「笑顔しか思い出せないよね」

と同僚が言っていた。

 

それは、去年の夏まで職場にいた

警備員のSさんについて。

 

Sさんは、Sサイズの体格なのだけれど

いつも、大きな声で挨拶をしてくれた。

私よりずっと年上だけれど、

すごくかわいくて、大好きだった。

 

ある時、畑で収穫しそびれて、

ヘチマみたいになったきゅうりを

持ってきてくれたので、

私がいたずらして、かわいい目玉とサングラスをつけた。

それを見て、喜んでくれた。

次の年には

王冠をかぶせて、髭を生やして

王座に座る、王様きゅうりにした。

 

「〇ちゃんと会うと、元気がでるよ」

とよく言ってくれたけれど、

私の方こそ、Sさんがいると楽しかった。

 

でも

Sさんは、去年の夏のある日、普通に勤めを終えてから

「今日で辞めることになりました。」

とだけ伝えて、急にお辞めになった。

(私たちは職場は一緒でも、別の会社)

 

 

そして、先日、

Sさんが亡くなったことを知らせに、

彼の息子さんが職場に来た。

 

皆、Sさんの病気のことは知らされてなかった。

青天の霹靂。

 

それでも、私たちの職場を大事に思ってくれていたことは、

息子さんの来訪でよくわかった。

そして、その息子さんが来てくれた時に、

居合わせたことはよかった。

 

しばらく、べそべそしていたけれど、

なんとなく、

「〇ちゃん、笑ってなきゃだめよ~」と

声が聞こえるような気がする。

 

Sさんの写真が一枚だけあった。

恥ずかしそうに、笑っている。

 

笑顔しか思い出せない。

 

小さな体で、一生懸命。

私たちが悲しまないように、

病気のことを告げずに去った。

 

そのいじらしい姿に

大きな愛情を感じた。

 

ありがとうございます。

感謝しています。