12月になっても日中は30度と、真夏日のバンコク。そんなバンコクにも、クリスマスは存在する。


 特に外国人の多いバンコク中心部では、モールごとにクリスマスの装飾を競いあう。
 その装飾のセンスに、各モールのコンセプトや、方向性が見えてくる。


 バンコクのクリスマスは、カラフルである。
 冬がある国、夜が長い国の、暖色のイルミネーションとは違う。カラフルな飾りが風に揺られ、涼しささえ感じられる。


 タイは仏教徒が大勢を占める国である。「人肌が恋しい寒さ」のようなものはない。冬の、寒くて長い夜を華やかに過ごそうというクリスマスの本質は、ここにはない。


 そんな本質が抜けているからこそ、むしろ、楽しい。



 かつてはクリスマスになると、今年は家族に会えないだとか、今年は恋人がいないだとか、そういった「寂しさ」にたびたび襲われたけれども、バンコクに住み始めてから、そういう「寂しさ」に襲われることが無くなった。


 バンコクは精神衛生上、いいところなのだ。


 バンコクに住んでよかったと思う。