実績と可能性が交錯する4歳の一冠目。昨季の三冠戦はもちろんのこと、今季に行われた世代限定特別のすずらん賞およびライラック賞が、ハンデ面も含めて重要な参考となるが、古馬相手に好内容を示している馬も多く、上位陣のレベルは高い。今週は雨はない見込みだが軽めの馬場、各馬の近況良く、締まった流れで激戦必至。今季一番の好カードで大注目。
(別定:オープン=720キロ。A1=710、A2=700、B1=690)

昨季の二冠馬マルホンリョウユウは今季も順調で、とりわけ実力古馬を完封した前走が出色。世代特別で勝ち切れなかったように今回もハンデがカギ、基礎重量が増し、軽量組よりも、ダービーの上位二頭に与える10キロをどう見るかだが、自身のデキはアップ。登坂力で上回るし、ここならひとタメしても良い。力を示して一つ目を。

ダービー馬タカラキングダムはライラック賞で良い伸び脚を見せ、前走も平場で障害重点だったとはいえ一腰から終いグイグイ伸びての2着。一戦ごとに上昇を示し、目標へ向けきっちり仕上がった。まだ精神面と障害が安定しないが、スケールでは世代一番で、噛み合った際の強さはダービーで証明済み。フルに能力発揮なら互角以上。

ライラック賞勝ちのホクセイタイヨウは、昨季の三冠戦ですべて2着。昨季末から一頓挫はあったが、馬体を増やして戻ってきて、追い比べを制した前走の勝ちっぷり上々。まだ上積みが見込めるし、成長度は一番で、前で流れに乗って、追われて良い脚を長く使える。ダービーで先着したマルホンから10キロもらい、悲願の初重賞へ。

2歳シーズンに重賞2勝の実績があるキョウエイプラスは、昨季未勝利と長らく不振が続いていたが、前走で後方から切れる脚を使い一気に差し込んでの2着と変わり身を示した。増量となる今回も後半勝負、二番が利くかどうかだが、ようやく増えた馬体が安定しているように、デキが上向いているのはたしか。さらに前進も可能で。

イレネー記念馬アシュラダイマオーも昨季未勝利と苦しんだが、前走で久々の勝利。今季不振馬同士の組み合わせではあったが、再浮上への切っ掛けとしたい。ただ、すずらん賞とライラック賞では障害で苦戦したように、相手強化での増量となる今回は条件が厳しく、以前ほど下りてから脚も使えていない。ここで勝ち負けまでは。

サクラヤマトはライラック賞2着で連勝は止まったものの、前走は格上の古馬を抑えて今季7戦6勝。昨季から急成長を示す上がり馬、障害安定して追われてよく歩く。今回は増量に加えて、ライラック賞よりも上との重量差が縮まり、さらに条件が厳しくなるが、それでもハンデ有利だし、軽めの馬場も味方。勢いに乗りここでも。

すずらん賞勝ちのクリスタルゴーストは、その後の二戦は障害で崩れたが、じっくり構えた前走で修正し、終いは目立つ伸び脚。すずらん賞は前々から押し切ったが、過去には先に下ろしても末に緩む面を見せているように、増量で他馬のデキも上がっている今回は正攻法では厳しく、前走の内容からも後半勝負を選択か。展開次第で。

ジェイヒーローは、持ち前の登坂力を活かして前で下ろす自分の形を作れているようにデキは悪くないが、下りてからいかにもジリっぽく、世代戦では伸び負けする。増量に不安なく、ここも積極策だが、後続も前を意識するだけに楽には行けない。昨季の大賞典と菊花賞3着、他馬も脚を使えない展開になれば粘り込みもあり得るが。

キタノミネは登坂力だけなら世代随一。下りてからの速い脚に欠け、決め手勝負では分が悪いが、増量を最も歓迎は本馬。晩成型で、まだこれから良くなる馬、荷ももっと積んだほうが良いくらいだが、昨季の三冠戦ではすべて入着。稍軽の馬場がプラスとは言えないが、ここでも一腰は望め、他馬が障害で手間取った際の複穴。

牝馬スーパーチヨコの今季は、後半勝負で終いの伸び脚を活かす形に徹しており、増量で牡馬相手の重賞となる今回も同様か。下りてからの脚には光るものがあり能力は高いが、少し色気を出したライラック賞では末に詰まり、地力の差は、やはりある。末の我慢は利かなくても障害をまとめれば終い伸びるが、展開の助けは必要。