蒸溜所訪問レポート第三弾は【ニセコ蒸溜所】です。
こちらは日本酒の八海山で有名な八海醸造を母体に持つウイスキーとジンを作るクラフト蒸溜所で2021年にニセコ町にて稼働を始めました。
蒸溜所の造りは「ビジターへ見せる」事へのこだわりが感じられ、蒸留設備は一般客が入れるショップエリアと柵で区切られているだけの状況でした。
ですので、タイミングが合えばマッシュの甘い香りやウォッシュの酸っぱい香りも感じられ、五感で楽しむ事ができます。
先ず使用している麦芽は全量ノンピートのクリスプ製(輸入品)で、仕込みは1バッチ1tです。
仕込み水は敷地内の井戸から汲み上げたニセコアンヌプリの伏流水(硬度33の軟水)を使用しています。
モルトミルはスイス製で、製造設備は殆どビジターに見える場所に設置されていましたが騒音対策でモルトミルだけは奥の別室に設置されていました。
マッシュタンはスロベニア製でマッシングに使用する温水の温度は大体62℃と説明していたので、一般的な麦汁生成と思われます。
麦汁の搾りかすは地元の堆肥工場に引き取ってもらっているとの事でした。
ウォッシュバックはダグラスファー(木)製で容量7,536リットルが3基です。
発酵時間は約4日間と少し長めでした。
発酵後のウォッシュはアルコール度数7%になります。
親会社が八海醸造という発酵のプロフェッショナルなので発酵には自信があり、木製の発酵槽にしたとの事です。
ポットスチルはフォーサイス製の単式が初留(右側/ストレート型)・再留(左側/バルジ型)それぞれ一基の計二基です。
現在熟成庫(ダンネージ式)には200丁程度の樽が眠っており、使用している樽はバーボン樽・ホグスヘッド(有明産業製)・オロロソシェリーバット・フランス製ワイン樽・新樽(有明産業製)の5種類で、今のところミズナラ樽は使用していない様です。
将来シングルモルトウイスキーとしてリリースする際はそれらの原酒をバッティングするとの事です。
ちなみに、現在は4名のスタッフで製造を行っている様です。
また、同蒸溜所はジンも作っており、ジン用のスチルはホルスタイン製のコラム付きハイブリッドです。
ジュニパーベリーは主にマケドニア産を使用しており、ボタニカルは乾燥物は一晩漬けこみ、ミントなどの生の物はバスケットに入れてべーパーインフュージョンしています。
ジンは1バッチで500~600リットル(アルコール度数70%)が得られます。
モルトウイスキーのニューメイクを試飲しましたが、ジャパニーズのクラフトらしく雑味が無く、モルティですが少し柑橘も感じ、オフフレーバーはありませんでした。
加水するとフルーツ感も感じられます。
今年春のウイスキーフェスティバル東京で試したニューメイクに比べ味のコンテンツがしっかり感じられたのは気のせいなのか造りが進化したのか、定かではありません。
また、テイスティングでは新潟の魚沼で試験蒸溜している「米9:麦芽1」で作られたウイスキー(グレーンウイスキー?)も試しましたが、こちらは米の甘さというよりブランデーの様なねっとりとした甘さが感じられ、非常に面白かったです。
ウイスキーの条件としては「原料が穀物である」事が絶対ですが、米も穀物の一つですので、米を主体としたウイスキーの可能性を感じさせる面白い試みと感じました。
ショップでは同蒸溜所製品であるohoroジンの他に八海醸造の日本酒や焼酎も売っており、加えて燕三条で造られた様々な金属加工品など新潟の工芸品も多数扱っていました。
バーカウンターではニューメイク試飲の他に、ジンをベースにした各種カクテルも提供しておりohoroジンの様々な可能性を提供しています。
(ジントニックはジンの味を活かす造りで、スモークドネグローニもおいしかったです)
※2022/11/13追記
お店にはブログに載せきれなかった写真をアルバムにしてありますので、そちらの方もご覧下さい
Whisky Bar 髙森
住所:北海道釧路市末広町三丁目8-1 末広クリスタルビル6階
電話:0154-65-9958
ホームページURL: https://bar-takamori.amebaownd.com/
営業時間:18:00~2:00(ラストオーダー 1:30)
定休日:日曜日・年末年始