厦門で一番大きな市場に行く。
厦門は海に囲まれているので、とにかく魚介類の種類が豊富で、
この上なく新鮮だ。
エビはピンピンと跳ね、魚の眼は澄み、体はキラキラと光っている。
電動バイクが耳をつんざくようなクラクションを
鳴らした後で、音もなくスーッと脇を通り過ぎていく。
塊の肉を出刃包丁でぶった切る音や、大きな話し声、
クラクションといった喧騒が、さっきまで生きていたものたち、
これからすぐ死にゆくものたちのエネルギーと交わって、
生命のシンフォニーを奏でている。
店主たちは、たいがい、店番をしながら手もとのスマホをいじくる派と、
商品の下ごしらえをする派のどちらかに分かれている。
周りの人々とおしゃべりをしながらも、
慣れた手つきで作業がどんどん進められている。
野菜売りはアスパラの下の方の外皮を剥き、栗屋は渋皮までむく。
ニンニク売りは、指サックをつけた指先でどんどんニンニクを薄くスライスし、
すぐ料理に使えるようにする。
逃げようとするカエルを袋に押し込めたり。
鶏肉屋は砂肝についている脂肪を削ぎ落としたり。
注文があれば、店先のケージに入っている鶏やアヒルを絞め、
そのまま熱湯でグラグラ煮て羽をむしる店もある。
とにかく感心したのが、熟練した手仕事のスピードと丁寧さ。
下ごしらえがここまできちんとされていたら、料理も楽だ。
うちの近くにあったら、毎日通ってしまうかも。