前開催に引き続き、当日に雨がなくても時計の出る馬場。シーズン開幕前に砂の入れ替えを行わなかったスタートから第二障害までが軽く、それに伴い全体時計も速くなっている印象で、どこかで入れ替えると思うが(2歳馬の能検が終わってからだろう)、それまでは同様の傾向が続くかもしれない。

6月22日の9R(B4-1)は、前々から第二障害をトップ抜けしたホクセイハリアー(牡3、金山)が末まで緩まず突き放して快勝。昨季から障害巧者ぶりは目立っていたが、末脚に物足りなさが残り、やや一本調子な印象もあった。今季は道中でタメる競馬を試し、かえって位置取りが悪くなることもあったが、終いよく歩いて3着だった前走のとかちダービーに続いての好内容で、行くだけではなく後半につなげる競馬も板についてきた。次開催7月7日のばんえい大賞典でも楽しめそう。

メインの拓成湖特別(B1-1)は、好位から抜けたジェイライフ(牡4、坂本)が昇級ものかは、特別戦初勝利。障害も切れ味も水準以上で、以前から素質を感じさせながらも、早めに動くと末が甘くなる面もあったが、今季は好内容が続き軌道に乗った感。まだ成長の余地は大きいが、馬体が増えて末脚強化、さらに上も期待でき、今季注目。
2着ゴールデンペガサス(牡7、大友)は課題の障害をまとめ、終いは持ち前の伸び脚発揮。平場向きのタイプだがデキ良く、障害への不安を常に抱えるとはいえ現級では力上位。

23日の8R(A1-2混合)は、平場とはいえ実力馬の揃った好カードだったが、中団から障害をスムーズに越えたギンジ(牡7、久田)が下りて良い切れ味を見せて快勝。時に障害で崩れる脆さも併せ持つが、雄大な馬体から繰り出される末脚は迫力満点。ここは1分31秒1だったが、本来はもう少し流れが落ち着いたほうが良いくらいで、歩き比べに持ち込めれば良さが出る。
2着マルホンリョウダイ(牡6、金田)は前走で乱れた障害を修正。こちらは軽馬場を好むタイプだが、勝ち馬の豪脚に屈したとはいえ内容十分。良いリズムを保っていきたい。
3着センリョウボス(牡10、坂本)にとっては切れ負けする条件だったが、近走の内容は悪くなくデキ上々。少し時計がかかる特別で、阿部に手綱が戻った際にはさらに前進も。
4着ミノルシャープ(牡10、大友)は一開催空けて29キロの馬体減。おそらく一頓挫あったもので、下見気配も一歩だったが、レースぶりは存外悪くなかった。昨季までと比べると相手が下がっていることもあるが、活気ある近況。
5着ヤマノコーネル(牡5、今井)は前走で手間取った障害天板もスムーズ。ただ、長く脚を使えるとはいえ切れ負けし、もう少し終いのかかる流れのほうが良さは出るだろう。
6着カイセドクター(牡7、坂本)はデキが戻り、内容も決して悪くないのだが、平場でここまで軽くなると少し速いか。時計が変われば着順は上がるはず。

24日の1R(C2-7)で4番馬イワキマイヒメに騎乗した菊池一樹騎手は、第二障害で5番馬サカノゴージャスの進路を妨害したとして、6月29日および30日の開催二日間騎乗停止に。
障害で止まり、5番馬が障害を仕掛けて横に来たタイミングで馬が転倒したために、5番馬の中山直樹騎手が落橇。騎手の技量や御法の問題ではないし、仮に5番馬が先に障害を抜けていた場合には、特段の処分がなかったと思うが、他馬に影響を与えたかどうかが処分の基準になっているルールでは致し方ないか。

雨馬場となった24日のメイン、こと座特別(A2混合)は、B1格付のイナサンブラック(牡6、久田)が前々から障害トップ抜け、そのまま押し切って3連勝。以前より道中の素軽さ増したぶん、そう無理せず前を取れており、デキの良さとともに本格化気配を示している。近走は障害も安定しているし、まだB1に出られる身。楽しみなシーズンに。
2着ミチシオ(牡3、槻舘)はB1への昇級初戦で、上との混合の特別に編成される厳しい条件の中でも、先行勢の後ろでタメを利かせると終いは目立つ伸び脚。軽馬場が合ったのはたしかだが、今季の成長を示すに十二分の内容。良い形で次開催のばんえい大賞典へ。
3着アローリキヒメ(牝4、小林長)は障害をスムーズに越え、末まで脚色しっかり。格下馬に切れ味で劣ったが内容は良く好調、現級では力上位と言って良い。

後節29日のメイン、渡島家畜商北斗大野輓馬大会(B2-1)は、このクラスらしく特別実績のある馬が少ない組み合わせだったが、道中で先手を取ったツガルフジ(牡4、松井)が障害トップ抜けから押し切る快勝で特別戦初勝利。もともと登坂力には光るものを示していたが、その長所をフルに発揮する良い勝ちっぷりだった。もっと末の踏ん張りが利くようになれば、さらなる出世も可能だろう。
2着サカノハマナカ(牡8、田上)は再昇級初戦だったが、後方待機から下って良い脚。ちょうど一年前の同開催に、B2の特別で後方一気を決めた星もあるが、急がせるよりも、タメて障害をまとめて末脚につなげたいタイプで、展開が向けば出番が回ってくる。

30日の2R(2歳新馬)は、ココロノニダイメ(牡2、槻舘)が2着以下を30秒以上離す圧勝でデビュー勝ち。能検では障害で大苦戦、ここも天板近くで一瞬ヒザをつくなど危なっかしかったが、下りてから素晴らしい脚を見せた。馬名が表すとおりオレノココロ産駒で、父と同厩舎同馬主。

6R(2歳A-1)はスターイチバン(牡2、平田)が前半約29秒-1分15秒5で押し切って3戦3勝とした。さすがに前半速かったぶん末はやや緩んだが、後ろが詰まる中で歩き切り、第1回能検の一番時計馬が期待通りの素質を示している。同厩舎同馬主でこれも現在3戦3勝のスタージャガーと、どこで同じレースに使うか、西謙一はどちらを選択するか。

天の川特別(A1-1混合)は、前々から腰の入り良く障害をトップ抜けしたダイヤカツヒメ(牝5、久田)が、下りの切れ味で作ったリードを活かして後続の追撃を凌ぎ切った。過去に何度も書いているが、小柄でも障害巧者で切れ味があり、そして何より終いの我慢が利くのが本当に素晴らしく、ここも一旦は緩みかけながらも残り10mからもうひと伸び。牝馬限定重賞3勝の実績があるとはいえ、5歳牝馬が今季早くも特別3勝目、そう簡単なことではない。次開催7月13日の白鳳賞(5歳牝馬限定特別)ではハンデ頭となり、また違う難しさもあるが、地力は抜けている。
2着キョウエイリュウ(牡7、村上)は特別変わりでも前走同様に障害スムーズ、良い脚で末まで伸び切り、ひと頃の不調のイメージは完全に払拭。もっと上での期待も懸けられていた馬だけに、成長力一歩の面こそ否めないものの、今のデキなら今後も現級では上位級の扱い。
3着ジェイホースワン(牡5、坂本)は道中で流れに乗れて障害もすんなり。まだ少し速く、切れ味で劣ったが、追われてよく伸び僅差。今季好内容が続き、ここに来ての成長急、現級にもはっきりと目処が立った。次開催7月8日の瑞鳳賞(5歳牡馬限定特別)はオープン格付馬も相手となるが、馬場によっては。
4着ブラックサファイア(牡7、長部)は障害をまとめて切れ味を見せたが、前を捕らえ切れずに末は鈍り気味。上がった時こそ脚が長く続かない面もあるだけに、人気になった際の扱いには常に悩まされるが、ここは上位馬もかなり動いた。

7月1日の3R(2歳新馬)は、下りての切れ味を見せたヨシノクリヤマ(牝2、小林長)が一気に突き抜けてデビュー勝ちを収めた。第1回の能検では障害で苦戦し、下りて歩けず競走中止となったが、2回目に合格すると、ここで能検を大きく上回る内容を示し、ぐんぐん良くなっている。

ミントスポット杯(オープン)はサクラヒメ(牝6、今井)が番手で障害を下ると、楽々と抜け出して人気に応えた。前走同様に、スピードで押すよりも少しタメて終いに脚を伸ばす形だったが、残り30mから加速してよく歩く。前開催の北斗賞も次開催の旭川記念も出走申込をせず、どうやら重賞に使う気はないようだが、今が一番強い。特別の賞金が上がり、無理して重賞を使わずに良くなったという側面もあるが、ファン投票上位になるであろうグランプリはどうするか。
2着コウテイ(牡7、槻舘)は北斗賞で障害が乱れた直後だったが、即修正するあたりが障害巧者。軽馬場で時計も速く、切れ味に欠く自身には適さない条件でも、末までしぶとく歩き、デキの良さと地力強化を改めて示した。次開催7月14日の旭川記念も、極端に速い馬場にならなければチャンス十分だろう。
3着コマサンエース(牡8、金田)は、テンにモタつくこともなく道中から流れに乗れたように、素軽さ増してはっきり上向き。積んでの良さは昨季の重賞で何度も示しているし、こちらも増量の旭川記念で楽しみある。
4着ヤマカツエース(牡5、金田)は今季デキ良く、末も以前より我慢が利いている。今後は増量への対応が課題とはなるが、良い経験を積みながら地力強化が望めるシーズン。
5着ツガルノヒロイモノ(牡5、長部)は障害をスムーズにトップ抜け、下りでリードを作る自身の好走パターンではあったが、残り15mからアラアラ。ライトな競馬は合い、昨季にオープン特別勝ちも何度もあるが、5歳シーズンでアローワンスがなくなり、やはり前半少し窮屈になっている面はあるかもしれない。


次開催は7月7日(日)に、3歳三冠ロードの初戦である第49回ばんえい大賞典(BG3)が行われます。古馬を相手に厳しさを味わいながらも成長中の3歳馬、まずは一冠目にご期待ください。
後節の14日(日)には、古馬重賞の第55回旭川記念(BG2)が行われます。落ち着いた頭数となりそうではありますが、伝統の四市記念重賞第一弾、激戦が見られるでしょう。
また、第7回開催ということで一般競走も通算収得賞金順編成となりますので、馬券検討の際には少し違う切り口が必要となるかもしれません。難しいのには変わりない(^^;
それでは次開催もお楽しみにラブラブ