「厦門に行った」というと、決まって「??」という顔をされる。

厦門というよりも、福建省の方が日本では知名度が高いだろう。

そう、烏龍茶の産地として有名な。

 

というわけで、今回の旅はもちろん烏龍茶を買いに行くのも、

大切なミッション。

 

そのため、厦門から80キロほど離れたところに位置する、安渓という町に行った。

お茶市場、お茶屋さん、お茶の包装専門店、茶道具屋さんが

通りにびっしりと軒を連ねる。

町では、お茶産業に関わっていない人の方が少ないのでは?というぐらい。

行ったことないので勝手な想像だけど、豊田市におけるトヨタ関係者のような。

 

安渓の町は、ここ10年で開発・発展が進み、高層ビルがニョキニョキ、

空にそびえている。

古い建物と新しい高層ビルが景色の中に混じり合い、ミスマッチ。

日本の高度成長期もこんな感じだったのだろうか。

 

泊まったホテルは、新しそうな高層ビルの25階で、普段は見ない目線で町を見下ろす。

高層ビルと言っても、中国では必ず生活感が漂う。

隣の高層ビルに住んでいる住人たちは洗濯物を窓の外にぶら下げていたり、

なんと窓から外にゴミを捨てている姿も目撃。

高層ビルのふもとには、野菜や肉の売り子やミニ市場がわらわらと集まっている。

食堂や屋台も徒歩圏内にある。

 

ホテルの横は川が流れ、大きめの公園が隣接しており、人々の憩いの場だった。

絶対、朝は人々が太極拳をやっているに違いない。

と踏んでいたら、見事に裏切られた。

 

太極拳らしき動きをしているおじさんたちのグループはいたものの、ほんの数人。

すぐ横のスペースでは、その何倍もの人数と規模で、

ダンスグループが朝夕、活発にステップを踏んでいた。

 

公園を通らないと大通りのバス停に行けないので、朝に夕に目にしていた彼らの姿。

音楽を大きなスピーカー

(ロッカーのようなものがあり、そこに格納されている)で流し、

エアロビのような、歌謡番組のバックダンサーのような、ちょっと不思議な踊りを

楽しそうに踊っている。

 

女性がほとんどだが、中にはおじさん、おじいさんの姿も混じり、微笑ましい。

というのも、子供のお遊戯のような、可愛らしい仕草やステップの踊りだからだ。

日本では、老人が小首を傾げてゆらゆらと踊る姿って、あまり街頭では見れない。

 

踊りの振り付けもだけど、注目ナンバーワンは、皆が来ている服。

この格好でダンスしないでしょう、絶対。といういでたちなのだ。

動きやすいスポーツウェアや運動靴の人はほとんどいなく、

毎日、30度を超える蒸し暑い気候ながら、

化繊のブラウスやらローヒールの革靴、サンダルが主流。

どちらかというと、これから出勤や買い物ですか?という靴や服なのだ。

公園では、他にも、子供用のゴーカートが並べられていたり、

近所の老人風の人が地面に輪投げを用意していたり。

夕方や夜は、トランプや中国将棋の賭けに熱中する男たちと、

その勝負の行く末を見守る男たちの人だかりができる。

夜でも蒸し暑いので、シャツをみぞおちのところで折り返し、

丸い腹を見せている男が多い。

密かにブラトップの着こなしと呼んでいた私は、

いっそのこと胸から下を切ってしまえば良いのに、と思っていたが、

腹を隠すシーンもあるのか、潔くシャツを切っている人は見かけなかった。

 

お茶のことを書こうと思っていたのに、脱線してしまったので、次回