なかなか引かない鎖骨の腫れ
既に精密検査も済ませてあって
傷病名は「胸鎖関節炎」
おじいちゃんおばあちゃんの膝に水が溜まるのと同じ現象と説明され
ついに
おばちゃんから
おばあちゃんの域に達したらしいと
少しがっかりしたような気分で
そのうち治るだろうと思っていた
なかなか引かない腫れ
根本的な原因の追求と治療法を見つけるために
不思議な力を持つドクターの診察を受けるため
朝から電車に乗り
都会の小さな医院に行きました
町の外れの図書館のような待合室
4列ある長椅子は
順番を待つ人たちでとうに埋め尽くされ
座る場所もなくなっていて
診察券を渡したあと
書棚の前にしゃがみ込んで
背表紙を指でなぞりながら
懐かしい本を見つけました
夏の庭
夏の雨上がり
むせかえるような草いきれ
小さな待合室で夢中になって読みました
最初に出会ったのは
テレビの画面越しに観た映画
それから本を買い
やっぱり今日と同じく夢中になって読んだ
読みながら
わたしが男の子ではなかったことを恨めしく思った
男の子だけが味わう夏の庭を
わたしも経験したかったと
地団駄踏むような気持ちになったこと
待合室の片隅で
そんなことを思い出しました


