はるかーぜそよふーく
そーらーをみればー
ゆうづーきかかりーて
にーおーいあわすー
「え?…」
いつのまにか土手で寝ていた僕の
足元の菜の花畑から
白いワンピースなんて柄にもない装いをした
死んだはずの妻がそこに立っていた。
「忘れてたでしょー、歌の続き!
夕方になっちゃったね。歌と同じに登場してみました。驚いた?」
「なん、なんで?」
「境橋、だからかも。
不思議な力が宿ってるのかも。なぁんてね。
最近のきみは会社の女の子に告白されて、告白されたのに暗くなってたね。
私のことはもういいんだよ。
覚えておいてくれれば。」
彼女はニッコリ笑顔で菜の花みたいに凛として言った。
「僕は君がすきだ。君の笑いすぎたへんな顔も愛おしいくらいすきなんだ。君といた時間が僕を生かしつづけている。それだけで充分。」
「それじゃ悲しすぎるじゃん。
そんなんやめてもっとポップで弾けるような恋をしなくちゃ。きみはおじいちゃんみたい。わたしは平気よ。」
しばらくこんな会話が続いた後、
彼女がこんなことを言った。
「仕方ない!じゃあ、ちょっときみ、上においで!」
すると僕の体から魂がぬけて魂の僕と彼女が手をしっかりつないで光のトンネルを長いこと長いことくぐり抜けた。