光の中のトンネルを長いことくぐりぬけてる途中、彼女がこんなことを口にしていた。
「いまね、現世で不思議なできごとが14年の間起きてるんだって。1人の女の子にね、恋をした男の子が彼女のこころの声を聞きたいからと禁じられてる魔法を使って大問題でさ。もしかしたらわたしにも生きるチャンスがあるかもしれないってことなの。」
「それって、もう一度僕たちがふたりで生きてまた新しく生きていけるってこと?」
彼女は力強くうなづいた。
「ホントはね、きみの前にさっき現れたのも、またふたりでやって行きたいからだったの。試すようなことしてごめん!」
光のトンネルをくぐりぬけて出た先は
白い白い空間。
ただただ白い白い白い白い空間に立っていた。
彼女が白い空間でよくわからない呪文を唱えノックする。
すると白い空間からドアが開き、
ドアの向こうにはひとつ古びたランプを持った白ひげのおじいさんと、
おじいさんと同じく白ひげの小さな男の子がいた。
彼らはこのドアの番人らしい。
「今神様の1人を呼んでくる。」
すると、若い少年がひとり現れ、こう言った。
「女、本当に再び生きることを選ぶのだな?
再び生き、死がやってくるまで自ら死を選んでも再び生きることはできない。それでよいな。」
「はい。わたしはもう一度彼と一緒に生きるチャンスがあるのなら生きて行きたいのです。」
と彼女は言った。
「男、この女の身元引受人になることを受けてくれるか?もちろんこのことは口外してはならぬ。約束できるか?」
僕はゆっくりとしかししっかりとうなづいて
「僕が彼女をしっかりと守ります。」と言った。
と同時に、彼女と一緒にいつのまにか、さっきいた境橋の菜の花畑の土手に落ち、
ふたりで泥だらけになり、怖かったのを隠すかのように笑いあった。
そして不思議なできごとは、
決して嘘ではなくて、
彼女が目の前にいて僕の手をしっかり握ってくれている今を
僕はしっかりと信じながら
彼女とともに生きようと思う。
おわり。