謎解き アンドレのポエム 「ブロンドの髪をひるがえし ひるがえし」 2
ふりそそぐ
金色の光の中…
もえるような
紅に映える
近衛服
ブロンドの髪
ひるがえし
馬上豊かに
指揮をとる
あ…あ!
青い瞳
その姿は
さながら
天に吼ゆる
ペガサスの
心ふるわす
翼にもにて…
ブロンドの髪
ひるがえし
ひるがえし
(1巻p596~697)
2 オスカル様への気持ちの変化
さて、アンドレのオスカル様への気持ちの変化について、髪の描写から考察していきたいと思う。
髪とは何か?
ますは、髪のもつメタファについてみていこう
① 霊力のあるもの
(ラプンツェル 挿絵)
髪は抜いても生えてくることから再生力の象徴で霊力が宿るという考えられてた。
髪が長く伸びやすい女性は霊力を宿しやすいと考えられ、女性の神秘性を象徴となる
②富の象徴
(1780年ころの風刺画)
長い髪・奇抜なヘアスタイルは上級国民の特権(働かなくてもいいからできること)
マリーさんはファッションリーダーとして変なヘアスタイルにハマってましたよネ
③美
美しい髪は女性の美の象徴。小説『賢者の贈り物』『レ・ミゼラブル』でも貧しさ故、自慢の髪を売るエピソードは有名だよね
④情念のメタファー
(焔(ほのお)上村松園筆 1918年)
源氏物語の六条息所の生霊を描く。髪の端を噛んで振り返る青い顔には嫉妬に翻弄される姿が現われてる
他にも、髪をほどいた姿は「性的魅力に富んでいる」髪を切る「失恋」髪を振り乱す「嫉妬」等々・・・
髪で女の情念を現してる。
以上、髪とは女性性のメタファーなのだ
それでは、ポエムの中のオスカル様の髪について、深読み(妄想)していこう。
アンドレポエム
ブロンドの髪
ひるがえし
ひるがえし
軍隊で(男の世界で)ひるがえるオスカル様の女性性としての象徴ブロンドの髪。
これをポエムの中で繰り返していることから、髪が一番の萌なんだと思う。
それにポエムのこの部分がアンドレの最後のセリフになるのだから、
アンドレにとってブロンドの髪が愛おしいものであったの推して知るべし。
ブロンドの髪
ひるがえし
単純に・・・・・
ブロンドの長い髪をひるがえすオスカル様の姿にキュンとしたんではないだろうか?
だって、男性って女性の髪の動きに敏感じゃん。
かき上げたり風になびく異性の髪が大好物だよ。
じっさいに髪をなびかせる美女の絵画はいっぱいある。
ほら、ビーナスの髪もほら翻っている。
ひるがえる長い髪に自然と目線が行くんだよね~。
艶やかな髪は、若さや美・健康の象徴でもある。
アンドレポエムでは男神であるだけでなく、長い髪の美しい女神の姿もちゃんと写し取られていたわけ。
だけど、オスカル様の髪は、ビーナスのように風でなびかなくことはない。
若く・美しく・元気なオスカルは、自らの動き(馬上で指揮を執ってる)で髪をひるがえすのだ。
萌ポイント
アンドレは元気にハツラツなオスカルさまの女性美に胸アツになっていたんだねえ
髪をなびかせるオスカル様を見守る若きアンドレの(見とれる?)姿が初々しい。
アンドレはポエムの他にもオスカル様の美しい髪について語っているところがある。
それがブラびりシーン
が!
ポエムの髪の表現とは大きな隔たりがある。
初々しさは微塵もない。
闇だよ!
闇!
さあ、大人になったオスカル様の髪を見ていこう。
ブラびりの告白
オスカル…
いつのころからだろう
このけむるような
ブロンドの髪が
鼻さきをかすめて
ゆれるたびに…
深呼吸したところで読解(妄想)を進めていくね。
①けむるようなブロンドの髪
え?けむるような?
オスカル様の金髪って明るい金髪かと思ってた。
原作の金髪線が密なので勝手に華やかなブロンドをイメージしていた
いやまて!
「黄金の髪」(2巻p82)って別のページではアンドレが言ってるぞ。
やっぱ、華やかなブロンドでいいんだと思う。
はて?
まず、けむるようなは漢字ではどうかくのか確認しよう
煙る/燻る/燻ぶる
煙るだろう。
すすにしてはいかんやろ。
では、けむるようなブロンドとはどんな色か確認してみよう。
けむるような・・?
煙 スモーク・・・
そんなブロンドあるの?
ググッてみたたらヘアカラーでスモーク系のヘアカラーってのがあった。
スモークブロンドはなかったけど、スモークカラー系の事例から察するに
明るさを抜いたプラチナブロンドに近いイメージになるんじゃないかな。
銀髪よりは温かみのある柔らかい感じ。
ブラびり限定のオスカル様のけむるようなブロンド
いいね~
次に「けむるような」はどように使うのか例文でみていこう
煙るような雨⇒霧雨
けむるようなまつ毛⇒瞳を囲む
けむるような青い瞳⇒なやましい
けむるような月光⇒ぼんやり
はっ
もしかして、「けむるような」って
霞性や神秘性の文学的な表現力では?
けむるようなブロンドって、色というより
詩人アンドレの心理からみたオスカル様の髪のイメージなのではないだろうか?
だとしたら、
ブラびりのオスカル様のブロンドは、
アンドレにとって
ポエムのひるがえる健康的なシンボルとしての髪ではなく、
モヤのかかったような
ベールでつつまれたような
何かを秘匿するような神聖を帯びた髪ということになる。
色なのか、霞性か
意見は分かれるところだか、
ポエム期の髪とは違い
(ブラびり前 フェルゼンに失恋してる)
恋を知った成熟した女性の髪は、
アンドレの目には、オスカル様のブロンドが、
無垢に輝くのではなく
けむるように見えたのだろう。
②視覚から嗅覚へ
ブラびりのセリフでは、オスカル様の金髪がアンドレの「鼻先をかすめ」るという。
そう、アンドレはオスカル様の髪の匂いをほのかに感じているのだ
嗅ぐとはいかなることか?
それは見ること聞くことと大きな相違がある。
嗅覚が脳内で記憶される場所が違うのだ。
他の五感とは違いって、嗅覚の記憶は大脳辺縁系という古い脳の部分で行われる。
古い部分でということは、生物が古くから持っていたということ、それだけ嗅覚は生きることに直結した重要な機能であり、動物が視覚より嗅覚が優れえているというのはその証左といえよう。
記憶される脳の部分の新旧が違うと何が違うのか?
新しい方がスペック高くていいんじゃない?
ホモサピエンスに相応しいんじゃない?
と思うかもしれない。
大脳辺縁系で香りが記憶されるというのは、香りによってそれに関する「記憶」だけではなく「感情」「思い」が蘇ってくるのだ。
特定の香りを嗅ぐとその時に感じたことが無意識によみがえってくる。
これをプルースト効果という。
『失われた時を求めて』でわたしが紅茶を飲んだ時にコンブレーの思い出がよみがえってきたシーンは読んだことのない人でも知っているのではないかしら?
プルースト効果について記事を描いたことがあるのでここに貼っておくね!
つまり、アンドレはアンドレは髪の匂いを鼻先で掠めるたびに「好きという感情」をなんども反復していることになる。
なお、アンドレは、髪だけではなく凛としてとざされた唇から・おまえの生きたかぐわしい吐息の・もれるたびに…
かぐわしい…吐息も嗅覚で感じている
(現実に吐息をというより嗅覚でオスカルを感ようとしてるんだろうけど・・・。)
視覚・聴覚だけではなく
アンドレは嗅覚でオスカル様を感じようとしていることが伺われるね
大脳辺縁系~感情・本能行動・動機付けを司るところ~であり
生命の根源的な脳の部分である。
しかも、髪だよ!髪!!
女性性のメタファー!
異性そのもの
少女の髪ではなく大人女性になった・・。
アンドレは、深〜いところからオスカル様の女性性そのものに愛を感じていたのだ。
それが、あの有名なセリフへと繋がっていくのではないだろうか!?
p856「オレの体のずっと奥の方からなにか熱っぽいものがこみあげていて
オレの気持ちを落ち着かせなくなったのは」
これって大脳辺縁系からの愛の叫びだったんかい‼
理性ではなく本能からオスカル様の女性性を求めていたのねえ。
好きというか欲しいの感情が暴走して、ブラびりや毒殺未遂起こしてしまったのはそのせいなのかしらしらん?
アンドレがオスカル様の女性性を生命の根源から求めていたからこそ、男装していても女性性にブレることはない。
どんな格好をしていてもセクシーなのだ。
喧嘩はやくってっも、イスをけっても、ペッってしてもアンドレにとって
めちゃくちゃ心揺さぶる女性なのだ。
③ ひるがえす髪からゆれる髪へ
ここは素直に辞典をひいてみる
ひるがえす
❶反対の面がでるようにサッとひっくり返す。 ❷旗などをなびかせる。
ゆれる
❶一定の状態を保てず、前後・左右・上下などに動く。❷不安定な状態になる。「ゆれる心」
ポエムで髪をひるがえすオスカル様を心地よく見ていたアンドレ
告白ではオスカル様の髪はアンドレの心を「落ち着かせなくな」くする悩ましいものとなった。
以上のことから、アンドレは憧れる見る存在から、肉体をもった女性として愛するようになったが、その情愛は理性というより本能的なところに根差している。
それは、何度も好きという感情を反復させながら育てていった感情であった。
それは体のずっと奥の方からなにか熱っぽいものがこみあげてくる、気持ちが落ち着かなくなる悩ましい症状を伴っていた。
アンドレってオスカル様に一目惚れしてない。
むしろ「お嬢様?ありえねー」ってショックを受けていたくらい。
ルッキズムではなく、匂いで好きになっていたんだね!
マリーさんとフェルゼンとは何か違う~と思ってた。
アンドレの行動が可愛くって
フェルゼンがいまいち面白くないのは
嗅覚の恋(大脳辺縁系)と視覚の恋(大脳皮質)の違いに起因しているのかもしれない。
謎解き1もよろしく~
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ます