そして、親分に辞意を伝えた。
すると、最後に別の派遣先に二週間応援に行く事になった。
産業ロボットの組立てという特殊技術に特化した町工場は横の繋がりが強く、技術者を互いに融通するという知恵を知った。
新たな派遣先の社長はまだ若かった。
こちらの社長さんは、好きで社長をやってるのではないと言っていたので驚いて、聞いてみた。
若い頃、走り屋で…友人を乗せて、誤って崖から転落、死亡させてしまった…らしい。
莫大な慰謝料を請求され、サラリーマンでは一生働いても返せる額ではなかったという…。
お金だけで償える訳ではないけど、仕方なく会社を興し、全ての欲を封印し、インスタントラーメンだけで、数年間死に物狂いで働いたそうだ…。
世の中には、色んな人がいるもんだ…。何が起こるか解らない。
先延ばしにする事なく、今出来る事は今すぐやろう…と。
ORIGINの開業の意思は益々揺るぎない想いに成長し、不安もブレも無くなっていった。
こうした偶然の出会いは、実は必然だったのかもしれない。
バックレる事無く、無事に退社し、今治の実家に帰った。
数年ぶりの実家に緊張した。
Barを開業する事を打ち明けたが、当然反対された。
親父は肝硬変、肝臓がんを患い末期を経験する程、酒が好きで、飲み屋事情にも詳しい。
殆どの店は、ツケが凍り付き、代金回収に何処も四苦八苦している。お前にはムリだ!
と、一点張り・・・。
でも、僕には切り札があった。
キャッシュオン•システムと言われる、外国式の方法で前払い、又はドリンクとの引き換えなので、ツケは発生しない…。
今治ではあまり定着していなかったが、親父は反対する理由が無くなって、言葉を失った・・。
まっ、誰が反対しようが、強行突破。いままでこれでやって来たし、自分が信じてイケると思ったら、これからもそうするつもり。
やらずに後悔するより、やって失敗して後悔する方が諦めつくからね。
まずは、物件探しや!
条件的には、
①立地はどうでもいい。50人~100人収容出来る事。
②天井が高く、防音物件。
コレが僕の理想のCLUB経営の条件。
だけど、不動産屋に知り合いなど、いなかった。
まずは、1軒目・・駅近くの不動産屋・・・。
僕 『店舗物件ないですか?』
主 『・・・・・』
じーっと僕を数秒直視した後、保証人(親)連れて来い・・・と言い放った・・・。
いくら童顔だからって、いきなりソレは無いんじゃないの!?
二度と来るか!ボケ!!とは言えなかったけど、気を取り直して2軒目・・・
店舗物件を専門に扱ってそうな社名の不動産屋・・・
僕 『店舗物件ないですか?』
主 『残念!さっきまであったんだけどね、もうナイよ!』
明らかに、オトトイ来やがれ的な対応・・・ナンボでも空き店舗におたくの看板あるのに!?
物件出てきたら、メールする・・・という事になったが、メールが来る事は一度も無かった。
完全にナメられてる・・・・見た目で判断しやがって・・・
そうだ、思い出した。24歳で購入したマンションを賃貸物件として管理を委託している不動産屋に相談してみよう。住宅専門やから、間違っても店舗物件なんて持っていないだろうけど。
さすがにもう5年も会っていないから覚えていないだろうと、一般客のつもりで、店舗物件ないですか?・・・と、訪ねた。
主 『大○さんですよね?』
僕 『え?覚えてるんですか?』
主 『もちろん、大家さんの顔ぐらいは覚えとかないとね(笑』
僕 『クラブ・・やりたいんですけど・・・』
主 『僕が学生の頃、東京のクラブでアルバイトしてたから、今治でクラブを経営したくて、物件を抑えてあるんです。見て見ますか?』
僕 『!!!!!!』
続く・・・