今度のアルバムは“ライブ”を全面に押し出そうとは思ってないんです。
コンサートの再現は、もっとあとにとっておきたい。
今、浜田省吾&The Fuseは第1期黄金期を迎えているから、それを記録しておきたい。
むしろ、僕たちのオリジナル・アルバムを作るつもりでいるんです。
ライブ・アルバムですね。
広島で録ったものと武道館のものと。
武道館の方はエネルギーがあったんだけど、テンポがものすごく速かったんです。
ライブの他に「ON THE ROAD」という曲を書いてこのアルバムを作ったんですけど、メロディは出来たんだけど、詞が全然書けなくて、CBSソニーの信濃町のスタジオを蹴とばした思い出がありますよ。
僕は、もう「出来ないからいらない」って言ったの。
ライブなんだからライブの曲だけでいいじゃないかって言ったら、須藤君が「絶対必要だ」って言うわけ。
でも書けないものは書けないんで、「書けない」とか言ってパッカーンと壁を蹴とばしたら須藤君が目を丸くしてた(笑)。
「なんて奴だ」みたいな顔をして。
それで武道舘のチケットは、いざふたを開けてみると3日間でソールド・アウト。
最初は、まあアリーナだけ音聴こえりゃいいなとか思ってたの(笑)。
だからびっくりして、それからPAとか経費のすったもんだが始まるんですよ。
前の事務所、ホリ・プロダクションで、やっぱり歌謡界って赤字覚悟でコンサートやるって感覚はないわけね。
だからそこですごいもめてね、スタッフにも苦労かけたし。
やっぱり、今までやったコンサートの中で最高の音で聴かせたいっていうのがあったから。
この頃からですよね、浜田省吾というのがやってることが外に向かって伝わり始めたのが。
この頃になってやっとやり易くなってきた。
千人クラスの小屋でできると機材も充実してくるし、ギャラもちゃんと払えるようになる。
それまで学園祭とかもたくさんやってたけど、80年を境にして変わってきたし、学園祭が。
要するにいかに金を儲けるかってなってきて、もうすごいいやな思いしたの。
誰がどの位のギャラで何人客が来るかなんて統計まで雑誌に出たりして(笑)。
冗談じゃないよね。
別に昔が良かったというつもりはないけど、今はそれが極端に走ってるでしょ。
で、まあ俺の方は、そういう武道館とかをきっかけにして、本格的なツアーの形を作っていくんですね。
浜田省吾&愛奴ファンのお店 東京新宿Bar“Flash&Shadow”
http://www.flashandshadow.com