おはようございます。


起業途中、アーリーステージにおいて、あるいは業務拡大、顧客への対応力増強のために

顧客情報を活用したい、プロモでかっこいいビデオが作りたい、業界を超えたコラボを

やってみたい、という相談・アドバイスご依頼をいただきます。


個別にご返信やアドバイス申し上げていましたが、せっかくですので共有、自分の備忘録としても

ブログがありますので、記載しておきたいと思います。


時代と共に、トレンドや技術、業界の順位などが変わってきますので、情報の陳腐化にはご容赦

下さい。


「コールセンターの構築を行いたい」


開始までのリードタイム、人の手配・コスト・品質・サービスの選択など課題があります。


業務を一気にパワーアップする事自体、とても素晴らしいことですね。


◎まずは事業の考え方・強み・理念などを振り返ってみる。


何が強みなのか? どういうサービスを目指すのか? 低いコスト重視か、コンシュルジュの

ような対応か? オペレーションを賄う資源(コスト)の出所はどこか?


また、既にコールセンターとしての業務を行っているが、本格的な仕組みにしていこうとする場合、

それはコストダウンや集約を求めたものなのか、業務をさらに拡大して「プロフィットセンター」に

していくのか、などによっても、力の入れ方が変わってきます。


ナレッジマネジメントなどの要素も関わってきますね。


戦略・戦術の構造(三角形の図のようなもの)をイメージするといいですね。



◎思い描いた像を描いたら、次のステップは実際のオペレーションです。


留意する点につきましては、下記の項目かと思います。

・インバウンドか、アウトバウンドか?
  ⇒コンタクトセンターとして総合のものにしていこうとしているのか、どうかが問われます。

   インバウンド(電話をもらう側)か、アウトバウンド(DMなどのフォローで電話かけたりする側)の

   どちらの業務を重視するか?


・予約専用などの受付専門ダイアルにするか、コンシュルジュのような御用聞き、あるいはソリューション

 対応を目指したモデルなのか?
  ⇒業務のオペレーション効率が変わってきます。 1件あたりのお問い合わせ業務工数はもちろんの事、

   センターのオープン時間・オペレーター人数などに影響を与えます。


   また、ここで方針と実際のマニュアルが異なってしまう事が発生してしまいますと、「理念と

   オペレーションのミスマッチ」が生まれますので、方針・マニュアル・評価基準などは一貫した

   ものにする事をお勧めします。

   (顧客満足度重視 VS 問い合わせ対応効率重視)


・想定する問い合わせ件数
 ⇒最初はわからないかと思います。「インテリジェント・エイ・ヤー!」で、まずは設定してください。

  時間帯別・季節別なども想定しておくと良いです。あくまでやってみて変更すれば良いです。

  ボトルネックを見つけて、そこから制約工程を活用する方向にしていけば良いです。


・個人情報の保護(プライバシー認証)

 ⇒ 今、非常に重要なことです。現在は、顧客情報を、社内で安易に利用できないように管理

   する事が望ましいです。 また、プライバシー認証などや、ISOなどとっておくと良いでしょう。

   (コストが発生します。)


・問い合わせ対応記録の記述

  ⇒ 問い合わせ対応履歴・顧客データベースと連動する仕組みを利用します。


◎設計・想定のポイント

 ・技術的なこと① 電話番号を自動でシステムに登録できるようにするか?

 ・技術的なこと② 録音機能など入れるか?(上記二つがCTIシステムの導入)

 ・技術的なこと③ 地図の表示までやってしまうか?(Map機能)

 ・技術的なこと④ クライアントや関連企業の予約システム・関連システムと連動させるかどうか?


 ・オペレーション課題① お客様の決済機能はどうするか?
             (登録のみ。あるいはクレジットやコンビニ払いなどまで業務に利用するのか?)

 ・オペレーション課題② コール件数の変化(季節変動、時間帯変動)に対して
                 柔軟に人数や体制を変える必要がある場合

 ・オペレーション課題③ 電話のみならず、メールやWebも介した総合的なコンタクト
                 センターにするかどうか?

                 (導入する管理システムそれぞれに強み・弱みがあります)

 ・オペレーション課題④ 社内に仕組みを置くか? 外部の仕掛け(インターネットや
                 ASPネットワークサービス)を利用するか?


上記のような事に配慮すべきでありますが、実際のところ、検討初期はこれらについて、

わからないと思います。


また、中堅の旅行会社さんなどのオペレーションをチラ見してみますと、意外に
自社でシステム運用していなくて、共同の予約システムなどを乗り合いで利用して

業務を行っているところも多いです。


業種によっては、自社で作り上げる際に、こういった乗り合いシステムとの連携も

視野に入れる必要があります。


優先順位としましては、「顧客情報の管理・受け渡し」です。

これこそが、経験上一番の重点課題だと思います。


社員さんが、個人情報データを持ち出したりすることができないような仕組みにしておく必要が

あります。リスク管理上でもですし、当然ながら競争環境としても顧客情報の管理は

重要となります。


大きな仕組みを実施するのは、スタート時には好ましい事ではありません。


ですので、お試し実践として、電話+Webなどを介した簡単な予約システムを組むという
事が良いのではないか、と思います。


大事なのは、「顧客情報・信頼」というところをきっちり抑えること、その為には、

例えば顧客データを月額いくらという形でWeb上で入力・検索などができるのが良いと

思います。(特にスタートアップ期の企業では、オフィスなどもセキュリティが厳しくなく、

パソコンやサーバーを盗まれる、というリスクがあるものです)


◎代表的なASPサービス

ASPサービスは予約システムや顧客管理などを月額いくら(だいたい1クライアント
5,000円ぐらいから)で利用できる仕掛けで、顧客データに関する項目など
もう準備されているので、オペレーターさんに登録を簡単にしてもらう
仕掛けが短時間ででき、ほとんどすぐに利用できます。


例えば、

・シナジー・マーケティング
http://hear.crmstyle.com/products/customer.html


・セールスフォース・ドットコム
 インターネットのWebサイトに予約機能を組み込む時などに最適です。
http://www.salesforce.com/jp/


・非常に簡単に利用できるメール・電話対応(カンタンさ、直感的なわかりやすさ、

    日本人的な設計思想など初期は一番お勧めです)
 メールディーラー
http://www.maildealer.jp/


上記の仕組みなどを利用して、通常の電話で受け答えする、という形でまずは

スタートすれば良いかと思います。


データ入力項目は、時代とともに常に移り変わります。その度にシステムを

変更するのはコスト増になりますし、システム停止もできにくいと思います。


セールスフォースなどは、CTI(こーリング・テレフォニー・インテグレーション)などの

サービスパッケージを持っていますので、そのような利用の仕方には良いでしょう。


また、同上のセールスフォースですが、社外のホームページに組み込むことも

できますので、そのままダイレクトに顧客データシステムに入れ込むことも可能です。

(ただし、一部に制約が発生します。ここが海外ベンダーの課題です)


もう一点、「FAQ」としてシステム内に蓄積された情報を、同一データを利用して

社内・社外で「情報の階層を分けて」表示する、ということができるものがあります。


多くのシステムでは、「そのシステム内でしか機能しない」という事で、システム管理者が

エイホラとデータを整理してFAQの仕組みに入れ替えていますが、そのような仕掛けでは

なかなか蓄積というのは進みません。

(システム管理者の負荷となります)


私が知っていた当時では、セールスフォースはそのような機能がありました。

(ただし、システム制約があって万能ではありませんでした。導入した事がありますが、

 少しベンダーから説明不足だったと思います)


将来的に、データベースマーケティングなどに業務を発展させるという時には、
シナジー・マーケティングなどの仕組みなどは考慮に入れられると良いと思います。


いかに「コストセンター(コストワールド)」から、「プロフィットセンター(スループットワールド)」

にしていくか、が課題です。

しばらくは上記3社ののようなサービスを比較し、いったんランニングして、業務を

行うべきオペレーションチームに任せ改善していけば良いです。


徐々にコール件数、振り分けするクライアントが増えてきた場合に、本格システム導入を
考えると良いと思います。



◎人員の調整・コールセンター業務アウトソース


次にコールセンターを構築していくにあたり、絶対人員の問題が出てきます。


あるいは、このコールセンター業務自体に付加価値がない場合は、思い切って

外部資源に頼る事も、判断しなければなりません。


この業務には、電話対応業務・コールセンターに強みのある派遣会社・サービス会社で

対応する部分となります。


良いメリットは、派遣を依頼する場合でも、ある程度オペレーターさんを教育しておいて

くれます。 ある程度のマニュアルさえ渡しておけば、事前に教育をしてくれるので

早い戦力化が期待できます。 ただし、都会ですと、「賃金」市場が高く、安いと

募集にきてくれない、という事がありますので、相場などは派遣業界の情報を聞くなどして

判断してください。


次に、アウトソースですが、24時間対応(夜間問い合わせ)、あるいは、お中元・お歳暮・

ゴールデンウィークなどの季節で「異常値」になってしまうようなコール件数が発生しそうな

場合、あるいは「リコール」などフリーダイヤル設置を必要とした場合には、この

コールセンター事業を行ってる会社に助けていただく事になります。


夜間転送なども行ってくれますので、朝出社したら夜間の問い合わせのあった内容を

ファックスいただく、という事で対応がラクになります。


※コストにより、どこまで対応してくれるかが変わってきます。問題解決まで行ってくれるか、

 あくまで問い合わせ受付1次対応のみか、など。


代表的な会社としましては、


・ベルシステム24
 前職の時、利用させちえただいていました。夜間の電話対応と、リスク発生時のコールセンター
 設置など、依頼してました。
http://www.bell24.co.jp/


・NTT関連会社、大手電機・ベンダー(日立製作所など)のコールセンター・人材派遣事業など


下記サイトなどでも比較できるようです。

http://www.otoiawase-portal.jp/company/callcenter_kouchiku/



◎海外からの問い合わせ対応には?


「海外からの旅行客・富裕層・日本人駐在者」なども相手にされることを想定している場合、

言語対応なども考えていかないといけません。


マルチランゲージにするには、ホームページなども変えていかなければなりません。

コールセンターのみならば、下記のような外国人対応のコールセンターソリューションも
あるようです。


http://www.world-sp.net/japan/multi/index.html


このような感じです。


後は仕掛け(システム)側に、問い合わせ件数・標準問い合わせ時間・スキルマップなどを

入れて、電話対応時の割り振り、転送などを科学的に実施していく必要がある場合もありますが、

選任の管理者が必要でしょう。

(この場合は、CTIサーバー、UNPBXなどの端末が必要となってきます。数百万~数千万円)


初期は、まずはデータの登録の遅れがないか、業務の流れで滞っているところはないかなどを

確認(例えばある工程のみFAXオーダー用紙が山積みになっている)して、そこを重点的に

制約の能力を上げる・遊ばせないことをして改善していけば良いと思います。


大手企業では、コールセンター構築で、以前には補助金の出た沖縄での設置、日本語の

きれいな町(金沢・北海道など)への集約、中国・大連など日本人が多くて人件費が安い

(安かった)場所でのグローバル対応など行っていましたが、「プロフィットセンター」を

目指すのであれば、別にどこでも変わらないと思います。


以上、理想のコールセンターを限られた資源の中で追求し、顧客満足など高めたコールセンターを

構築されるのを応援しています!