前田敦子、齋藤飛鳥、柄本時生、早乙女太一、前野朋哉

監督:中田秀夫

 

 

(齋藤飛鳥の容姿に)『バンビ?ひよこ?人間を超えた可愛さ!』『これが新世代の美しさかと。進化していますよね。人間の進化の過程を見ている感じです。お人形さんみたい、とはこういうことかと』(前田敦子)

 

それにしても前田敦子さん、生田絵梨花顔、山下美月顔だったな 生田山下が前田敦子顔なのか見間違ったシーンが何箇所かありました。

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・神視点と登場人物視点 

 

『田村由美子の「淋しい」にみんな騙される』こと。これ、本当かどうか全くわかりません。

 

「昨日、警察が来てさ」と登場人物Aが話し回想シーンによって『警察官とAが立ち話している昨日の場面』があったとします。これは『登場人物視点』。映像にある以上、視聴者はストーリーを追うために「Aは昨夜、警察官に何かしらの事情を聞かれていた」と仮定して見ていますが、その仮定は殆ど決定事項として心に残ります。『神視点』では単純に「警察官と会って話した、と言っているAさん」のみです。つまり、ドラマではナレーションによる第三者・神視点の説明でもない限り、登場人物が話した内容は全てにおいて真偽不明と見なければなりません。火事の映像も本当に全員が見たわけではなく、起きていない火事かも知れません。リモート中、警察から電話があっても、その立証は出来ません。

 

例えば小説などで、『長谷川医師は席を立った』と(登場人物のセリフ以外で)文中にあれば、それは神視点ゆえに『長谷川は医者でなければなりません』が、登場人物のセリフで「長谷川先生を呼んできて!」とか、「○○医院の長谷川です」と言いながら長谷川が患者を診察しようが、医療器具を持っていようが、医師の身分証明書を持っていようが、「長谷川は医者でなければならない理由」がありません。それらは全て登場人物視点です。小説では神視点と登場人物視点が読者は見分けられます(視点が見分けられるように書かなければならない規則がある)。しかしドラマではこの視点描写が難しいのです。「ここは登場人物視点の描写だよな」とわかっていても『とりあえず誰かが言った内容を信じて』観なければ物語が進行しないからです。特に序盤は。

 

したがってドラマのナレーションが登場人物の1人である場合は何でもありです。ほぼ神視点がありません。俯瞰で見るようにドラマを見ていると『リモートで殺される』の全容は掴みながら観ていけます。『リモートで殺される』で「古郡一馬、田村由美子について」警察の捜査があったのかなかったのかは、本編では不明です。捜査があったと一応信じて視聴者は観ますが、中盤からは全て疑い、眉唾で観ていてもいいと思います。

 

『リモートで殺される』は「リモート中に連続殺人が起きて、ひとりひとり画面から消えていく」ことで恐怖感を煽り、孤独になっていく主演の方の表情で「一体犯人は誰なんだ」「どうやって犯行を?」と視聴者に思い込ませるテクニックですが、あの展開であれば誰ひとり亡くなっていなくてもアンフェアとは言えません。火事を含めて。(ただし、神視点にこだわらず、7年前の田村由美子は亡くなっていなければなりません。「7年前、亡くなったかと思われていた田村由美子は現在も生きていた」となれば本当にカオスです。)

 

 

 

・神視点の最たるもの

 

計画的犯行の場合に多いのですが、犯人は必ずと言っていいほど「これから犯行をする」「刑事と勝負をする」直前に何かしらのアクションをします。気合を入れる様子という感覚の。

『リモートで殺される』においても神視点でそういったシーンが描写されていました。

 

 

 

 

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事情があって生駒ちゃんゲストの『池の水ぜんぶ抜く大作戦』が所々しか見られず・・・これから視聴です。