「制約理論」で有名なTOCの国際認定資格、「ジョナ」の資格を取得し、企業では多少ながらも
ブランディングやマーケティングの支援、販売サポートなどを経験してきました。
技術経営に関するMOTの分野も学び、海外の大学院やその他で学んでくると、日本の多くの
大企業が抱える経営自体の考え方に疑問を持つことがあります。
(人に問題があるのではなくて、価値観・背景に問題があり、という着想です)
ちょうど、現在、脱却した人的・知的資本経営に変わりつつある企業もありますね。
良く巷で言われるのは、「価値創造」に長けた日本企業、しかし「価値獲得」は下手である、と。
グーグルやiPod&iTune、DELLモデルやAmazon.com、インテルやマイクロソフトなどビジネスモデルの
作り方に関する事例などわかりやすい事例があります。
最近では米国での低価格液晶テレビメーカー『VISIO』の台頭と早期開発コスト回収モデル(日本メーカー
ではとてもできない販売価格で大型液晶テレビを販売)なども、日本にできない事例ですね。
悪い事例では、画素数アップばかりを目的とした(最近の手ブレ補正や顔認証などの機能が入る前の)
デジタルカメラ業界の開発競争に対する顧客の支払う対価価値の鈍化など、ミスマッチした事例が
あります。
簡単にいえば、
「戦略がない(日和見)」
「儲かる分野に大挙して企業が参入し過ぎ」
そんな事かもしれませんし、
「経営陣がコミットしていない」&「プロジェクト・マネジメントができない」
という事が核心ではないか、と思います。
しかし、良い面は「技術蓄積を行う事ができる企業風土である」という面は、大事に
していただきたい面です。
そして、根本的な潮流として流れている価値観・背景としては、時代の変化に対して
変わらぬままでいる、
「大量生産によるコスト削減」
「シェア1位を目指した活動」
なのだと思います。
最近では、ベンチャー企業の発表会ですら、そのやり方で、せっかく高く売れる技術があるにも
関わらず「○○円まで単価を下げます」と言い、疑問を投げかけても誰もそれに対して
異論を唱えない人達がベンチャー企業を支援している、従来の大企業型のパラダイムの
ままで指導をしている事にも問題があると思います。
莫大な研究開発投資をして、その早期回収が目的なのは仕方のない事でしょうが、それが
「大量生産」に持っていく必要があるかについては、ロジックの飛びがあるように思います。
「高い価値のものは、高く評価してくれるところから販売する」
が、正統な考えであり、長期的に見た場合、そこから順番に下のグレードに販売していけば
良いのだと思っています。
ブランドづくりの観点からも、正しいように思います。
市場を大きく捉えてしまい、参入される条件を自社で作ってしまっているのではないか、結果的に
レッド・オーシャンになってしまっている状態を引き起こしてしまっているのではないか、と
感じます。
この点は、日本よりもアメリカよりもむしろ欧州に学ぶことが多いと感じます。
「ユダヤの商法」で、全てのシェアをとろうとしない、いつも余裕をもった勝負をする。
「分け合う」という価値観が根底にある。
そこで、ニッチな存在になり、価値を高くする。
昔読んだ本で、欧州の車のメーカーが日本車のように輸入バッシングに合わなかったのは、
パーツや部品などでふんだんに海外のパーツメーカーを入れたからで、全て国産パーツの
日本車のみが叩かれる結果になった、と。
MOTなどでは、すり合わせ技術の必要な日本車の開発工数はとても短いという事で日本式の
開発体制は強みである、という意見もありますが、目標は短期利益の獲得でしたか?
車の例を出しましたが、車のパーツで高級シート素材となっている「アルカンターラ」は東レの
技術です。
東レブランドで販売していたら、「アルカンターラ=高級」となっていたでしょうか?
イタリアの東レ子会社アルカンターラ社は、この疑似スエード素材の持つ価値(多様な色の
出し方や風合いなど)に着目し、一切大量販売しずに、デザイナーズ家具や高級自動車の
マセラッティなどから販売していきました。
長い時間をかけて取り組んだ結果、東レのスエード販売価格と3倍以上の価格で取引
されていたそうです。全く同じ素材でありながら・・・。
技術開発のコスト負担がなかったかもしれませんから取れた戦略かもしれませんが、
結果的に日本に逆輸入される頃には「何やら高級グレード」という価値をもっている
ようになりました。
もう一度、考えを元に戻すと、
・コストを下げるために、大量生産する設備を入れて、原価低減のためにフル稼働させ、
とにかく売ろうとする
・その結果、シェア市場主義に走り、市場を広げすぎてしまう。
・大衆化によって、さらに単価は下がる。競合が沢山参入し、価格競争を激化させる。
大事なことは、そこにある価値観が、
「市場が制約条件であるはずなのに、いつの間にか、生産・生産効率が制約になっている」
という事です。
これがブランド価値低下にもつながる価格低下や、大量販売につながっていく。
高く売れる技術は、高く売れるところから、そして順番に標準化していくのが正しいステップでは
ないか、と。
市場の状況、製品・サービス固有の性格がもつパラメータはそれぞれに異なりますし、企業の
管理会計などの価値基準によっても指標が変わってきますが、まだまだ多くの企業はその
ジレンマに陥ったままでいる、と感じてなりません。
そして、中小企業も、そんな大企業の考え方をそのまま取り入れて、同じ競争に参入し資本が
大きなところが勝つゲームに参入しないように、指導やアドバイスする側も考えていきたいものです。
他には、新価値・新技術があっても業界の常識や基準などの障壁があって販売できない事があり、
そういう場合こそ、海外に持って行って成果を出し、そこで認められて日本に逆輸入をする、という
やり方が、付加価値もブランディングも成功するのではないかと思っており、そういった事を実現
できたらなぁと思っています。
以上、長文の「ひとりごと」でした。
共感・理解いただける方がいらっしゃったら嬉しいです。
ブランド論的には、田中洋先生をお招きして講演をしていただいた時に、先生がおっしゃっていた
「ブランドとは『やらない事』を決め、守ること」に通じる部分もあると思います。
また、ご意見やアドバイスなどありましたら、ぜひフィードバックをお願いします。