バッタンバンのバンブートレインを乗りにやってくる。


 1人であれば往復10ドル、2人でも往復10ドル。3人以上は1人あたりドルとなる。


 カンボジア国鉄の線路を利用して、村人たちがエンターテイメントとして竹組の列車を走らせている。カンボジアが発展し、より多くの列車が走るようになった時には消滅する運命にある、一時的なエンターテイメントである。


 単線なので、反対側から列車がやってきたら「交換」をおこなう。


 15分くらい進んだところに、小さな村があってお土産屋がある。


 そこで20ドルの買い物をしたら、私たちの写真を撮って記憶しておいてほしい、また来て欲しいという。


 ココナッツを飲んで一服していると、ちょっとした食べ物を分けてくれたりもした。


 鶏肉のような味がする。これは何だい?それは、カエル。確かに、骨が小さいぞ。


 ココナッツは割って、中身まできちん食べる。
 iPhoneの値段や、一眼レフカメラの値段、プノンペンと東京の往復航空券の価格などを尋ねられる。その反応からするとこのバンブートレインとお土産屋は、割と儲かっているようである。
 それと…。

 「あなた、ハンサムなんだから、彼女いるでしょう。バンコクにいるの、東京にいるの。写真を見せて」

 旅行に行くたびに誰かしらからこういった質問は受けるのだが、いちいち「俺はゲイで彼氏は韓国人なんだ」なんて言うと、話がこんがらがるから言わない。ゲイという概念をカンボジアの人々が正しく理解しているか、よく分からない。だから、親しい友人の写真を見せ、彼女ということしてしまう。

「バンコクと、東京の遠距離恋愛。お互い、さびしそうね。今度はガールフレンドと一緒にバンブートレイン、乗りに来て」



 素直になれないことが時々、寂しい。