ようやく満開を迎えた桜。

近所の二ケ領用水宿河原桜並木は、多くの花見客で賑わっています。



かつて満開の桜たちは、枝を大きく伸ばして、喜び一杯人々に微笑んでいました。

でも近年は、その笑顔が消えてしまいました。

なぜなら、年毎花の数が減ってしまっているのです。

昔は大きく伸ばした枝に幾重にも重なって花がどっさり咲いてました。隙間なくびっしり咲いた桜、それはそれは見事でした。

でも、今はスカスカです。枝も細く花もまばら。中には全く花がついていない枝も目立ちます。さらにかれてしまったものも一本や二本では済まされません。

ああどうして?




きっと年を取ったからでしょう。そろそろ植え替えの時期を迎えているのです。

そうです。老朽化が原因です。

いや、それだけじゃありません。もっともっと大きな原因があるのです。

それは・・・

まだ若かった頃、二ケ領用水に沿った道は、土と石のでこぼこ道で、雨が降るとあちこちに水溜まりが出来る田舎道でした。用水路も草木の生えるなだらかな土手の間を流れていました。

ところが・・・

いつしか道路は目一杯の幅で舗装され、土手もコンクリートで固められ、木造の手すりも木の風合いを真似たコンクリートになってしまったのです。

これで歩きやすく、水溜まりも解消されました。

ああ、便利で快適!

と、思ったら・・・

大変です!根っこがコンクリートで固められて、広く深く伸び伸びと伸ばせなくなってしまったのです。





「ああ、痛い痛いよう」
「仲間がまた、枯れてしまったよ」
「枝がだんだん細くなってきた」
「隣の仲間の枝が枯れて、とうとう切られてしまったよ」
「いやいや、延びなくなった根っこを残して、幹ごときられちゃったよ」
桜たちは泣いてます。
そして、訴えています。
「どうして根っこまでコンクリートでかためてしまったんだよ」
「これじゃ、根っこがのばせないじゃないか」
「水が飲めないし、栄養が体に回らない」
「ああ、もう枯れてしまう。花もつかなくなってしまうよ」
桜たちは命がけで、叫んでます。
どうしたら救えるのでしょうか。
ああ、もう手遅れでしょうか。
昔のように太い薪から伸び伸びと枝がのび、花がどっさり咲くことはないのでしょうか。
これも、我々人間がなした仕業なのです。




少なくとも、根っこか並ばせるように、充分間を開けていれば・・・
いや、少しぐらい不便でも、舗装なとしなかった方がよかったのかも。
今はただ、少しでも長生きしてほしいと願うだけです。