要約
SNSなどのアクセスコントロールできる環境でない限り、webにおける「禁止」は「お願い」程度の意味しか持ちません。そして「お願い」を「禁止」という形で書くと、反感を持たれることがあります。よって、不特定多数にお願いしてその効果を期待するのは無謀であると自覚した方がいいです。自分が不快になりたくないために他人を不快にさせる書き方はネガティブな反応を受ける可能性があることも頭に入れておいてください。

嫌いな人に配慮するあまり好きな人の存在を忘れている二次創作サイトの注意書き の続きです。

前の記事を読んだ方から「自分のサイトの注意書きを考え直してみる」、「注意書きを見てモヤモヤする原因が分かった」というコメントをいただきました。私と同じようなことを考えていた人は少なからずいたのだと実感しました。その方が注意書きをどうするにしろ、考えるきっかけを作ることができたというのは嬉しいですね。AZ storeはオタクのみなさんを応援しています。私自身がオタクですし。

「○○を嫌いな人は見ないでください!」という注意書きから、保身、傲慢さ、自虐、配慮など、管理人の複雑な感情を感じることがことがあると前回の記事で書きました。注意書きで相手に情報を伝えることはできても自分の気に入らない訪問者を排除することはできないとも書きました。

「○○を嫌いな人は見ないでください!」の○○には「やおい」、「BL」、「ドリーム」、「同人」などそのサイトの性質を表す言葉が入ることが多いのですが、類似に以下のようなものもあります。

  • 原作者及びその関係者は閲覧禁止
  • 男性は閲覧禁止
  • 管理人のオフラインの知り合いは閲覧禁止
  • 管理人のことが嫌いな人は閲覧禁止
  • 荒らし目的の人は閲覧禁止

これらは「やおいを嫌いな人は見ないでください!」以上に問題があるというか、管理人にとって致命的なセキュリティーホールになるので、書くのを控えた方が無難です。サイトの寿命を延ばしたいなら書いてはいけません、と断言していいくらいです。

禁止形の注意書き=「絶対に押すなよ!」

管理人がローカルルールを作るのは法とサーバの規約に反しない限り自由ですが、あまりに俺ルール全開だと閲覧者に理解されないことがあります。

たまに見る「原作者及びその関係者は閲覧禁止」は、二次創作させてもらっている身で何様だと私は不快に思います。二次創作=ファン活動と考えている人ならこんな自己中心的で保身しか考えていない注意書きを思いつくはずないでしょう。権利者に向けて書くなら、身元と連絡先を明記して「二次創作物に問題がある場合はご連絡ください」と版権元の意に従う旨を伝えるのが筋だと思います。

次の男性の閲覧禁止については、異性にキャハハウフフな性的妄想を見られるのは恥ずかしいよ!同性だけで楽しみたいよ!!と管理人さんは思っているのでしょう(真相は謎ですが、多分)。でも管理人さんと同じ嗜好の異性も世の中にたくさんいるわけで、性別で閲覧制限をするのはナンセンスだと思います。そもそもネットで性別なんて分かりませんし。

知り合い禁止、私のことが嫌いな人禁止、荒らし禁止については禁止する意味が全くないので書く必要はありません。

何度も書きますが、注意書きにできることは相手に情報を伝えることだけです。そして「○○禁止」は管理人がされたら嫌なことを書いています。言い換えれば、「私はこういうことをされると怒るよ、悲しむよ」と自分の弱点を見せているということです。管理人に対して好意を抱いている人、あるいは惰性で動いている人は管理人の主張する「○○禁止」に従ってくれるでしょう。逆に、悪意を持っている人はどう受け取るでしょうか。嫌がらせのネタを見つけてラッキーと思うのではないでしょうか。

そもそも元から嫌がらせ目的であろう荒らしに対して、禁止やお願いでトラブルを回避するのは無理です。嫌悪感を表せば「こいつは打たれ弱そうだ」、「ちょっと何か言ったらすぐ潰れそうだ」と喜ばせるだけなので、注意書きはむしろ逆効果と言えるでしょう。しかも攻撃的な注意書きを書く人は日記やブログも同じ調子で書いている可能性が高いのでなおさら危ないです。荒らしホイホイ。

つまり禁止形の注意書きは一部の人間にとって、ダチョウ倶楽部・上島の「押すなよ! 絶対に押すなよ!!」と同等の意味しか持ちません。RPGですら特殊な魔法を使わないと敵の弱点を知ることができないのに、現実に生きる人間様が同人サイトの注意書き如きで易々と弱点を見せてはいけません。悪意を持った人間に対してエサを撒かないでください。また、最初は悪意を持っていなくても何かがきっかけでアンチに変わる可能性はあります。

オフの知り合い閲覧禁止についてはよく分かりませんが、管理人自身がオフの知り合いにサイトを教えない限り普通は気づかれないのではないでしょうか。普段知り合いとオタク話をしていたのなら、好きなジャンルやキャラ・CPからサイトを知られるかもしれませんが。あと、個人情報を載せていたらばれるかもしれませんが、それは無用心すぎなので態度を改めてください。何にせよ、からかわれるためのネタをわざわざ相手に提供する必要はありません。

「北風より太陽」式プロモーション

私は、注意書きを作るにあたって「禁止」、「高圧」、「脅迫」はNGワードだと思っています。一向に廃れる気配のない「オンラインブックマーク禁止」について禁止・高圧・脅迫を含んだ例文を作ってみました。

レベル1:オンラインブックマークは禁止です。
ご遠慮ください、とか。よくあるパターン。もう慣れました。
レベル2:オンラインブックマークは禁止です。最低限のマナーは守ってください。
これもよくあります。この手の主張は自分が信じる偏った常識、自分がされて嫌なことを書いているだけのことが多いです。同人に限らず、自分の都合のために「常識」、「モラル」、「マナー」という曖昧な言葉を持ち出す人は危険です。禁止する根拠と相手を納得させる理由を書かないと、「この人何言ってんの。ムカついたから一言物申しちゃる」とネガティブは反応をもらう可能性があります。
レベル3:オンラインブックマークは禁止です。不快なので絶対やめてください。されたら閉鎖します。
たまに見ます。オンラインブックマーク禁止騒動後しばらくはこんなヒステリックな反応が多かったですね。閉鎖したり、移転したり…。管理人のサイトを閉鎖できるのは管理人とレンタルサーバ管理者だけなのに、まるで閲覧者が閉鎖させるように責任転嫁してはいけません。閲覧者はそのサイトを管理する権利を持っていないから閲覧者なのです。というか「私の気に食わないことをしたらお前をアクセス制限してやる!」というならまだ分かりますが、「私の気に食わないことをしたら私のサイトを閉鎖してやる!」は意味不明とまでいかなくても変です。自分にナイフを突きつけてビルに立てこもる奇人のような…。「近づいたら刺すぞ!」とか、あなたがナイフを下ろせばあなたは傷つかなくてすむのに、何をしているのですか?と。

このように文章が攻撃的だと反感を持たれます。例えば「ごみを捨てるな」という趣旨の文章を書くのでも「ごみを捨てないでください」と「ごみはお持ち帰りくださるようお願いします」では後者の方が柔らかい印象を受けませんか?

オンラインブックマークも禁止でなく、肯定+お願いの形で書くと少し印象が変わります。「検索除けをしているので、念のため非公開でお願いします」、「ご協力お願いします」などです。それに閲覧者が従うかは別ですが、禁止ほど反感は持たれないと思います。

SNSなどのアクセスコントロールできる環境でない限り、webにおける「禁止」は「お願い」程度の意味しか持ちません。そして「お願い」を「禁止」という形で書くと、反感を持たれることがあります。よって、不特定多数にお願いしてその効果を期待するのは無謀であると自覚した方がいいです。自分が不快になりたくないために他人を不快にさせる書き方はネガティブな反応を受ける可能性があることも頭に入れておいてください。

絶対読んでもらわなければいけないという気持ちが先行してガチガチの注意書きになるのでしょうが、とりあえず深呼吸してください。誰に何を伝えたいか、自分の書いた注意書きを読み直して自分が不快にならないかなどを考えて書けばある程度穏便な注意書きになると思います。攻撃的な文章を書くのは体力を使います。趣味のサイトなのですから、肩の力を抜いてまったり行きましょう。