6月23日(日)に行われた4歳三冠ロードの初戦、第18回柏林賞(BG3)は、道中は中団後ろに構えたタカラキングダム(牡4、村上)が第二障害を一腰で越えると、力強い末脚で抜け出して快勝。一昨年10月のナナカマド賞、昨年12月のばんえいダービーに続く重賞3勝目を挙げました。
金田利貴騎手は柏林賞2勝目で重賞通算6勝目。村上慎一調教師は柏林賞初勝利で重賞通算31勝目。
馬場水分1.0%で勝ち時計は1分34秒2。クリスタルゴースト(牡4、長部)が障害トップ抜けから粘っての2着、昨季の二冠馬マルホンリョウユウ(牡4、金田)は障害で手間取り3着に敗れています。

私は帯広の天気予報をこまめにチェックしていますが、月曜はほぼ間違いなく雨でも、日曜夜までは降らずに持ちそう、といった予報でした。
それが7Rの前あたりから霧雨模様で、決して多い量ではなかったものの、もとから軽めの馬場の表面を濡らし、先週の北斗賞ほどの高速馬場ではないにせよ、はっきり軽馬場となりました。

その中で、利が大きかったのはタカラキングダムで、決して重いと駄目というタイプではありませんが、障害を下りてから速い脚を使えて、かつ末まで伸び切れる強みが存分に活きました。
前がかりになる流れの中で焦らなかった利貴騎手の御しっぷりも光りましたが、障害への意識が強かっただけでなく、末脚への信頼があってのことでしょう。
他の人気馬よりもスムーズに障害をまとめると、グイグイ伸びて先に下りた2着馬を交わし去り、ダービー馬が強い競馬を見せました。

馬も騎手ももちろん素晴らしいのですが、これだけのパフォーマンスを示せるほどに仕上げた村上先生の手腕も、強調したい。
今季の初戦および二戦目では障害で大きく乱れましたが、それを受けて次の平場では結果度外視で障害だけに重点を置いた競馬。その時は赤塚健仁の手綱でしたが、まずは一腰で切り、そこから明らかに上向きました。
二走前のライラック賞では障害で一旦止まったものの、すぐに返事をして二腰からの4着。
前走の平場では、スムーズに障害一腰で古馬相手に2着と、見るからに良化を示したうえでここへ臨みました。

体調アップも伴ってのことでしょうが、うまく仕上げてきたな、とは思っていました。後付けとかではなく、前開催の回顧記事の中で「一戦ごとに良化を示し、目標へ向け好仕上げ」と書いてますからね笑
障害ムラな印象もありますが、ダービーの前も、直前の平場では一腰で切り、良いリズムを作ったうえでの大一番でした。
競馬は点でなく線で見るから面白いんですけど、ばんえいは平地以上にそれを感じられるかもしれません。

他馬も力差は小さい世代で、三冠云々を話題にするのはまだ早いと思いますが、これで世代トップとなる重賞3勝目。昨季の大賞典と菊花賞では着外に沈み、やや安定感に欠くようにも見えますが、当時はいずれもレース間隔を空けて臨まざるを得ず、決して万全ではなかったと考えることもできます。
馬体も良く伸びしろたっぷり、さらに成長すれば、積んでもそう苦にしない馬だとも思いますので、来季以降まで含めての期待が膨らむばかりです。

クリスタルゴーストはブリンカー装着で正攻法、障害天板もしっかり我慢してのトップ抜けからよく粘り、良い内容でした。
私はライラック賞および三走前の障害で崩れたことで、今回は評価を下げてしまいましたが、前走で修正し、増量にも対応しました。さすが昨季末に720で特別を勝っただけのことはあります。
軽馬場が相当にプラスに作用したことは間違いありませんが、終い緩まなかった点は、ブリンカー(今回二度目でしたが、前回がいつだったか記憶も記録も残っていません(-_-;)の効果とともに、たしかな地力強化を示すものです。

マルホンリョウユウは前半約44秒で障害トップ付け。ライラック賞は前半約46秒、もちろん馬場は軽くなっていますが、その時より荷物も積んでいますから、やはりハイペースと言って良いでしょう。
前走で古馬相手に速い時計で勝っているものの、本質的には登坂力と追っての味で勝負するタイプ、たしかに終い歩ける馬ではありますが、強烈に切れるわけではないので、軽馬場でハンデ頭のここは、同じ位置で下りての切れ味勝負よりも、自ら引っ張り底力も求められる流れに持ち込もうとしたのではないかと思います。
結果として障害で手間取りましたが、勝ちにいってのもの。馬場とハンデによって、難しい競馬になってしまいましたが、力上位との評価は変わりません。

キタノミネ(4着)は障害一腰、下りてから末まで緩まずジワジワと歩き切り、これで重賞五戦すべて入着。まだ下りての物足りなさはありますが、とにかく障害がうまくて積んで良く、荷が増していく今後も崩れず善戦可能でしょう。
ホクセイタイヨウ(5着)は地脚が強化され、好い位置に収まった競馬ができるようになっていますが、さすがにちょっと速かったでしょうか。一歩先へ詰めたぶんか障害で手間取り、追っての味につなげることができませんでした。思った以上に軽くなった馬場に泣かされた格好です。
サクラヤマト(8着)は障害でヒザを折り苦戦。積んでの厳しい流れで、今回は地力の差と認めざるを得ませんが、今季はB3スタートだったくらいで、ここから追いかける立場。この経験が先へつながるでしょう。


一つ上の5歳世代のレベルの高さは知られていますが、この4歳も上位陣は粒が揃っていますし、荷物に関して言えば、5歳より対応できそうな馬が多い印象もあります。
二年先三年先まで含めて期待の大きい世代ですが、まずは4歳の頂点を目指し、二冠目は銀河賞。その9月22日までに、まだまだ変わってくる馬もいるでしょう。楽しみです。