5月25日は、前日の雨の影響もあって軽めの馬場。
メインの黒岳特別(A2混合)は、唯一のA1格付馬ゴールドハンター(牡7、金田)が後方待機から鮮やかな差し切り。前走で良化を示したところでの相手弱化、前と20mほどの差で下りた時点で勝負ありだった。昨季も第4回開催で特別勝ちを収めた以降は、障害で大きく崩れる場面が思いのほか少なかったし、状態面での上積みもまだまだ見込めそう。これでオープン再昇級となるが、今季も持ち前の末脚で上位を賑わす可能性十分。
2着ジェイホースワン(牡5、坂本)は前付けから第二障害トップ抜け。勝ち馬の地力と切れ味に屈したとはいえ、自身も十分に歩いているし、二走前から好内容が続き、ズブさも抜けて本格化気配が漂う。ただでさえ苦労する5歳シーズンに加えて、これでA1へ昇級と、厳しい相手が続くが、今季注目の一頭。
3着アローリキヒメ(牝5、小林長)も正攻法から障害をまとめて末までしっかり歩いており、上々の内容。やや決め手には欠くが、荷が張っても対応できることは昨季に示しているし、5歳世代は牝馬もレベルが高い。
6着ダイリンファイター(牡8、小林長)は障害で一旦止まって二腰を要した。時としてこれがあるが、デキ落ちでも力負けでもない。次走での即巻き返しも可能だろう。

26日の第47回大雪賞(オープン)は、好位の一角で進めたインビクタ(牡8、松井)が下りてから抜け出し快勝。改めて言うことでもないが、極端な高重量にならないかぎりは障害で崩れないし、末脚が格段に強化され、かつての一本調子だったイメージはもうない。ハナにこだわらず好位差しOKの形が完全に身に付いたし、無理をしないぶん障害もさらに安定する好循環で、地力で上回る大関らしい取り口。次開催6月16日の北斗賞でも当然争覇圏。
2着サクラヒメ(牝6、今井)は、勝ったとはいえ障害でひやりとした前走を受けてか、少し息を入れつつだったが、終いよく伸び詰め寄った。やはり牝馬同士ほど楽にはいかず連勝は止まったとはいえ、べつに内容が悪かったわけではない。北斗賞は回避するように、賞金ハンデを課せられる身ゆえ今後の使い方は難しいが、どのような選択をするのか。
3着コウテイ(牡7、槻舘)はトップ抜けからしぶとく食い下がり、ずっと好内容が続く。今季は大きな期待を懸けつつも、年度前半の特別だと軽さ負けする恐れもあるのでは、とも見ていたが、完全に本格化成り、持ち前の登坂力だけでなく、地力自体が格段に強化された印象。いつ重賞に手が届いても不思議ないレベルまで達している。
4着ヘッチャラ(牡5、鈴木)は前走よりずいぶんと積極的に前へ。障害をスムーズに越えて終いも踏ん張り、内容十分。真っ向勝負で古馬にヤマで潰されないよう探り探りの段階だが、このまま順調に経験を重ねていきたい。
5着クリスタルコルド(牡5、西)も、障害をまとめて終いの伸び脚まずまず。速い時計の中でこれだけ素軽く動ければ不満なく、着実にデキ上向き。こちらも良いリズムを保っていきたい。
6着ツガルノヒロイモノ(牡5、長部)は障害も下りの脚も良く、一旦は抜けるかの場面を作ったものの残り15mからアラアラ。以前からの課題ではあるが、この相手に正攻法だと、まだ少し足りないか。

12R(B2-1)は、下りてからの切れ味を見せたミチシオ(牡3、槻舘)がわずかに差し切り。軽めの馬場が良かったのはたしかだが、前走の世代特別同様に末まで脚を使い、デキも上がってきた印象。三開催後7月7日のばんえい大賞典が目標だが、まずは次開催6月9日の世代特別とかちダービー。

27日の旭岳特別(A1)は、ブラックサファイア(牡7、長部)がじっくりタメて障害を綺麗に越えると、持ち前の切れ味全開で豪快な差し切り。次開催は前述ゴールドハンターと同レースに編成予定で、現役屈指の切れ者対決に注目だが、いつでも障害で止まる恐れをはらむのが泣き所。それが個性であり、魅力でもあるのだが。
2着ミノルシャープ(牡10、大友)は障害をまとめると速い脚を使い、末も緩まずしっかり伸び切った。今季は馬体減での使い出しとなったが、前走に続いての好内容。デキ上昇して地力を示した。
3着カイセドクター(牡7、坂本)は特別変わりでも障害良化、昨季減らした馬体が安定しているのも好感で、徐々にデキが整いつつある。完全復調成ればオープンでも上位級の実力馬、さらに前進期待。
5着ヤマトタイコー(セン7、久田)は決め手で劣ったものの、障害を前で下ろす形は作れたようにデキ安定。相手と展開ひとつでチャンスが巡ってくるだろう。
7着アアモンドキーマン(セン7、村上)は先に仕掛けたが障害で一旦ストップ。そこから二腰目は入るのだが、近走どうしても一度止まってしまう点がネック。今の相手だともう少し軽い馬場のほうが良いかもしれない。
9着ホクセイウンカイ(牡5、松井)は障害で少し苦労し、下りてからも案外。降級の年長勢に地力負けしている感はあるが、これも経験。

後節6月1日の水無月特別(B1-1)は、障害トップ抜けを果たしたリュウセイペガサス(牡7、久田)が押し切って快勝。テンは速くないが、道中で押し上げて障害を先に抜けるとしぶとい、前述ヤマトタイコーと同タイプ同厩舎で、渡来心路は手が合う。今季五戦すべて馬券圏内とデキの良さも目立つが、これでA2へ再昇級となり、今後は道中の捌きがカギとなる。
2着ピンチハチャンス(牡8、服部)は障害でヒザを折ったが、下りてからは長く良い脚。もともと終いはしっかりした馬で、障害も特段に苦手というわけではないが、次走昇級。こちらは鈴木恵介と他の騎手とでは大きく扱いが変わる。
3着イワキダイヤ(牡6、小林長)は障害でモタついたが、下りてからはよく歩き、再昇級初戦の特別で目処は立った。前開催の当回顧記事でも触れたが、順調に使い込めればまだ上が見込める。
5着ウンカイタイショウ(牡10、久田)は障害で苦戦。最近は障害がムラな点がネックで、以前よりも安定味に欠けアテにならない。現級では実績も地力も上だけに、スムーズな競馬ができればアッサリもあって良いのだが。

2日のメイン、昨年度のリーディングサイヤー(3歳以上部門)上位5頭の種雄馬産駒によって争われた第12回スタリオンカップ(選抜)は、ナリタボブサップ産駒のメムロボブサップ(牡8、坂本)が断然の人気に応えた。楽に先手を取り、障害を軽々と越え、終いも余裕十分の圧勝。もう内容について語るところはないが、次開催の北斗賞は使わず、夏以降に備えるとのこと。
2着キングフェスタ(牡5、小北)は無理に前を追い掛けることはしなかったが、前走に続いて障害一腰から下りてさすがの伸び脚。馬体が戻らない点は気になるが、徐々に上向き。
3着アオノブラック(牡8、金田)は前走やや障害で乱れた直後で、メムロを負かしにいく場面でもなく、自己のリズム重視だったが、きちんと修正して北斗賞への良いステップとなった。

3日の2R(2歳新馬)は、ドラゴンブライアン(牡2、松井)が1分54秒7でデビュー勝ち。第1回能検でも動きが目立っていたが、ここまで待ち、しっかりと人気に応えた。次走以降は、使ってきた馬との時計比較も重要となるが、障害の上がり方が良く、素質を感じる。


近いうちにばんえい側からも告知があると思いますが、6月14日(金)22時からのNHK総合テレビ「ドキュメント72時間」で、帯広競馬場が取り上げられます。
撮影が行われたのは5月4日からの三日間。私もちょうど本場に行っていたので知っています笑
てか、スタンドの客の少ないエリアで酎ハイを飲みながら寛いでいたら、カメラとマイクを向けられるという、人生で初めての経験もしてしまいました(・_・;)
なーんか、いろいろ聞かれたので、それなりに答えましたけど、使われるのかなあ?(;^ω^)
まあ、仮に私が映ったところで、わからないという方がほとんどでしょうけど、全国ネットでばんえいが扱われるのは久々となりますので、ぜひともご覧くださいませ。

さて、次開催は後節の6月16日(日)に、第32回北斗賞(BG3)が行われます。夏の訪れを告げる古馬重賞、その後に控える若馬の世代重賞も含め、ばんえいの季節がここから一気に加速します。
本文中で触れたようにメムロボブサップは出走しませんが、好機を活かしたい古馬勢に5歳が挑む構図、これはやはり面白いものとなりそうです。
それでは次開催もお楽しみにラブラブ