ダウランドを聴きながら(禁煙427日目)
しかしそこは残酷な世界でした。シェイクスピアの芝居に感心したり、ダウランドの美しい音楽に耳を澄ますことのできるのは、おそらくほんの一部の人だけだったでしょう。
(村上春樹著『1Q84』より)
僕がジョン・ダウランドに初めて出会ったのはエディンバラでのパーティの席上ではなく、ツタヤでレンタルしてきたオムニバスアルバムの中でした。そのアルバムのタイトルは『おやすみo'clockクラシック』で、その中にジョン・ダウランドの『来たれ深い眠り』というリュート伴奏による歌曲が収録されていたのです。
あの世に天国があったらきっとそこには清らかなる湖があって、きっとそこにはこんな清らかな音楽が流れているのだろうな、と思わせる、なんとも甘美で切ない歌声でした。
堪らずamazon.co.jpでダウランドのCDを探しました。そこで購入したのが『ダウランド/リュート伴奏歌曲集』です。
全26曲が収録されていますが、どれも素晴らしい曲ばかりです。
例えば1曲目の『Come again』はこんな切ない詩をリュートに乗せて歌い上げます。
おいでもう一度 今 甘美な愛が
遠くなったあなたの魅力を招いている
私に相応な喜びを与えるために
無上の甘美を共に感じながらあなたと再び
見つめあい 声を聞き 触れあい 口づけし ひとつになるために
おいでもう一度 そうすればあなたの非情な侮蔑にも
私は嘆かなくてもすむだろう
今私はひとりとり残され 見捨てられて
死ぬほどの苦しみと はてしないみじめさのうちに
腰を落とし 嘆息し すすり泣き 気は遠く死にそうだ
2曲目は、『あふれよ、我が涙』
ジョン・ダウランドはイギリスの作曲家でリュート奏者でした。彼が活躍したのはヨハン・セバスティアン・バッハより前の16世紀末から17世紀初めのルネサンス末期です。J.S.バッハ以前にこんな素晴らしい音楽が存在した事が驚きです。
でも本当に良かったです。偶然でもジョン・ダウランドに出会えて本当に良かったと思います。これで僕の人生の何割かが快適になった事は間違いありません。少なくともダウランドを聴けないほど、僕の人生は残酷ではなかったという事です。
最近では寝る時も新聞読む時も走る時もダウランドを聴いています。昨日ふと、このCDの素敵な歌声はどんな女性が発しているのだろうと思い、ちょっと調べてみたら、「カウンターテナー:スティーヴン・リッカーズ」
カウンターテナー、つまり男声でした。歌っているのが男性と知り、少し興醒めの九月の朝。でも、ジョン・ダウランドの素晴らしさは変わらないのです。
(村上春樹著『1Q84』より)
僕がジョン・ダウランドに初めて出会ったのはエディンバラでのパーティの席上ではなく、ツタヤでレンタルしてきたオムニバスアルバムの中でした。そのアルバムのタイトルは『おやすみo'clockクラシック』で、その中にジョン・ダウランドの『来たれ深い眠り』というリュート伴奏による歌曲が収録されていたのです。
あの世に天国があったらきっとそこには清らかなる湖があって、きっとそこにはこんな清らかな音楽が流れているのだろうな、と思わせる、なんとも甘美で切ない歌声でした。
堪らずamazon.co.jpでダウランドのCDを探しました。そこで購入したのが『ダウランド/リュート伴奏歌曲集』です。
全26曲が収録されていますが、どれも素晴らしい曲ばかりです。
例えば1曲目の『Come again』はこんな切ない詩をリュートに乗せて歌い上げます。
おいでもう一度 今 甘美な愛が
遠くなったあなたの魅力を招いている
私に相応な喜びを与えるために
無上の甘美を共に感じながらあなたと再び
見つめあい 声を聞き 触れあい 口づけし ひとつになるために
おいでもう一度 そうすればあなたの非情な侮蔑にも
私は嘆かなくてもすむだろう
今私はひとりとり残され 見捨てられて
死ぬほどの苦しみと はてしないみじめさのうちに
腰を落とし 嘆息し すすり泣き 気は遠く死にそうだ
2曲目は、『あふれよ、我が涙』
ジョン・ダウランドはイギリスの作曲家でリュート奏者でした。彼が活躍したのはヨハン・セバスティアン・バッハより前の16世紀末から17世紀初めのルネサンス末期です。J.S.バッハ以前にこんな素晴らしい音楽が存在した事が驚きです。
でも本当に良かったです。偶然でもジョン・ダウランドに出会えて本当に良かったと思います。これで僕の人生の何割かが快適になった事は間違いありません。少なくともダウランドを聴けないほど、僕の人生は残酷ではなかったという事です。
最近では寝る時も新聞読む時も走る時もダウランドを聴いています。昨日ふと、このCDの素敵な歌声はどんな女性が発しているのだろうと思い、ちょっと調べてみたら、「カウンターテナー:スティーヴン・リッカーズ」
カウンターテナー、つまり男声でした。歌っているのが男性と知り、少し興醒めの九月の朝。でも、ジョン・ダウランドの素晴らしさは変わらないのです。