MRI検査やCT検査で転移がないことが分かり、少しホッとしましたがそれでよかったねと終わる話ではありませんでした。

なぜなら今回腫瘍ができた「耳下腺」というのは非常にデリケートな部分だからです。

そもそも「耳下腺」とは普段耳にしない単語だと思います。

 

耳下腺とは・・・耳の前(耳前部)から下(耳下部)にかけてある臓器。唾液を産生、分泌する。耳下腺の中には、顔の筋肉を動かして表情を作る顔面神経が通っている。

(参照↓)

 

 

上記の通り、なんとなく耳下腺がデリケートな部分であることが伝わるかと思います。

 

耳下腺腫瘍を取り除くには外科手術による除去が最善だといいます。

手術をするうえで最も重要な課題は、「いかに顔面神経を傷つけずに(温存する)腫瘍を取り除くか」です。

顔面神経を傷つけてしまうと、顔を動かす神経が作用しなくなり、表情を作りづらくなることや食事がしづらくなる等、日常生活に支障が出るからです。

 

私の場合、運が悪いことにその大事な顔面神経を取り囲むように大きな腫瘍ができていました。

(ギリギリのところで神経まで浸潤していないため、顔を動かしづらいといった症状はありませんでしたが・・・)

そのような状況なので、担当医師からは「顔面神経を傷つけずに腫瘍を除去するのは100%不可能」と言われてしまいました。

つまり、手術をすると必ず顔面神経麻痺が発生するとのとこです。

 

担当医師より私に与えられたのは以下の選択肢でした。

①顔面神経麻痺覚悟で、腫瘍をすべて取り除く。傷つけた神経は足から神経を移植してリハビリする。

②腫瘍を多少残してでも顔面神経を温存することを最優先にして手術する。(妥協案)

 

何としても癌細胞全除去と顔面神経温存の両立ができないか、家族に相談したうえで東京の耳下腺腫瘍手術の実績がある大学病院の名医にもセカンドオピニオンとしてMRIデータを持ち込み話を聞きました。しかし私の状況で顔面神経を温存するのはできないとのことでした。実績のある名医でもできないなら仕方ないと割り切り、顔面神経麻痺覚悟でやれる最善を尽くすという意味で①を最終的に選ぶことにしました。

急遽セカンドオピニオンを受けるために紹介状を書いてくださった担当医師には本当に感謝しかありません。