今、バンコクではたくさんのコンドミニアムが、にょきにょきと立ち上がっている。駅にはたくさんの不動産広告があるし、街にはたくさんのモデルルームがある。
 バンコクは世界で最も多くの観光客を集める都市であり、注目されている都市の一つであるが、不動産価格はどうだろう。


 都心やその近くで、300万バーツ(約1080万円)を出せば、プール付きの30平米程度のコンドミニアムは購入できそうであるから、札仙広福といった支店経済都市と同程度なのではないだろうか。


 この頃、バンコクの不動産価格は停滞しているそうだ。不動産価格の上昇を牽引してきた外国人投資家、特に中国人の投資家がバンコクから手を引きつつあるという。また、公共交通網の拡充にともない、コンドミニアムの建設が盛んになっているが、すでに供給過剰になっていて、この頃、新規に販売されるコンドミニアムは50%ほどしか買い手がつかないそうだ。
 今後もたくさんの都市鉄道が新設、延伸されるし、都心やその近くにもいまだにたくさんの工場の用地や、市場(タラート)が残っていて、コンドミニアムを建設できそうな土地は多く残されていることから供給は続き、都心の一部の地域を除けば、不動産価格が急激に上昇すると言うことは考えにくいと思う。


 バンコクに2年くらい生活していると、一つくらいコンドミニアムを購入してみたいという気がする。投資用ではなく、居住用として、だ。
 もともと、場所に縛られて生活するより縛られない生活の方がよいと思っていたから、不動産の所有なんか考えてみたこともなかったけれども、 あまり高い価格のものでなかったら、仮にバンコク生活を畳むにしても、別荘として残しておくものと考えられるから悪くはないと思う。小さいコンドミニアムの一室であっても、「一国一城の主」になれると思えばワクワクするし、バンコクで働いたという人生史を物質として残せるのだからいいことだと思う。
 しかし、残念ながら、タイでは外国人が銀行でローンを組むことを許されていない。つまり、現金で一括購入するしかないのだ。もうしばらくは、貯金をしなくてはならない。