浜田省吾さん自身は“上質の青春映画”と評したアルバムです


また「音がすごくプロフェッショナルでいて、歌の内容がすごく若々しい、その辺のバランスが絶妙」と仰っているのですが
僕は正直、逆にアンバランスを感じてしまいました(苦笑)
若さは、時として洗練されていない音に魅力を与えることがあると思うのです


このテーマでのアルバムは「SAND CASTLE」以降、これを越えるアルバムは出て無いと感じてしまう所以です


さておいて、このアルバムは
“まるでナイフの刃の上を歩くような若い日々”をテーマに集められた曲たちです


『ON THE ROAD '90は、'90年7月から'91年3月まで続いたんですけど、1月の段階で「ONE & ONLY TOUR」の概要は見えてた。
ボクの方から出た企画が、コンサート・スタッフである舞台班やPA班に渡って、その段階から「Edge Of The Knife 」のことを集中して考えられた。
もちろんツアーをやりながらだけどね。(笑)
ツアー終了後、2泊3日のスキー旅行が打ち上げも兼ねてあって、それからすぐレコーディングに入った。
プロモーション用のライブCD(黒い封筒で配られた7曲入りのアルバム「ONE AND ONLY」で、ツアーとNEWアルバムの告知として関係者に配られたものです)を作る作業から始まって、「Edge Of The Knife」に移っていったのかな。』


『歌っていうのは歌を作った時のままだと思うんですよ。
歌を作った当人=作者は成長してるけど、歌そのものはその時のままだから、サウンド的な部分を除いてはそんなに距離を感じない。
「Edge Of The Knife」のような性格のアルバムはずっと作りたかった。
「SAND CASTLE」の後に「WASTED TEARS」を作ってしまったから、順番としては逆になったような感じなんだけれども、ずっと気にかけてた。
実は「Edge Of The Knife」に収録された曲よりも(世代的)にもっと前の曲が僕にはあって、たとえば「反抗期」「独立記念日」「MONEY」あるいは「DADDY'S TOWN 」など 最初はそうした曲もいちおう候補の中に入ってた。
でも、そこまで逆上らないで10代の後半にいる歌の主人公にスポットを当てたんです。
ずっと前から持っていた漠然としたアイデアは、10代全般というか、そんな感じだった。
だから、コンサートでも言ったけど「WASTED TEARS」につながる(上の世代の)アルバムを作る前に、この「Edge Of The Knife」を発表しておきたかった。』


『ボクの歌の主人公は、きっとある一人の少年がだんだんに歳をとっていってるんだと思う。
そこには自分自身の影も投影されているだろうし、自分の周りにいた友人たち、家族、いろいろな人たちの持ってるものがある一つのカタチになって歌の主人公を作る。
その少年がずっと成長してる感じはしますね。

ボクが言う“リアルさ”って、ほんとの現実と自分が抱いている幻想と(それは夢と呼んでもいいし憧れの姿でもいい)が、ミックスしたもの。
それが作品としてのリアルさじゃないかと。いわゆる単純なリアルは、朝7時に起きて歯を磨いてトイレに行って、クルマにガソリン入れて仕事に出かけて…とかでしよう?(笑)
ただ、歌の中にあるリアリティーっていうのは、現実と、現実から少しはみ出た、心の中にある幻影、心象風景が一緒になったものだとボクは思ってる。
だから、ボクの歌はそういった意味でのリアリティーを追いかけてきてるんじゃないかなあ?。』


『ずっとつながってますね。ボクの=作者の美意識や価値観、あとは同じところをグルグル回っている弱さとかモロさも抱え込んで進んでる。
願わくば「WASTED TEARS」の続編っていうのは、「WASTED TEARS」が男と女とか恋愛に対して諦観を持ったアルバムだったから、もっと肯定的な作品になればいいなと思ってる。
自分では。で、今度の「Edge Of The Knife」はティーン・エージャーが主人公だから、非常に無邪気ですよね。
刹那を生きているような主人公たちが(歌の中に)登場してきてる。
そして、「SAND CASTLE」の最初のほうには、まだその様子がある。「WASTED TEARS」に到る段階で少しずつ心に影を落としていくというか‥。
今、「Edge Of The Knife」の続編を出したら、全部で4枚でしょう?
それらが、映画の第1章から第4章までになって大きなまとまりになったら・・・って考えてます。』


そして2003年9月26日発売「初秋~EARLY AUTUMN~」へとつながるわけです


浜田省吾&愛奴ファンのお店 東京新宿Bar“Flash&Shadow”
http://www.flashandshadow.com