⑤の続き…


学校の合間に寝る間も惜しんで回転寿司のバイトを励み、早速TWのカスタムに着手した。

モトショップ吾郎製のダウンマフラーに始まり、定番のデイトナのトラッカーバー、ベイツライト、ミニスピードメーター、何処のか忘れたイケイケトラッカーシート、バッテリーレス&スカチェーンキット…

一通りイジった。

昔は今ほど種類も無く、街中で見掛けるTWのカスタムパーツは大抵何処のメーカーかわかった。


そんな中で目立つには…

カラーチェンジしか無い。

当時はタンクの色がオレンジ色しか無く、タンクの色を変えたいが金が無い。

思い切って自分でする事にした。
雑誌なんかを見よう見真似でしてみた。

ところが、駐車場でタンクを外し、部屋に持ち込みペイントを取っていたらガソリンの香りが…

どうやらタンク内のガソリンが抜けきって無く、部屋中にガソリン臭が漂った。

急いで外に出て、僕は水でガソリンを洗い流そうとぶっかける。


あら不思議。

水からガソリン臭がした。

激しくした。

ガソリンは水と溶けちゃうらしい。

駐車場で激しくガソリン臭を漂わす18歳の僕に、たまたま通りかかったオジサンから『危ないぞ~』の一言。



わかってるわい。


疲れた僕は部屋に戻り、もしも、万が一、ガソリンが部屋に残っていたら爆発すると思い、窓を開け放った。

冬だったので風が冷たかった。


一息つこうと、何気に煙草に火を着けてしまった瞬間のドキドキは、

今でも忘れ無い。


初めて塗った白色のタンクは、恐ろしく汚かった。



続く…
④の続き…


二代目愛車なんちゃってSRのベンリィのとてつもない遅さと理想とのギャップに飽きがきた。


すぐにきた。


所詮は原チャ。

やはり大きなバイクに乗らなければ…

早速親父に借りた車に乗り、田舎に住む僕は自動二輪免許取得に向けて1時間30分程かかる教習所へ。


やたら遠かった。

何度かSRもどきベンリィで行ったが、辛かった。

何度もデカイバイクに抜かれて、悲しかった。

今に見てろ。


教習車はCB400SF。

やはり400㏄は重く、パワフルだったが、ベンリィで培ったクラッチ操作と、ほとばしる熱い情熱によりスムーズに教習をパスし、ノーミスでアッという間に自動二輪免許をゲットした。

自慢げ。

ちなみに友達は教習所内で単独事故を起こし、教習車のクラッチレバーと足首を壊した。

その頃カスタムストリートバイカーのバイブルであるストバイのVO.1が発売された。

もちろん毎月発売を心待ちにして、購入した。

ずっとSRに憧れを抱いていた僕だったが、雑誌のYAMAHAのTW200のグラマラスなリアタイヤにハートを奪われた。

キムタクがドラマでモトショップ吾郎カスタムの青タンクTWに乗ってた少し前。

今回もベンリィを買った地元のチャリンコ&バイク屋で実物を見ないまま購入を決意。

今度は大正解。ノーマルでも目茶苦茶かっこよかった。

その頃、大都会大阪で一人暮らしを始めたばかりだったので、街行くバイクに興奮した。

雑誌の中でしか見た事が無かったバイクが普通にそこら中に走ってた。


大興奮。

大都会に出てきたカイがあった。


ビックピーチTW200をノーマルで乗ってる場合では無かった。


オシャレでカッチョ良くいじらなければ。

早く大都会の一員にならなければ。



続く…
③の続き…


なんちゃってSRのベンリィ50とも徐々に仲良くなってきた頃、我が家に一通の電話が…


電話の主はポリスマン。


警察。


何事かと、食事中だった平穏なる我が家に激震がはしった。


電話に出た母親の口から衝撃の事実が打ち明けられた。



…あの日いなくなった初恋JOGが見つかったので取りに来なさい。

思いっきり衝撃を受けた。


まさか…まさか再び逢える日が来るとは…



我が家に帰って来た初恋JOGを見てもう一度衝撃を受けた。


フロントカウルは半分以上割れて、残ったスペースにはハデな装飾を施した関西〇〇連合と日の丸のステッカー。電装をイジったあと。マフラーには大きな穴。ナンバープレートは無くなっていた。


族車仕様になっていた。


もちろんシート下の収納はこじ開け開けられ、教本は無くなっていた。

お巡りサンが言うには家から3㌔程離れた山の中に捨てられていたらしい。


自慢だった本革シートが手掛かりとなり、持ち主の発見に繋がったと言う事だった。





初恋は実らない。


続く…