今週結婚5周年を迎える予定だったようだ。

 

全く覚えていない。

結婚記念日も旦那の誕生日も、

そういえば…くらいの感覚でしか覚えていない。

 

夫の誕生日は毎年忘れそうになるので

夫の財布の中のIDカードをチラっと見て

「そうそう、この日やった」と確認するレベルである。

 

 

今朝旦那に「FBの過去の投稿によりますと、我々結婚5周年だそうですよ」と告げると

今日は「絶対に買ってくるな!」と言いつけた花を車のブースからイソイソと取り出してきた。お前幾らすんねんそれ。

 

 

デカい!白い!要らん!!!けども、

ワァ…大きいね💗とちいかわみたいなリアクションしておいた。

 

 

その中に一本、真っ白な菊のようなものがあり、

いきなり昔の祖父母の家で過ごした出来事がバア!と蘇った。

 

 

祖父はシベリア抑留されたり、

「ちょっと旅行行くわ」と原付で四国まで行ったり、

シベリア行く前に行っていた中国を何度か一人で巡ったり、

高身長で、多分当時は結構モテていたのを良いことに

祖母とは別にタイプライターの女性と浮気をしていたり、

家族相手にガチDVをやらかしたり

娘であろうが孫であろうが、全員「XXさん」と呼ぶ

 

いろんな意味でちょっと変わったジジイだった。

 

 

私たち、4人いる孫たちは全員

「あんなおじいちゃんと結婚しておばあちゃんマッジ可哀想」

というジジイに聞かせたらボコボコにされそうな意見を共通認識で持っており、

「いかにジジイの理不尽な言いつけを我慢するか」

というやんわり我慢の中でお泊まりを楽しみにしていた。

 

 

ジジイは怖いが、軽トラの後ろに乗って走る畦道は楽しかった。

しかしジジイの「よう肥えて」の一言で飯が食べられなくなった私もいる。

 

 

ある10歳くらいの夏の暑い日に

ジジイと私で二人きりだった。

 

ジジイは「ほんさん、見ときや」と言いながら、

水道のホースを庭に引いてきた。

 

庭にはズラッと鉢に植わった菊が40ほどあったか。

 

それに水を浴びせながら

「ワシは周りから変なオジイサンやと思われとるけどな、まぁ別にええわ。

でもな、ホンさん。この変なオジイサンが菊を育てることが

すごい巧かったこと、覚えておいてくれな。」

 

 

私はボーっとしながら「うん。覚えとく」と言ったと思う。

実際は「今日は誰が鶏小屋に卵を取りに行くんだろうか」ということを考えていた。

 

 

 

ジジイの植えた大菊はとても見事で、

何か老人会とか市とかの大会かなんかで入賞とかをバンバン取っていたらしい。

 

黄色くてボリュームのある菊、白くてプライドの高そうな菊、

淡い紫のような色のでかいやつ。

プライドを込めて世話していたので、

家の軒下には100個以上の菊用のプラスチック・陶器の鉢植えがあった。

 

 

 

そんなロマンチストなところがあるなら、

娘たちの一人にでも花の名前でもつければよかったのに。

 

 

我々の名前は「質実剛健ッ!!昭和万歳!」のような字面が並ぶ。

 

 

夫が買ってきてくれた花束に入っていたものは

どこかの国から取り寄せられたものらしい。

別に菊は好きでも何でもないし、花は家に飾りたくない人間である。

 

 

こんなところで思い出が蘇るとは思わなかった。