ある時、ねこは滅茶苦茶モテていました。
親友の町田くん曰く「あいつ、100万回くらい抱いてきたんじゃねえのw」
とか言われたりしてましたし、角度によっては亀梨に見えなくもないし、
お金とか無くても女性から何万円も貰ってました。
とにかく遊びが大好きで、週末はナンパ三昧でした。
また毎日女の人と別れては付き合っていましたが、彼はまったく悲しくありませんでした。
ねこと別れた女性はワンワン泣きましたが、彼は一回も泣いたことはありません。
だって、女性の家とか追い出されても漫画喫茶とかあるし、
寂しくなったら愛人に買って貰ったマンションで一夜を過ごす術は持っていました。
ぶっちゃけお金とか適度にありました。
ある時は某有名企業の社長秘書と、
ある時はホストクラブで女社長と、
ある時は人気グラビアアイドルと、
ある時は駄菓子屋のお婆ちゃんと、
様々な女性と付き合いましたが皆長くは続きませんでした。
ある時、彼は誰とも付き合っていませんでした。
どんな女性も彼と付き合いたがりました。
国産の高級車や億ションをプレゼントする女性もいました。
めずらしい株券とか利回りの良い国債までプレゼントする女性もいました。
しかし彼は言いました。
「おれは、100万回も付き合ってきたんだぜ。いまさら おっかしくて!」
そう。
彼は、誰よりも自分が好きだったのです。
そんな中、たった一人彼に見向きしない女性がいました。
彼はその女性の傍にゆき、「俺は100万回もつきあったんぜ!」と言いました。
女性は「そう」と言ったきりでした。彼は腹を立てました。
何しろ彼はナルシストだったからです。
次の日も、次の日も、彼は女性のところへ行って、空気も読まず言いました。
「きみはまだ1回も付き合ったことはないんだろ」
女性は「そう」と 言ったきりでした。
ある日、彼はの女性前で、シャンパンタワーをしてあげながら言いました。
「おれ、ホストクラブのNO.1だったことも あるんだぜ。」
女性は 「そう」と 言ったきりでした。
「おれは、 100万回も…………」 と 言いかけて
彼は「そばに いても いいかい。」 と女性にたずねました。
女性は「ええ」 と言いました。
彼は女性の傍にいつまでもいました。
…
……
………
『昨日お医者さんから「もう長くはありません」と言われてしまいましたが、結婚してから数十年毎日貴方が隣にいて楽しいことばかりでした。あの小さかった子供達は立派に大きくなり、去年ついに孫の顔も見ることができましたね。
出会いは唐突だったけれども、今でも神様に感謝しています。
私は一足早く先にいって待っています。
本当にありがとう』
彼女が亡くなった朝、彼は手紙を見つけました。
痛みに耐えつつ書いたであろうその文章をひとつひとつ声に出して読みました。
すると病室に嗚咽が響き、彼ははじめて泣きました。
夜になって、朝になって、また夜になって、朝になって、100万回も泣きました。
その翌年彼は子供達に抱かれながら、静かに目を閉じました。
彼はもうけっして誰かを抱きしめることはありませんでした。