想いだして、真実が分らなくて、なにも解決せずにずーっとモヤモヤのままな記憶・・・
最後に今さらかぁ・・・
っていつも想うことを
私の生まれた時から、幼稚園卒園くらいまでのアルバムの写真には、母ではない女性と一緒に笑っている写真で溢れている
母がカメラを向けて、その女性が私の横で笑っているのだ
彼女を想いだす時の記憶は、オルガンの音と、青白い肌と、青く見える血管と、指が長くて綺麗な手と、優しい笑顔と、表情を失くした能面のような顔と、皮肉交じりの笑顔と・・・
物心ついたときには、彼女がいた
一緒に住んではいなかったし、毎日いたわけではなかったけど、よく家にきていた
どこかに遊びに行くときは必ず一緒にいた気がする
彼女は母の友達だった
母より年下で、ピアノの先生をしていた
母が、車の教習所に通っていた時に知り合ったと言っていたので、独身の時からの友達だったようだ
私が音楽教室に通うようになったのも、彼女の影響だったし、音楽が今でも好きなのはきっとあの頃の影響だと思う
私自身がピアノよりもエレクトーンが好きで、彼女を傷つけたこともあったけど・・・
でも、きらきら星も、チューリップも、カエルの歌も、メリーさんの羊も他にもいっぱい・・・・簡単な童謡は全部彼女がオルガンで教えてくれた
当時、家にオルガンがあったから、一緒に歌ってひいて・・・
母はまったく音楽ができなかったのもあったから、彼女に遊んでもらった
私はめちゃくちゃ彼女になついていた
大好きだった、綺麗でおしゃれな彼女が
今想う事だけど、ずっと、こんな関係が続くと考えることすら考えつかない、あの日々は当たり前の日々だった
おかしくなったのは、兄が小学校に入ったくらいだったのかな?それとも私が幼稚園に入ったくらいだっただろうか?
あまり家に彼女が来なくなった、母が彼女を避けているのが子供ながらに気付き始めた頃だったかな?
幼稚園の年長だったかな?
あの日は、まだ幼稚園が終わってなかったのに、彼女が教室の前で待っていた
たまに彼女が迎えにきたことがあったから、彼女がいるのは驚かなかった、むしろずっと会えていなかったから、会えたことが嬉しかったのを覚えている
でも、その日は、近所の子が親がいなくて、その子も一緒に家に帰ると聞いていたのだ
だから、彼女が「ママに頼まれてむかえにきた」って言った時おかしいとは思ったんだ
でも、会えたのと一緒に行けることの方が、勝っちゃったんだ
彼女と一緒に幼稚園の門を出た時、母が叫んだ
「どこ行くの!戻ってきなさい!」って・・・
彼女が私の手を取って、「大丈夫、行こう!」って走り出した
あの時、間違いなく私は行くのを辞めれた、でも一緒に彼女と走った
だって、彼女が好きだったから・・・会えたのが嬉しかったから・・・
母を振り切った後、彼女はデパートに連れて行ってくれた
そこでフルーツパフェを食べさせてくれて、上から下まで、洋服を買ってくれた
その洋服は、ずっと着たかった服だった
小花柄のピンクのフリフリのワンピースにふりふりのソックスに、かわいい革の靴
ずっと着てみたかったけど、母はボーイッシュな格好が好きだったから、それに兄のおさがりとか多かったから・・・
彼女は知ってたんだね、私が欲しかった服を
嬉しかったなぁ、かわいい服ずっと着たかったんだもん、夢みたいだったなぁ
たぶん、あの頃の私はもちろんかわいい服にうかれていただけだったかもしれないけど、でも、大人になって記憶をたどると、ずっと彼女は私をちゃんと見てくれいて、欲しいものが分ってたんだなっと想うと涙が出そうになるんだ
彼女と家に帰ったら、鬼のような母が待っていた
「あんたは家にはいりなさい!」って母に言われて家に入った後、物凄い怒鳴り散らしている母と、ヒステリックな声の彼女が怒鳴りあっているのが聞こえた
子供ながらに、私は大変なことをしてしまったって怖くなった
あの時、母の声を振り切ったばっかりに、何か大変なことをやらかしたのだとやっと気づいて怖くなった
母が家に戻ってきて、めちゃくちゃ怒鳴られた、叱られた、引きちぎる勢いで服を脱がされて、母はその服を捨てた・・・
「そんなに彼女が良いなら、彼女の子になりなさい!」って・・・・
あの頃の私は大人の事情なんて分からなくて、ただいつも通りに大好きな彼女について行っただけだった
それは、私にとっていつもの事だった、いつもの日々だったんだ・・・なにも知らなかったのに・・・
それ以来、私は彼女の姿はを見ていない
数年がたって、私は小学生になっていた
2年生か、3年生だったかな?
夏、彼女がひょっこり来た
昔の様に、あの頃と変わらず、勝手に家に上がって、「暑いから、扇風機持ってきて」って奥の部屋にあがって行った
家には私一人だった
扇風機を付けてあげて、私は会えた嬉しさと、その反面、表情のない彼女が怖かった
彼女は無表情のままで、大きなサングラスをかけたままっだった
いきなり、服を脱ぎだした
青白い肌の上にグロテクくな傷が胸に走っていた
グラサンを外したら、顔にも傷があった
私に傷を見せて、彼女が言た
「これは全部、あんたのママのせい!」そこにやさしい笑顔はなかった
怖かった、ただただ、怖かった
後から聞いた話だが、彼女は病院を抜け出して家に来たらしかった
その後の記憶はない
ただ、覚えているのは、扇風機の風と、青白い色の上のグロテスクな傷と、綺麗な顔に似合わない顔の傷と、無表情の彼女の顔と、呪いのような「あんたの、ママのせい」って言葉
本当に彼女に会ったのは、あの夏が最後
今日まで一回も彼女には会っていない・・・
大人になってポロポロと母からあの頃の話を聞いた
母側からの言い分は、彼女は母の今でいうストーカーの様になっていたようだ
母はママ友とか新しい友達ができて、彼女はそれについていけなかったのかな?
「捨てないで!」って母に付きまとっていたらしい
真実は分らない
母も話したがらないし・・・話したくもないというし・・・私にも聞く権利くらいあるんじゃないかな?本当は知りたいけど・・・
彼女は、ブレーキもかけずに電信柱に突っ込んだらしい
あの時の傷は、その時の物だったらしい
大人になって想うんだ
これは私の勝手な想像
あの日、私を連れ出した日、彼女は私も一緒にとは想わなかったのだろうか?
あのまま、車のブレーキをかけず、私を連れてアクセルを踏み込めばよかったのに・・・
何がそんなにも苦しかったのだろうか?母がひどいことを彼女にしたのだろうか?
なぜ、彼女が壊れなければいけなかったのだろう?
私が大人だったらよかったのに・・・なぜ何もできなかった子供だったんだろう・・・
あの日の子供だった私に、何かできることはなかったんだろうか?
なぜ、全部起きていることを、知ることを許されなかったんだろう?隠されていたことにずっと腹が立っているんだ、もしも本当のことを知ったら、彼女を嫌いになっただろうか?
この後、私は多感な時期に入る、もしも母と彼女がずっと友達同士だったなら、私の人生も少しは変わっていたのだろうか?
こんな想像も今更だね・・・
謎だらけの記憶、断片だらけの記憶
どこもかしこも、ピースはなくなったまま、穴が開いたままの記憶
でも、私のアルバムの中には、優しく笑う、綺麗な彼女がいる
母と彼女の関係は、何があったのか、私には関係ないしわからない
私の記憶は、最後の表情のない怖い彼女も含めて、やっぱり私の欲しかったかわいい服を着せてくれた綺麗で優しい彼女だ
私が欲しがっていたものをくれて、私の心をくみ取ってくれた最初の人だ
彼女があの出来事の後、傷が癒えて、幸せでありますように
私のこんな祈りも、今更かぁ・・・・
ずっとずっと大昔の想い出を、時々掘り返して、ピースの埋まらない穴あきの記憶を、今さら想う事でもないなぁ・・・
本当に今更だと思うことだ
マジで掘り返すの辞めたい、もう忘れてしまいたいなぁ。。。
