4月27日の第26回すずらん賞(4歳)は、前々で運んだクリスタルゴースト(牡4、長部)が第二障害もスムーズに越えて下りから抜け出し、年度を跨いでの5連勝とした。B2格付でハンデが味方したのはたしかだが、自身は増量をそう苦にしないし、充実一途で今後も注目。二走前のクリスタル特別を勝った際は下りてから一旦詰まり、今回も残り10mで緩んだが、追われて歩き、スタミナというより集中力の問題かもしれない。
2着マルホンリョウユウ(牡4、金田)は、20キロ以上軽い先行勢の後ろの四番手で折り合いをつけつつ。障害をまとめると、下りても末までしっかり歩き、内容的には何も問題ない。6月23日に行われる4歳一冠目の柏林賞へ向け、昨季の二冠馬が順調。
3着スーパーチヨコ(牝4、長部)は前走同様に後方でタメて終い重点、長く良い脚を使って追い上げた。この形だと、苦しくなると座り込む悪癖は出さないようだが、やはり本来はもう一列前で進めたい。そのための段階を踏んでいる最中か。
4着ジェイライフ(牡4、坂本)は障害安定、末まで脚が続かない面は時折り見られるが、ここはよく歩いた。まだ線が細いが、大崩れが少ないように好センスで、実が入ればまだまだ出世を見込める。今季の成長に注目。
5着ジェイヒーロー(牡4、金山)は前で下ろす形は作れたが、世代戦だと伸び負けしてしまうのは相変わらず。登坂力上位とはいえ、決め手不足が目立つが、末脚は後からいくらでもついてくる。実直にさらなる地力強化を図る。
6着キタノミネ(牡4、槻舘)も同様に下りてからが課題だが障害巧者、昨季の三冠戦は離されたとはいえすべて入着と、積んで良いタイプの可能性も示唆。晩成の感あり、今季と言わず長い目で見たい。
ダービー馬タカラキングダム(牡4、村上)は障害で手間取り7着。どうにもムラっ気が強いが、叩き良化型で、使いつつか。柏林賞までにどこかで良化を示せれば良いだろう。
9着キョウエイプラス(牡4、村上)は障害天板で一旦止まったが返事は早く、下って鋭い脚も見せた。ゴール前で苦しくなったように、2歳シーズンに重賞2勝の実績は色褪せているが、増えた馬体も維持しているし、底は脱した。

28日の9R(B3-1)を勝ったサクラヤマト(牡4、金山)は、二度使いとなった後節も含めて今季3戦3勝。2歳時は使い出しが8月と遅く、1勝したのみだったが、昨季は特別を含む7勝と大躍進。現状では、障害に先に付けておいて、下で他馬よりタメを利かせて後に仕掛ける形が合っているようだが、派手さはなくても追われてしっかり歩くし、確実に地力強化中。今季は世代重賞出走圏内も見える。

29日の春駒特別(オープン・A1混合)は、ヤマカツエース(牡5、金田)が好位から綺麗に抜け出し快勝。700キロ台前半までなら障害で崩れることはほぼないし、ここは末の甘さも見せずに歩き切った。年度変わりでの減量がプラスに作用しているとはいえ、前走も上々の内容で好調。一線級が相手になるとまだ地力の差はあるが、厳しい5歳シーズンで早くも一つ勝てたのは大きいし、昨季以上の経験を積んで先につなげたい。
2着ヘッチャラ(牡5、鈴木)は逃げ馬に絡んでいき、自ら厳しい流れを作る積極策。登坂力で上回ってのトップ抜けからしぶとく粘り込み、かなり中身の濃い内容を示した。正攻法が信条ゆえに、こちらも一線級相手だと地力の差を痛感させられる場面は今後あるだろうが、自身とて古馬になってから真価発揮が望めるタイプで、胸を借りて力をつける。
3着ブラックサファイア(牡7、長部)は前について行かずにシンガリ待機、それでも障害で手間取ったが、下りてからはものすごい伸び脚。現役一番とも言える豪脚を披露したが、やはり障害が枷となっているし、障害をそれなりにまとめた際にはかえって脚が続かない面もあり、なんとも扱いが難しい。買うのも消すのも割り切り必要。

5月4日のメイン、昨季リーディング上位10名の騎手の手綱によって争われたスーパージョッキー賞(Bクラス希望選抜)は、渡来心路リュウセイペガサス(牡7、久田)が障害トップ抜けから押し切り。テンに行けずに遅れても、道中で刻まず押し上げて位置を取り、障害も早めに仕掛ける積極策と、この騎手らしいレース運びで、会心の勝利だろう。もちろん馬の登坂力があってこそだが、経験で磨かれた自信と技術を示す強き心。
2着マサタカラ(牡6、金田)は道中でタメて障害をまとめると、追いっぷりが力強くなった金田利貴の鼓舞に応えてよく伸びた。課題を抱える障害に重点を置かざるを得ないために今回は位置取りの差が響いたが、下りての脚は光るし、今季は上も見える。
3着ウンカイタイショウ(牡10、久田)は赤塚健仁が積極的に運んだが、障害で三腰を要した。かつてオープン勝ちもある実績馬だが、以前とは違い障害が不安定。それでもB1に降級なら力上位で、障害修正成ればアッサリも。

5日より2歳新馬戦がスタートし、2Rで一番勝ちを決めたのはスタージャガー(牡2、平田)。第1回能検の1レース目で見せた下りての脚は目を瞠るものがあり、好素質を示していたが、ここも期待通りの動きを見せた。
2着ウンカイダイマオー(牡2、松田)も能検の動きが目立った期待馬で、わずかに勝ち馬に劣ったとはいえ0秒7差。こちらも同等の評価で良いだろう。

続く3Rは、第1回の能検で二番時計をマークしたスーパーシン(牡2、長部)が、フラフラするなど若さを強く出しながらもデビュー勝ち。2Rの二頭のように切れ味を見せるほうが良い時期だが、そもそも集中していない。
2Rが1分45秒6で、3Rが1分35秒3だったが、前半のペースが10秒以上違うので、どちらが上と言うものでもない。

6日も新馬戦が二つ組まれ、2Rは能検の一番時計馬スターイチバン(牡2、平田)が順当に初戦勝ちを決めた。前述スタージャガーと同厩舎同馬主で、さらにどちらも西謙一の手綱だったが、次開催でいきなり同じレースに編成されるのがばんえいのシステム。

3Rはシンザンパワー(牡2、長部)が障害天板で少し危なかったものの、下りから切れ味を見せ、終い二度詰まりながらも押し切り。2分3秒1と、先の三レースと比べると時計は要した。

6日メインの菖蒲特別(A2・B1-1決勝混合)は、道中刻まず前半約45秒で引っ張ったダイリンファイター(牡8、小林長)が押し切り連勝。障害巧者でも、天板で一旦止まる場面がしばしばあるが、ここは綺麗に一腰。稍軽の馬場に加えて、クラス改編による降級で重量関係も有利だったが、もともと地力はあるし、デキも良い。しばらく争覇圏。
2着ヤマトタイコー(セン7、久田)は例によってテンは遅れたが、道中の動きは軽快で、障害もきちんと腰が入った。デキ良く、昨季および一昨季に強敵相手と戦った経験も活きている。現級では力上位。
3着ジェイホースワン(牡5、坂本)は障害をスムーズに越えると、末までしっかり歩いた。実力馬相手でも馬場と流れに対応した内容はかなりの評価ができるし、かつてデビュー3連勝したとはいえ晩成型、今季注目。
4着ホクショウカップ(牡8、槻舘)は例年春先は動きが良いが、ここも置かれず流れに乗って障害も一腰と好内容を示し、組み合わせ次第ではチャンスも。
8着ホクセイウンカイ(牡5、松井)は案外だったが、前に引っ張られて少し忙しかったか。軽馬場自体は悪くないのだが、降級の実績馬を相手にする5歳シーズンゆえの厳しい展開。次走改めて。
10着キョウエイリュウ(牡7、村上)は障害でストップ。実績上位でデキも戻っているが、障害に注文が付く。


ゴールデンウィークの時期で、5月4日~6日には、「うまちか」というお馴染みのイベントが行われました。
「美味くて近い」「馬に近い」と、競馬場で行われるグルメイベントで、私も本場におりましたが、4日と5日の入場者数がそれぞれ8千人を超える(昨季ばんえい記念の日より多い)など、なかなかの盛況ぶりでしたね。
ばんえい十勝は地域密着全国発信型の競馬、と勝手に思っていますが、もちろん時季の良さがあるにせよ、お子さん連れも含めてこれだけの人を集められたことは、今後に向けて大きいのではないでしょうか。
かつての四市開催体制が崩壊した際に、帯広だけが存続を許されたのは、地域に根差した競馬場として、観光資源ともなり得る可能性を市が見いだしてくれたから、といった一面もありますので、馬券の売上に直結するかはさておき、まずはわが街の競馬場として、地域の方々に認めていただかなければならぬのです。
それが形となりつつある中で、感染症騒動を挟みはしましたが、今こうして競馬場という場所を多くの方に意識いただいていることは、嬉しく思います。
たとえばウマ娘だったりお笑い芸人さんを呼んでのイベントを否定するわけでは決してありませんが、地元の高校生がステージに上がり、十勝の食材を使ったキッチンカーが並び、ビンゴ大会なんかやって盛り上がるほうが、帯広らしいと思えて私は好きですね。

さて、次開催は重賞こそありませんが、二度ないし三度使って各馬のデキが上向くころ、今開催以上の激戦も期待できるでしょう。5月13日には、3歳三冠戦へ向けての前哨戦第一弾となる世代特別、とかち皐月賞も行われます。
また、金山明彦調教師が通算1000勝まであと2勝と迫っております。騎手として3299勝を挙げた、言わずと知れた「ミスターばんえい」、調教師としても大台達成のシーンが訪れるでしょうか。
それでは次開催もお楽しみにラブラブ