
セットカウント2-1で迎えた第4セットの第1ゲーム、錦織はジョコビッチのサービスの乱れを狙い、強烈なリターンを放って0-30に持ち込んだ。勝負所をしっかり抑えながら、巧みな力の出し入れ……。15-30からジョコビッチが献上した重いダブルフォルトは、強い風のせいではない。そこまで蓄積してきたショットの軽重、ラリーに込められた攻撃性の濃淡の果てであり、15-40からジョコビッチのフォアハンドが力足らずにネットにかかった。このサービスブレークは、初めての6試合目、4時間超の2試合を戦ったボロボロの肉体には爽やかなシャワーだ。
続く第2ゲーム、0-40から5ポイント連取してサービスキープしたところで布石は整った。無駄な打ち合いでの消耗を避け、自分のサービスゲームに集中――第5、第7ゲームの相手のサーブに抵抗せず、4-3からのサービスゲームは3本のノータッチエースによるラブゲーム・キープで5-3。見事としか言いようのない集中力と完成された試合運びである。第9ゲームの2本目のマッチポイントで、ナンバーワンの必死のフォアハンドがベースラインを大きく跨ぎ、熱いコートにピリオドが打たれた。